「チーム共和」六次産業化成功の秘訣とは？

１２０年の歴史を持つリンゴの名産地「共和」
やってきたのは、長野市篠ノ井地区岡田にある果物専門の農業協同組合「共和園芸農協」。長野市の南西部、緑に囲まれた自然豊かな場所にあり、合併前は「共和村」という小さな集落でした。現在では「共和」という地名こそありませんが、そこに暮らす住民のみなさんには、「共和」に対する思いが強く残っています。

西飯田酒造所の水路

共和園芸農協は、リンゴを主として扱うユニークな農協です。扱う品種は、長野県ブランド「りんご三兄弟」である「秋映」「シナノスイート」「シナノゴールド」のほか、「紅玉」「王林」「サンふじ」など幅広くあります。「共和のりんご」の知名度が高いことを踏まえ、現在「共和のりんご」を商標登録申請しているという、まさにリンゴのエキスパート集団です。

長野県オリジナル品種を使ったワインに注目！
共和地域では、地域内の生産者が共和園芸農協にリンゴを集め、同農協の運営する直売所で販売するだけではありません。地域内にある酒造所・西飯田酒造店で加工したリンゴワインも販売しています。

共和園芸農協の直売所

リンゴのワインだけでも珍しいと思うのですが、長野県のオリジナル品種「シナノゴールド」のみを使っているワインと聞いて、さらに興味がそそられます。
シナノゴールドの色はなんと黄金色。酸味と甘味のバランスが特徴で、歯ざわりや風味もとても良いと言われています。

しかしその反面、シナノゴールドは皮が薄いことから傷がつきやすく、出荷時や箱詰め時などに「傷が入ってしまった」「割れてしまった」といった場面も少なくありません。
そんな背景もあり、共和園芸農協の岡澤賢朗組合長が、保育園・小学校・中学校と同級生で幼なじみの西飯田酒造店の飯田誠治さんとともに、この「共和シナノゴールドワイン」を発案したんです。

西飯田酒造店の飯田誠治さん（左）と共和園芸農協の岡澤賢朗組合長

六次産業化で地域に活気を
昨年は１００本を試醸し、「辛い」「アルコール度が高い」などといった声が上がりました。その後、改良を重ねて、"女性にも飲みやすく"を意識し、今年４月についに完成。約１０００本を店頭販売したところ、あっという間に完売しました。
シナノゴールドは、他のリンゴと比較して長期間品質を保持できる特性があることから、業務用冷蔵庫で適切に保管しておけば、春過ぎまで品質を保持できます。
また、ワインは、生産物であるリンゴがあれば通年で製造できることから、生産者と酒造店それぞれの繁忙期（リンゴは秋、酒造店は冬）以外で「共和シナノゴールドワイン」の製造ができます。その結果、効率よく活動ができ、生産者はリンゴの時期以外でも収入を得ることができるうえ、地域全体の活性化にも繋がるという、まさに画期的なアイディアです。

飯田酒造所の酒蔵

地域全体がまるで一つのチームのような結束力で六次産業化を成功させています。一人ではできないからこそ皆で結集する、まさに「協同活動」ですね。

岡澤組合長は、改良を重ねて女性にも飲みやすいよう工夫したことを踏まえ、「ワイン販売は、農家の手取り向上とシナノゴールドの消費拡大に繋がる。赤でも白でもない黄金色のこのワインをぜひ飲んでみてください」と話してくれました。

「共和シナノゴールドワイン」はどこで買えるの？
「共和シナノゴールドワイン」の価格は１０００円（税別・７２０ml・アルコール度８％）ですが......、読者の皆さんごめんなさい！ 現在、売り切れとなっており、今は追加製造の真っ只中。次の販売は２０１４年７月１日を予定しています。
また、同農協直売所のみでの販売となっており、ネット販売の許可は現在申請中。ネットでの販売開始は２０１４年８月からの予定となっています。
楽しみにまっていてくださいね。

◇共和園芸農業協同組合
長野県長野市篠ノ井岡田1157-5
TEL: 026-292-1300
直売所営業時間: 9時～16時
定休日：日曜、年末年始