米穀

モチ学講座 もちとわたしたちと正月と

moti-1.jpg年末についたモチをお正月に食べるのは日本の習わしのひとつです。「餅は餅屋」なんていうことわざもありますが、自分の家でついたつきたてのおモチはやはりおいしいものです。今回はわたしたちの正月に欠かせない食材であるその「モチ」について調べてみました。

なぜモチというのか?
モチの語源には複数の説があります。もともと、鏡モチのように丸く作られることが多かったため、その形を満月を意味する望月(もちつき)になぞらえ、そこから名がついたとする説。また粘り気が強いことから、トリモチの「モチ」から来たとする説などさまざま。

モチはもちろん開発されたのは日本ではありません。英語で「ライス・ケーキ」と言われるように、コメが日本列島に持ち込まれる以前にはモチはありませんでしたから。モチは古代の中国で作られたものでもともと「餐」と書かれました。日本では「餅」と書かれますが、字をよく見るとわかるように「食」と「并」にわかれます。「并」は「粉を并(あわ)せて生地をつくる」という意味です。

もちは古くは「モチイ」と呼ばれ10世紀に成立した『和名類聚抄』には「毛知比(もちひ)」と出てくるとあります。「もちひ」というのは「餅飯」という意味だと思われます。また、17世紀に書かれた『本朝食鑑』には「餅 毛知(もち)と訓(よ)む」とあるそうで、そのころには現在のようにモチと呼ばれるようになっていたと記されています。

モチはなんのためのものか?
古来より??弥生時代から??モチは「ハレ」の日の食べ物とされ、重要な行事や祭祀に用いられてきました。正月には鏡モチを神様に供え、雛の節句や端午の節句では菱モチや柏モチが作られてきました。海に浮かぶ島がそのままモチになったとか、モチが白鳥になるというような古い言い伝えもあったりします。

また、モチと呼ばれるものは、モチ米を使ったものだけに限りません。長野県の中南信地方を中心に作られている五平モチはうるち米をすりつぶして作りますし、小麦粉を使って作る長野県の特産品「おやき」も「焼きモチ」と呼ばれたりしています。つまり「すりつぶしてつくるモチ」と「搗(つ)いてつくるモチ」のふたつの製法のモチがあり、紀伊半島や中国地方には「搗いてつくるモチ」を「外国の風習」としてタブーにしている地方があることから、あきらかに「すりつぶしてつくるモチ」のほうが古いと思われます。

moti-3.jpg9のつく日にモチつきはいけません
杵と臼を使った餅つきの光景を目にする機会というのは、昔と比べめっきり減りました。ちなみに冒頭の写真は10月に長野市で開かれたイベントにJAグループで参加したときのものです。JA信州うえだの「コメっ子倶楽部」に参加した管内の子どもが、自分たちで育てたお米をつきました。イベントに集まった人たちにモチを配り、大変な評判でした。

さて、杵と臼に取って代わったのが自動餅つき機。手軽さから広く家庭に普及しました。また、いまでは、真空パックのモチも手軽に手に入るようになり、杵も臼も餅つき機もないという家庭では、こちらを利用されている方も多いのではないでしょうか。

日持ちもするし、一年中モチを食べたいというモチ好きの方にもピッタリかもしれません。長野県内のA・コープでは、長野県産モチ米を100%使用した「生切り餅」を販売しています。個別包装の手軽さと味の良さで周囲でも評判の一品です。つい最近まで12月29日にモチを搗くことを避ける家がたくさんありました。「苦(9)がつく」という考えから、モチを搗いたり購入したりするのを避ける風習があったのです。

凍り餅をご存知ですか?
「凍り餅」は冬の最も寒い時期に作る保存食。杵で搗いたモチをのして切り、和紙で包んで14個を一連にして2晩ほど水に浸します。その後、軒下に吊るして約2カ月間寒風にさらしたあと、乾燥させて仕上げます。水に浸し戻して食べたり、揚げたりするほか、非常食や、離乳食としても昔から親しまれてきました。

食べ方いろいろ
一年中いつでもモチが食べられるようになり、実にさまざまな食べられ方をしています。一般的なのは雑煮や汁粉、磯部、きなこモチなどでしょうか。鍋やすき焼きに入れて食べる方もけっこう多いようです。細かく切り分けて、お好み焼きやもんじゃ焼きのトッピングとしても良くあいますね。他にもキムチで食べる、マヨネーズをつける、ニンニク・バターとともにフライパンで焼く、シチューに入れるなど、人それぞれ実に多彩です。それだけモチがなんにでも会うということなんでしょう。皆さんオススメの食べ方なども是非、コメントで教えてください。

モチは胃にやさしい
モチ米の栄養価はどうなのでしょうか? その成分を見てみますと、でんぷん75.8%、水15.5%、たんぱく質6.8%に加えて、脂質と灰分が少し含まれます。ふつうのご飯100グラムは148キロカロリーなのに対して、モチは同量で235キロカロリーの熱量を持っています。少ない量でカロリー摂取ができることから、マラソンなどの持久力を必要とするスポーツでは、試合開始前の食事にモチを食べる選手も多いのです。

モチは消化されやすく胃に負担をかけないことも、スポーツ選手の食事に愛される理由の一つと言えそうですね。エネルギー効率が良いので、朝ご飯にモチというのも良さそうです。ただし、食べやすいからといって食べすぎには注意が必要です。肉や野菜などとあわせてとり、栄養バランスの取れたモチライフをお楽しみください。

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