野菜

北信濃発 初夏の味「淡いタケノコ」!?

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タケノコ・孟宗竹の頃を過ぎ、今また再び、北信濃に初夏の味"竹(タケ)"のシーズンがやってきました。
そのひとつは、山あいの豪雪地帯などに生え、人々が指折り数えその収穫の時を待つ"根曲り竹"(といってもこれは笹の一種)、さらに時期を同じくしてもうひとつ、善光寺平の長野市周辺などで収穫されるのが"淡竹(はちく)"です。
「タケノコといえば"淡竹"」「タケノコのなかでも一番好き」と、巷でも人気の淡竹。今年は雨の少なさに出足が遅れていたものの、ようやく収量も増え始め、6月いっぱいはこの淡竹が食卓を楽しませてくれることになりそうです。


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見た目は硬派ですが、
味わいも歯触りも優しいのです。

表面の皮のくすんだ色合い、そして孟宗竹のずんぐりとした姿とは対照的に、淡竹はスラリと長く30〜40センチほどの丈の長さ。その印象は一見強面(こわもて)でもあり、また角度によってはちょっと滑稽にも見え、初めて見た時は「これは食べられるの?」「はたして美味しいのかしら」と不安を抱いた方もいらっしゃったかもしれません。けれど、名前のとおり淡白で、味わいも歯触りも優しいタケノコなのです。

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淡竹の先端。ユニークな曲線はアールヌーヴォー風

収穫にチャレンジしてきました。
淡竹の産地は長野市西部の西山と呼ばれる地域。"西山大豆"としてご存知の方もいらっしゃるかもしれません。傾斜地の多い山間部のこの地域では、木を切り開いた畑で大豆を作り、昔から大豆の産地とされてきたところ。そんな畑と畑の間の傾斜に植えられたのが竹で、地面にしっかりと根を張りめぐらす竹によって、傾斜地の土壌の流出を防ぎ、また若いうちはタケノコとして食べられてきたのでした。

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丈が長いのに、やわらかく食べられる淡竹が、どのように生えているかご存知でしょうか? 孟宗竹は土から掘り起こして収穫しますが、この淡竹はといえば、もう一目瞭然。竹藪の間から降り注ぐ陽の光を浴びながら、膝丈ほどの直径5センチ以上もの大きな淡竹がニョキニョキと地面から空へと向かい無数に顔を出ているではありませんか! 「やわらかく美味しい内に、早く収穫を」と、逸る思いで駆け出しそうなのを見抜かれてか、同行者に肩を叩かれふと足元を見れば、すぐ足元の脇にも淡竹の小さな頭が顔を出しているほど。

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そんな淡竹の頭を踏み潰さないよう地面をよく見ながら進み、お目当ての淡竹を見つけたら、淡竹の上の方を両手で握り、グイッと自分の方へ引き寄せ倒します。
20130619hatiku05.jpgグギッ、ボキッと見事に折れて、道具を使わず、小学生の力でも収穫が簡単なほどです。それもまた淡竹のやわらかさのおかげなのでしょう。

コストパフォーマンス高し!
淡竹が人気のワケ。それは、タケノコ特有の歯触りの良い食感はもちろんのこと、孟宗竹に感じることのある"えぐみ(アク)"が、ほとんど感じられないこと。販売されるのは主に、朝採りの新鮮、採りたて野菜などが並ぶ直売所です。買って直ぐならばほとんどえぐみを感じないために、水で茹でるだけと調理も簡単。またものによっては、裾から覗く青竹を思わせる鮮やかな色味が硬そうなイメージを連想させますが、実際には皮を剥いたら捨てる部分はほとんどないほどに、上から下まで丸々一本食べられるのです。食べる部分が多いのも淡竹の嬉しいところ(ただし、皮をむくと半分ほどの量になってしまいます)。そのうえお値段も手頃ときています。

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えぐみはほとんどないとはいえ、「すぐ味が落ちる」といわれる淡竹。美味しく食べるためには一分一秒を争って下処理を行った方がいいのですが、ほんの数時間前に収穫したものであれば、糠などを使ったアク抜きも必要なく、茹でるだけの手間要らず。タケノコご飯にタケノコの味噌汁、そして煮物に天ぷらと、1本の淡竹で淡竹のフルコースが完成してしまう程にいろいろな料理に使いまわしが効きます。なかでも採ったばかりのものを皮付きのまま焼いて食べるのが、自然の醍醐味を味わえる、一番のオススメだとか。

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淡竹の皮にタケノコご飯を盛りつけて
※外側の大きな皮を天日でカラカラに干し、保存しておきましょう。使う時に水、またはぬるま湯で戻せば以前の状態に甦り、天然のエコラップとして使えます。

それでは、もっとも簡単なレシピ、信州発「淡竹の味噌汁」をご紹介します。


淡竹の味噌汁

1.淡竹は、太い部分は縦半分にして、全体を斜めに薄くスライスする。
2.鍋に水を入れ、切った淡竹、人参やキノコなどをお好みで入れながら、10分程煮る。上に浮いているアクをすくったところで、サバ缶や味噌、豆腐などを入れてさらに5分程煮込めば出来上がり。

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※サバ缶を入れるのが信州バージョン。なぜなら信州人は、淡白な味のタケノコにサバの缶詰めを入れた味噌汁がお気に入りなのですから。


手に入る期間も、あとわずか
孟宗竹の頃を終えても、また再び巡り来るタケノコシーズンの到来に、シャキシャキ、ポリポリと小気味良い音を響かせ味わう淡竹を楽しみながら、長野に暮らす幸せをも噛み締める梅雨空の下。6月いっぱいはこの淡竹が、長野市の信州新町、中条、小川村などの直売所に出回る予定です。あっさりとした淡白な味わいの淡竹を、ぜひ味わってみてください。

「はちく」ミニ知識
ちなみに、"破竹"も淡竹と同じく「はちく」と読みますが、タケノコの場合に用いるのは淡竹です。破竹は「破竹の勢い」などと言うように、勢いが激しく留め難いという意味に使われるもので、タケノコには使いませんのであしからず。

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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