ある日の若い人との会話です。 「赤坂小梅っていたよね」 「え? 小梅太夫とか白坂小梅じゃなく?」 「芸者で歌手で、戦前から戦後にかけて活躍した...っていうか、白坂小梅って誰?」 その若者は、ひとしきり白坂小梅について解説してくれました。架空の人なのね。で、最後に「昭和人さん、赤坂小梅のファンだったんですか」と聞かれました。 「あのね、私がいくら歳食っているっていっても、生まれたころ活躍していた人だからね」 こんな話になったのは、長野県が全国でも生産量トップクラスの小梅の収穫が始まったという話題からです。もともと小梅の収穫時期は短い上、暖冬の影響で今季は収穫時期が早まっただけでなく、収穫量も平年より落ちているとのこと。収穫時期はさらに短くなっているとか。 小梅といえば、よく幕の内弁当などのおかずに添えられていますよね。2粒ずつ。あれはなぜ2粒なのでしょうか。1粒じゃさびしいし、3粒だとほかのおかずをケチっているようだし...ということで、2粒に落ち着いたのでは、と昭和人は推測します。 早く本題に入れ? わかりました。
集荷された小梅。これから選果作業へ
小梅初出荷と聞いて5月23日、長野市信州新町にあるJAながの・新町選果場に出かけました。この日入荷した小梅は約15トン。同町周辺農家の収穫量は平年の6割ほどにとどまりそう、とのことで、全体では100トンくらいが見込まれています。ただ、JAながの・さいがわ営農センターの田中和彦営農技術員によると「当初心配していたより着果量は確保できた。粒はやや大きめだが品質的には良好」とのことでした。 この地域で収穫される小梅は「竜峡小梅」。県産小梅を代表するブランド・竜峡小梅は県南の下伊那地域が国内でも一大生産地になっており、収穫体験も各地で行われています。信州新町地域一帯も竜峡小梅の生産が盛んなことで知られています(同地区では毎年、梅の開花のころ、犀川のほとりにある「琅鶴(ろうかく)梅園」ではお祭りが開催され、名所となっています)。
選果機にかける前に実の傷み具合を入念にチェック
2013年に導入された選果機
現在、同選果場で活躍しているのが2013年に導入された選果機。梅の大きさごとの排出口が7カ所あり、より細かな選果を可能にしています。 ところで、小梅はどのくらいのサイズの需要が多いのでしょうか。選果機ではLから5Lまで選果しており、2Lサイズ(直径15.2~16.7ミリ)の需要が最も高い、とのこと。でも、それ以外のサイズも用途に応じた需要があるとのことでした。全体の6~7割の小梅が、県内や山梨県、神奈川県の工場に送られ、梅漬けに加工されます。 表現がおかしいのですが、大きな小梅はどうなるのでしょう。「大き目のサイズのものを欲しいっていう人も結構いるよ」と同選果場の女性従業員。小梅のレシピも広がっているようです。小梅レシピに関してはあらためて特集しようと思います。
信州人には、カリカリの梅漬けがおなじみですが、梅と言えば梅干しが中心の首都圏などでは、昭和人が大学生だった、ン10年前は結構珍しがられました。 それで思い出しました。都内のどこか場所は忘れましたが、大学生のころ、たまたま見つけた屋台のおでん屋で「兄ちゃん、長野県出身かね。じゃあこれは懐かしいだろ」と言って小梅ではなかったけれど、カリカリにつけた梅漬けを出してくれました。焼酎をしこたま飲んだ後のあの梅漬けはおいしかったなぁ。
こちらは 2016.06.07 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
昭和人
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