近年は長野県でも、化学合成農薬や化学肥料に気を使って農産物を栽培し、各種認証を取得している農家さん・生産者団体が増えてきています。 化学合成農薬や化学肥料の使用を控えたいと思っている生産者さんはたくさんいるのですが、化学合成農薬は病害虫から農産物を守り、化学肥料は農産物が立派に育つのを助けてくれます。これらの使用を控えるということは、病気や害虫の影響を受けやすくなるほか、品質のばらつきが大きくなったり、傷みが出やすくなる、といったリスクがあります。ときには、化学合成農薬や化学肥料の削減の影響で、「今年の○○は出荷できるものがほとんどない」「△△を全滅させてしまった」という話を聞くこともあります。
市場流通では、虫が食っているものや見た目の悪いものは「規格外」として、出荷されません。しかし、虫食い跡があるということは、その畑では虫も共生していた、ということ。虫が食っていない、見た目の良い農産物であることに越したことはないのですが、どうしても個体差・その年の天候・生育状況によって、農産物にはさまざまな違いが出てきます。 たとえば大根。根っこの部分の大小・形・硬さ・味の違いに加えて、葉や根に虫食い跡が残ったりします。こういった品は直売所以外には並ぶことは少ないのですが、野菜の個性として、選ぶ指標のひとつとして捉えていただき、お手に取ってみてはいかがでしょうか。こうして消費者の皆さまにご購入いただくことが、環境に配慮し、化学合成農薬・化学肥料削減に取り組む農家の原動力となる、と思っております。当然のことながら、農家さんも仕事で農業に取り組んでいますので売れないものは作れないのです。
現状としましては、せっかく認証を取得しても、「取得したことによって作ったものが、より売れるわけではなく、再取得するのにも費用や手間がかかる」と、基準に適合していても止めてしまう農家さんもいます。まずは、より多くの皆さまに知っていただき、こういった農産物を選んでいただくことが大事なのではないか、とこの記事を書きました。 信州へお越しの際は、JAの直売所や道の駅の農産物コーナーなどで、各種認証のマークが付いているものを探してみてはいかがでしょうか? JAタウン「全農長野 僕らはおいしい応援団」では、各種認証を取得している長野県内の農家さん・生産者団体の一部を紹介する特集ページをご用意しております。収穫時期には、JAタウン「全農長野 僕らはおいしい応援団」でも、さまざまな野菜・果物をお求めいただけますよ。
■信州の環境にやさしい農産物認証制度 長野県では、環境と調和し自然と共生する持続性の高い農業を一層推進するため、平成21年産農産物から知事認証の「信州の環境にやさしい農産物認証制度」に取り組んでいます。 地域の一般的な栽培方法と比較して、化学肥料及び化学合成農薬を50%以上(一部30%以上)削減した方法で生産された農産物を認証する制度です。認証された農産物には、県の認証番号が入った認証票(シンボルマーク)を付けることができます。 ■エコファーマー エコファーマーとは、たい肥等を使った土づくりと化学肥料・化学合成農薬の使用量を低減させる取り組みを一体的に行う計画を立て、その計画が県知事に認められた農業者のことです。 計画にそって作った農産物にエコファーマーマークを表示しています。 ■認証取得の安心農産物をご紹介 ※無農薬・減農薬が絶対に良いというものではありません。農薬を使わない畑は、病害虫の発生源となってしまうこともあるため、通常の農産物は定められた規定・慣行に基づき、農薬の使用基準を守って生産されています。
こちらは 2018.06.12 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
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