里山の旬を満喫！農家民宿でわらび採り＆郷土料理体験｜農畜産物

長野県の南に位置する飯田市の千栄地区に、小さな民宿「宮のまえ」はあります。今回は、民宿「宮のまえ」が「わらび」の生える頃に行う「わらび収穫体験」に同行させていただきました。

奄美大島生まれの東京育ち
「お金では得られない豊かさがここにはあります」

山の向こうは泰阜村

民宿「宮のまえ」は、中央自動車道「飯田山本IC」から三遠南信自動車道を進み、「天竜峡IC」を降り、JR天竜峡駅を通り過ぎ、山間を5kmぐらい上った集落の中にあります。庭からの眺めは最高で、正面の山の向こうは泰阜村。深い谷と緑豊かな山、温暖な気候が心を癒してくれる場所です。
自然豊かなこの場所で、平成23（2011）年5月に民宿「宮のまえ」を始めたのが、経営者である柏木ちづ子さん。16年前から飯田市が取り組んでいる農家民泊の受け入れを行っており、その経験を活かして民宿を始めました。ちづ子さんは、奄美大島生まれの東京育ち。旦那さんの清己さんと出会いこの地に嫁いできました。ちづ子さんは、「千栄は、何もないところだけれど、雄大な自然、静けさ、伝統文化、公民館活動など、お金では得られない豊かさがここにはあります」と誇らしげに話してくれました。
宿泊は一日一組限定、それ以外に、郷土料理満載のおもてなし料理のランチや、山菜採り、臼を使ったもちつき、五平もち・こんにゃく作りなどの季節の田舎体験が楽しめます。

わらび採りってこんなに楽しい！

お邪魔した日は、飯田市内から8人の熟女のみなさんがわらび採り体験に訪れていました。民宿に到着後、一杯の麦茶をいただき、いざわらび採りに出発。
わらび採りの場所は、柏木家の約20アールのわらび畑。民宿から車で1、2分のところにあります。畑に到着し「わらび」を見た瞬間から参加者全員が戦闘モードに！ちづ子さんがわらびの生えている場所を伝える間もなく、「獲物」を求め畑の中へ。ちづ子さんの一生懸命の声は届いていない様子・・・。
飯田市上郷の松下絹子さんは、「今日は、運転手のつもりで、帽子も持たずに来てしまったのでわらび採りは見学するつもりでしたが、初めてわらび採りを経験できて楽しい」と、日傘をさしながらわらびを収穫していました。
20分程でわらびを採り終えた参加者のみなさんは、「畑に入ったらいっぱいわらびが生えていて、うれしくて夢中で採りました」と、袋いっぱいのわらびを抱えながら興奮気味に話してくれました。
畑の中には、「わらび」以外にも「セリ」や「みつば」「のびる」「山ふき」なども生えていて、それらの山菜採りも楽しむことができました。

体験を終えたみなさんに感想を聞いたところ、「わらび畑は、手入れがされていて採りやすかった」「わらび畑がこんなにきれいだとは思いませんでした」などと、成長したわらびが生い茂っている隣の畑の様子を見ながら話してくれました。
柏木さんの畑は、太いわらびがたくさん生え、畑もきれいに整備されています。それはどうしてかと聞いたところ、清己さんが、「大きくなったわらびを一週間前に、刈りました」と教えてくれました。畑の管理は清己さんの役割だそうです。
畑から民宿に帰り、自ら収穫したわらびの重さを計りました。その結果、ほとんどのみなさんは、1kg未満でしたが、飯田市上郷の澤柳美和子さんは1.7kgを収穫。澤柳さんに採り方のコツを聞いたところ、「わらびを折る時には、先のわらびを見ているからたくさん採れるのでは」と話し、他の参加者から「山菜名人！」と言われていました。
収穫したわらびは、200g80円で販売し、希望者にはあくぬき用の灰もプレゼントしてくれます。みなさん、自ら収穫したわらびを買い求めていました。

昼食の五平もちを焼く清己さん（左）

わらび採りのついでにせりとみつばも♪

ちづ子さん自慢の料理に舌鼓

わらびを採った後は、民宿「宮のまえ」の郷土料理満載のランチをいただきました。「宮のまえ」のわらびを使った「わらびのゴマ油和え」や「わらびの味噌漬け」をはじめ、地元のこんにゃく芋から作った「こんにゃくコロコロ煮」や「セリのお浸し」「かぶ菜油炒め」などなど、ちづ子さん手づくりの料理が10種類以上テーブルの上に並びました。
料理を食べながら熟女8人から料理の作り方や民宿を始めたきっかけなどを聞かれると、「民宿は好きで、楽しくやろうと思っているからできる」と、太陽のような笑顔で熱弁するちづ子さん。
ちづ子さんの話を聞きながら会話が弾み、「のんびりできて料理もおいしく、根付いてしまいそう（笑）」「野菜や山菜が中心なので手間がかかっていて、たくさん食べても飽きない」など声が上がっていました。