連載※長野県安曇野市三郷(みさと)地区で、農家家業をついでリンゴを作りはじめて8年目となる岩垂和明さん(43歳)が、幾多の押し寄せる誘惑や困難を乗り越えて時として風雲急を告げる月々の農事を綴ります。
ピューピューピューと
冷たい北風が吹いたかと思えば、
ビュービュービューと
強くて温い南風が吹く。
「寒」と「暖」が行ったり来たり。
今年もそんな季節がやってきました。
それでも、
ここ安曇野では
まだまだ「寒」の方がずっと多いですね。
それでも春は確実に近付いています。
ウチではりんごの木のせん定作業が終了。
今はせん定の見直しをしたり、
昨年から養成してあった苗を植えたりなど、
そんな仕事をしています。
本格的に忙しいシーズンはまだまだ先ですが、
案外いろいろとやることがあるんですよね、、、
この時期も。(^^ゞ
先週、前年から養成しておいた苗の植え付けを行いました。
手で穴を掘り、
植えつける。(モデル:親父)
今年植え付けたのは、
ぐんま名月・・・等々
ぐんま名月は赤くならないりんごですが、酸味が少なく完熟すると蜜も入って甘くなる、特に最近の若い人が大好きそうな、そんな味がするりんごです。
期待して植えていますが、これが生るのは何年か後の話。^^;
植え付けた中には今年試験的に苗を買った新しい品種もあります。
シナノホッペ
これは、昨年長野県内のテレビでもとりあげられた期待の品種。
でも、りんごなんてものはいくら期待されても、実際に使えるかどうかは作ってみなければわからないのですがね。
ただ、こいつはまだ苗が少なくて、今年は無理だとあきらめていたのが手に入りラッキーでした。
ファーストレディ
山形県生まれの早生種のりんご。
生産者の中ではここ数年話題にのぼっていて、つがる以外になかなか決定打のない早生りんごの中で、注目されている品種のひとつです。
今後の品種構成を考える上でテスト的に栽培してみることにしました。
ただ、これまた生るようになるには何年かかかるわけで、テスト的と言っても結構時間がかかる、気のながーい話なのです。^^;;
さて、
JA青年部の県の副会長などという役をしていると、色々な研修会に呼ばれることがちょくちょくあります。
先日もJA食農教育実践研究会というセミナーがあり出席してきました。
その中で出てきた話。
講師の先生が、とある講演会で小学生の子供を持つ若い母親たちの前で食育についての講義をしたときのこと。
講師:「(食育のため)お茶ぐらいは自分の家で入れましょう!ペットボトルのお茶よりおいしいし、第一安上がりですよ。」
と、そのとき一人の母親から質問が。
母親:「え、お茶って家でできるんですか?」( ̄Д ̄;)
1月に行われた別の研修会でも同様な話を聞きました。
とあるお茶農家の青年が小学校でお話をする機会があったときのこと、ひとりの小学生からこんな質問が来ました。
小学生:「お茶っていうのは、何の(果物の)果汁なんですか?」( ̄Д ̄;)!!
今の若い親御さんの中には、お茶を入れる習慣がない人たちも結構いるようです。
ペットボトルのお茶を買い置きして、場合によってはそれをレンジでチンして温めたりするのでしょう。
また、最近では、おにぎりというものは、必ずビニールつつまれていて、それを破いて食べるものだと認識している小学生も多いとか・・・
確かにペットボトルのお茶やコンビニのおにぎりができて、世の中はとても便利になりました。
ただ、もしかすると、今の日本という国は少し便利になりすぎてしまったのかもしれません。
そのような便利すぎる世の中で、何か大切な文化のようなものを壊してしまっているような、そんな感じもするのです。
普段の生活の中で、お茶に限らず、すべての食べ物をもっと自然な形に戻すこと。
そんな「食育」を進めることが、われわれ農業者にとっても大切なことなのかもしれないと思うのです。
自然なりんごを食べてもらえない世の中になっては、困りますからね。^^;
まだまだ寒い日が続く今年の3月。
それでも4月になれば、暖かい日もぐんと増え、
春らしい陽気になってくることでしょう。
昨年の、あの大震災の日から1年が過ぎました。
いまだ被災地では仮設住宅での生活を余儀なくされている人、復興の目処が立たずに大変な思いをしている人が多くいらっしゃると聞きます。
そんなみなさんにも早く、暖かい春が来ることを祈りつつ、
今回の農事録といたします。
では、みなさん、また来月に。(^^)/~~~
バックナンバー
● オレさまの安曇野 風雲 農事録 #37 - #1
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