「筍狩り」といえば、土から頭を出している筍を見つけ、周りの土を堀って収穫するのが一般的な方法ですが、地上部を折り取って収穫する筍もあることをご存知ですか?
今回は、折り取って収穫する「ネマガリダケ」狩りに、私たち「長野県のおいしい食べ方編集部」の5名が参加してきました!
志賀高原ユネスコエコパークへ
やってきたのは、長野県北部に位置する山ノ内町志賀高原。
志賀高原は、1980年に生態系の保全や、自然と人間社会の共生を目的としているユネスコエコパーク(生物圏保存地域)に登録されており、原生的な森林や美しい湖沼、高層湿原など、素晴らしい大自然が保たれているところです。また、スキーや自然体験などが盛んなリゾート地でもあり、自然と人間の共生や持続可能な自然の活用が行われています。
なんと2014年6月12日には、スウェーデンで開催された「第26回人間と生物圏計画国際調整理事会」にて、既に登録されている「志賀高原」のエリアを拡張して再登録することが正式に決定されました。
志賀高原焼額山から見た山々
志賀高原のネマガリダケは
地元の達人と一緒に採りましょう!
今回の目的地、焼額山に到着したのが、午前8時。
ネマガリダケ狩りの開始時刻が9時からだったので、1時間早く目的地に着いたわけですが、既に駐車場付近には、参加者の車がズラーっと並んでいました。
早速、ネマガリダケ狩りに向けて準備に入ります。
ネマガリダケ狩りで必要な服装はこちら。
ベテラン参加者によると、竹藪の中に入るので、竹を踏んづけた時のその弾性(元に戻ろうとする力)により、顔を傷つけてしまうケースがあるそうで、特にメガネは必須アイテムなのです。また、2メートルほどの高さまで生い茂っている竹薮では視界が非常に悪く、採取に夢中になっていたら道に迷って熊と遭遇(!)もありうるとか。え! これって、実は命がけかも......。
そんな話を聞き、少しビクビクしながら待つと、時刻は9時、いよいよスタート! 参加者が一斉に山の奥を目指します。
全員が大名行列のように進んでいると......、いきなり道を外れ、竹藪の中に入っていく姿が。
「こんなとこに入るのかあ。。。」と驚きを隠せないでいましたが、参加者が続々と茂みの中に消えていく様子を見て、負けじと茂みの中へ。
すると早速ネマガリダケを発見しました。
熊も大好物だというネマガリダケ
「思ったより細いなあ」というのが最初の感想。
それもそのはず、筍には主に以下のような種類があるんです。
モウソウチク(孟宗竹):
大型で厚みがあり、身は白くてやわらかい。えぐみが少なく、独特の甘味を含んだ上品な味わいと、歯ごたえがある。
ハチク(淡竹):
モウソウチクより細く、粉をふいた淡い緑が大変美しい。
◇あわせて読みたい
・北信濃発 初夏の味「淡いタケノコ」!?
マダケ(真竹):
細めの筍で、皮にうぶ毛がなく、黒い斑点があるのが特徴。味はしっかりとしているが、アクや苦みも強い。
ネマガリタケ(根曲がり竹):
小型で細い竹。筍の太さは1~2cm程度。身は白くて独特の風味があり、アクが少なく歯ざわりがいい。 別名「チシマザサ」。
筍といってもたくさんあるんですね。
苦労した甲斐あり!
さて、作業を続けておよそ90分。疲れも出てきたということで終了を決意しました。
落ち葉を突き抜けて育つネマガリダケ
編集部員5人でこんなにたくさん採れました!
普段、志賀高原のネマガリダケを採取することを許されているのは、地元財産区の会員や、地元ホテルの人同伴での宿泊者、財産区の許可を得たイベントだけとなっています。今回は貴重な体験ができました。
満足げに立ち去る当編集部のメンバーたち
ネマガリダケ×サバ缶で旬の味を楽しむ
ネマガリダケは、様々な食べ方ができますが、今回は、地元で最もポピュラーな食べ方「ネマガリダケとサバ缶のみそ汁」で頂きました。「筍とサバ缶!?」とビックリする方もいるかもしれませんが、この意外な組み合わせ、実はなかなかイケルんです♪ 「海なし県」ならでは、そして、ネマガリダケが採れる県北部ならではの郷土食です。
サバ缶を入れ始めたのは昭和30年代頃から。
その前は川魚や身欠きニシンを入れていた
旬の味覚を存分に味わい、楽しむことができました。
自ら採ったものを食べるのも、また良いものですね。
皮むきは1本ずつ丁寧に。先端部分はごちそう♪