直売所

冬の直売所で「あられ」がコロリ

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これ、何だかわかりますか? コロコロと可愛らしいサイコロのような物がランダムに並んでいます。
実はこれ、出番を待っているお餅なんです。3月中旬までこの状態で乾燥させ、油で揚げて「あられ」になります。
昔は冬の保存食として家庭で作られていたあられ餅。今は自宅で作るという方はほとんどいないのが現状です。そんな中、懐かしの味を楽しんでもらおうと奮闘するグループがあると聞き、大町市は社(やしろ)の直売所を訪ねました。


冬季休業中の直売所に活気が!?
大町市社(やしろ)にあるJA大北社支所農産物直売所は、1月〜3月中旬(2013年は4月24日まで)は冬季休業中です。直売所の扉は締まっているのですが、中から何やら作業をしているような声がします。

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入ってみると、そこは野菜や果物が並ぶような見慣れた直売所ではありませんでした。開業中は商品棚になると思われるテーブルで、割烹着を着たおばちゃんやおじちゃんがせっせとお餅を切って、あられ餅を作っているのです。炊きたてのもち米とつきたてのお餅の温かな香りが直売所内いっぱいに広がっています。その豊かな香りに包まれていると、取材を忘れて幸せに浸ってしまいそうなくらいです。

手間ひまかけて、てきぱきと
生あられの作業中

記者がつっ立っていると、テーブルの間をてきぱきと動くおばちゃん達の邪魔になってしまいました。作業をしているのはJA大北の社凍餅部会のみなさん。ものすごい手際の良さとチームワークであられ餅を作っています。

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まず炊いたもち米を機械でついてお餅にします。ついたお餅は素早く四角い型に伸ばし、1日冷まします。このとき、表面が急激に乾燥してひび割れるのを防ぐため米粉を振ります。

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1日おいたお餅はおよそ2cm角に切り、3月中旬まで室内で乾かします。日光や風に当てず、ゆっくりと水分を飛ばします。冒頭のコロコロとした写真は、揚げたり炒ったりする前の生あられを乾燥させているところだったのです。

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時々下に敷いてある新聞紙を取り換えたり、あられをひっくり返したりして均等に乾燥させます。しっかり乾燥させたあられを触ってみると、カチカチで硬い! 同じもち米で作る保存食、凍り餅のサクサクした感触とは大違いです。

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凍り餅は、お餅に水分を含ませるために機械ではなく手でつきます。さらに3日ほど水に浸けた後、北アルプスからの寒風に2カ月ほどさらします。こうすることで凍ったまま乾燥し、軽くてサクサクの食感になるのです。

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収穫物が少なく、厳しい冬を越えるために、信州では昔から様々な郷土料理が受け継がれてきました。中でも、腹持ちの良いもち米はよく利用される食材。冷え込みが厳しい地域を中心に、凍り餅やあられ餅づくりが1月の厳冬期に行われていました。

20130123arare07.jpg凍り餅、あられ餅とも
地元産モチヒカリ100%

社凍餅部会は、今は家庭で作られなくなった凍り餅やあられ餅を伝えていこうと、14年前に結成されました。現在、部員は13名。作業は午後だけですが、来られる人が来るというスタンスで、無理せずに続けています。もちろん地産地消にもこだわって、凍り餅、あられ餅とも地元産モチヒカリを100%使用しています。
2013年は、1日に約70kgのお餅を加工し、凍り餅、あられ餅ともに700kgずつ作る予定だとか。
写真上:水に浸けた凍り餅、下:乾燥中の凍り餅

乾燥させた生あられは、社直売所に併設されている加工施設「たんぽぽ工房」で揚げて直売所へ並べられます。懐かしい味だと年配の方を中心に大人気。地元民以外のリピーターも多い商品です。「砂糖醤油」と「塩」で人気を二分している揚げあられは180g入り300円、揚げていない生あられは250g入り350円で販売されます。2013年の販売開始は4月25日を予定しています。

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水分が抜けた生あられは保存がききますが、
揚げたら早めに食べましょう

大町市社地区は大町市の南部に位置し、国宝の仁科神明宮が近くにあります。春の行楽のおともに地元産のあられ餅はいかがでしょうか。

近くに足を運ぶ機会がない方は、営業再開日の2013年4月25日(通常は3月15日)以降に社支所農産物直売所までお問い合わせください。

JA大北社支所農産物直売所
住所:長野県大町市社1757
電話:0261ー62ー8890
営業時間:3月15日(2013年は4月25日)〜12月 8時30分〜17時

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