平出さんの農事録
[平出さんの農事録]

セルリー栽培は全部が手作業!?

こんにちは。セルリーの平出です。

桜も一瞬で散って、3月の雪が嘘のようです。

では、5月の農家さん日記をはじめたいと思います!

「芽かき」の機械化は無理!?

さて、前回の農家さん日記にも書きましたが、セルリー栽培には専用農機がありません。一般的な農機具はたくさんありますが、ことセルリー専門の農機具というのは存在しないのです。

病害虫に弱いため苗を大きくして植えるのですが、その大きさに合う定植機がありません。また、人間が箸やピンセットで植え替えるような、繊細な作業を行える機械もまだありません。

なので、前回紹介したような数々の植え替え、そして今日紹介する「芽かき」、さらには収穫まで、すべて手作業で行います!

なんといっても機械化が難しそうなのが、この「芽かき」です。

野菜には、間引きや摘果など、まわりのものや余分なものを取り除き、良いものを残すことで収穫物を良くする手法があります。

りんごや白菜など多くの栽培の現場で使われる技術で、少しもったいない気もしますが、効率的だったり、収量やクオリティが上がったり、多くのメリットをもたらします。

セルリーの場合は、セルリー本体とは別の形をした「脇芽」と呼ばれるものが成長の過程で、どうしても生えてきてしまいます。それを取り除き、栄養を本体にのみ行き渡らせる目的で行います。

どれを取り、どれを残すか、一つ一つ判断して手作業で進めていきます。

これを行うと、その後、目で見てわかるほどに成長します! 

hiraide01-20240522芽かき前

芽かきをすると、こうなります。

hiraide02-20240522芽かき後

取りすぎのように見えるかもしれませんが、これが大きく育つための秘訣です。

いちおう芽も食べることはできます。味や風味はほとんど変わらず、食感は普段のものより柔らかいです。ただ、一般的には流通しないので、株で購入した時についていたらラッキーですね。

やりすぎもダメ、やらなすぎもダメ。この絶妙な感覚が農業にはとても大事です。

野菜作りは、ほとんどが環境作りです。

ぜひ、家庭菜園でも参考にしてみてください!

農薬散布はスズランとブームで

次は農薬散布機「ブームスプレーヤ」の紹介です。

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我が家で一番大きいトラクターです。農薬を広範囲に散布するもので、写真左手に見えるアームの部分が肝心です。

hiraide04-20240522ここから農薬が噴霧されます

もちろん、ほかの作物や地域でも使われていますが、公道はあまり走らないので見かけないかもしれませんね…。

hiraide05-20240522作業中の様子

殺虫剤はもちろんのこと、液体肥料や、意外かと思われますが殺菌剤も使用します。

野菜も菌によってさまざまな病気にかかります。セルリーは害虫もありますが、病気の方に気をつかっています。

1週間から10日に1回使用しています。ここでも「やりすぎもダメ、やらなすぎもダメ」が肝心で、天気や時間で効果が出ない時もあるため、タイミングが重要になります。

このタンクで約1000リットル入ります。

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最大半径は18mほどになります。畑には、この機械の動線となる部分を設けています。

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この不思議な空間は、ブームのためのものだったのです。

ブーム導入前は「スズラン」と呼ばれるものでやっていました。今も狭いハウスの中はスズランを使います。

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次回の農家さん日記は、いよいよ「収穫」を紹介したいと思います。

では、今回はここまで、また次回の農家さん日記でお会いしましょう!

この記事を書いた人

平出悠太さん

日本最大級のセロリ産地原村。テレビ制作会社を退職した平出悠太さんは、この地で2015年に祖父のセロリ畑を継いで就農しました。母親も勤めをやめ、母子で4haのセロリを栽培しています。今では、ここでしか手に入らない種を育てるなどのチャレンジも。
趣味のサバイバルゲームは、たびたび千葉まで遠征するなど筋金入りです。

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