厳しい冬の寒さと乾燥した気候を生かして作る信州の伝統食品「凍りもち」。
凍りもち。左から白(味つけなし)、よもぎ入り、しそ入り
主に長野県北部の大町市と、南部の飯島町で生産されています。凍りもち作りには特有の風土が必要になるため、作れる地域が限られています。
特有の風土とは、次のようなことが挙げられます。
1、1〜2月に夜の外気温がマイナス5度以下になること
(水を含んだもちが凍ります)
2、降雪量が多過ぎないこと
(多過ぎると気温が高くなり、もちが凍りません)
3、風通しが良いこと
(もちを乾燥させるために風通しの良さが必要)
4、お米がたくさんとれること
(米どころならではのお米を大切にする知恵から生まれました)
手間ひまかかる凍りもち作り
今回は大町市の農産物直売所「かたくり」凍りもち部会にお邪魔しました。同部会は凍りもちの食文化を守るため1996年から活動しています。本年度(2023年)は20名ほどで4万個の凍りもちを生産します。
凍りもちは、1月から2、3ヵ月間ほどおもちを屋外に干して乾燥させる自然力を利用したフリーズドライ食品です。例年5月ごろに完成、販売されます。
もち米はすべて大町市産の「もちひかり」を使用。普通(味付けなし)の凍りもちに加えて、よもぎ入り、しそ入りの凍りもちを作っています。この日はよもぎもちが作られました。
手順は次のとおりです。
機械ではなく、昔ながらの杵と臼を使ってもちつきすることで柔らかくなり、凍りもちにした時にサクッサクッとした食感になります。
おもちを切り、和紙で包んでビニールひもで1連に結ぶまで、すべて手作業です。
完成品
凍りもちを割った断面はミルフィーユのような層状になっています
凍りもちのおいしい食べ方
凍りもち部会パンフレットより。こちらは直売所「かたくり」などで配布しています
昔は農家が自分の家で作ったもち米で農閑期に凍りもちを作り、農繁期のおやつとして食べていたといいます。
水でもち状に戻したり、おかゆにするほか、そのままでも食べられるので、登山の携帯食や非常食にぴったりです。軽く、しかも賞味期限1年と長持ちします。
凍りもちのおかゆはトロリとして飲み込みやすいので離乳食や介護食に重宝されています。片栗粉とはちょっと違ったとろみで、癖になる喉越しです。ぜひ一度召し上がってみてください。
参考・長野県のおいしい食べ方過去記事