今年も残すところあとわずかとなりました。新しい年を迎える上で欠かせないものといえば「餅」もそのひとつではないでしょうか。松本市の若手農業生産者4人が取り組む「色男の力もち」が今年も好評です。自ら育てた餅米を加工・販売する餅は甘みと粘り強さが特徴。昨シーズンからの改良点をプラスし、バリエーションも増えた餅で新しい年を迎えるのはいかがでしょうか。
時代に対応した新しい加工品
餅を製造販売している"色男"4人衆は山田桂一郎(やまだ・けいいちろう)さん(32)、塩原恵市(しおはら・けいいち)さん(33)、高山典士(たかやま・のりひと)さん(32)、田中清文(たなか・きよふみ)さん(34)。いずれも松本市内の稲作農家の後継者で、就業年や年齢が近いこともあって、日頃から交流し、互いに切磋琢磨し合っているという期待の若手たちです。
手前が田中さん、後列左から塩原さん、山田さん、高山さん
田植えを前にした昨年のある日、4人は米価の下落やTPPなど農業を取り巻く問題が山積し、環境が変化していくなか「加工品で何かできないか」との意見で一致して餅の製造を考えました。それからは「既に稼働している餅の加工所の視察をしたり、加工する場所の確保や設備を購入したりと結構大変でした」と高山さん。しかしベクトルの方向が一緒だった4人の力はエネルギーを増し、周囲の協力を得て、秋には加工所を確保して設備を整え、生産体制に入りました。
白もち・豆もち・玄米もち
昨シーズンは白餅のみを製造して販売。「お客さんの反応も良かったです」と田中さんは振り返ります。しかし、探究心旺盛な4人は次年(今シーズン)に向けて新商品を開発すべく試行錯誤を繰り返していました。今年は新たに、カビの発生を抑える包装材に変えたり、少人数家族に対応する4切れ入りの小口パックを作ったり、精米回数を増やして色白の餅にしたりと2シーズン目も精力的に取り組んでいます。さらに今シーズンは自家栽培の黒豆や、地元産の青豆を使った「豆もち」と、「玄米もち」と2つのバリエーションを増やして製造し、消費者からの反応に手応えをつかんでいます。
1日40枚の限定生産
餅の製造は早朝5時半から始まります。まずは前日に製造してのした餅を切って真空パックの包装をする作業から。それが終わると、ひと晩浸した餅米を計量して蒸し始めます。1回3升の米が蒸し上がったら機械でついて、1枚に伸ばし、翌日まで乾燥させる――これを1日だいたい40枚の割合で行っています。生産期間は秋の収穫作業を終えた後、11月から1月までの約3ヶ月間ですから、約4.5トンの餅を生産する計算となります。
「色男 金と力はなかりけり」
4人は早くも来シーズンに向けた新しい商品も考案中で「お供え餅も考えています」とのこと。きびもちなどのバリエーションを増やすことも思案中で「雑穀などは僕らが作付けを増やせば良いこと。生産者だからできる強みもあります」と"力持ち"らしく頼もしい4人です。
商品名は「色男 金と力はなかりけり」のことわざから付けたと言います。春から秋は米作り、冬は加工と、すべて手掛ける4人の色男たちの今後の展開から目が離せません。
「色男の力もち」は、「白餅」の切り餅10枚入り600円、「玄米もち」「豆もち」各4枚入り500円です。JA松本ハイランド管内の
ファーマーズガーデンやまがた、あかしな、やまべ、うちだ各店などで販売しています。
「色男の力もち」
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