南から始まった信州のタケノコ前線もいよいよ北上。北信州でも、5月中旬頃から根曲がり竹や淡竹といったタケノコがニョキニョキ顔を出し、直売所やスーパーに並んでいます。 今回の主役は、リンゴ農家である編集部員D宅(長野市桜)のリンゴ畑に雑草のごとく生えているタケノコ「淡竹(ハチク)」です。「リンゴ畑にタケノコが生えるですか」と声が聞こえてきそうですが、リンゴ畑の横が竹やぶなんです。今回は、採っても採ってもニョキニョキ畑に出てくる淡竹の活用術をご紹介します。
淡竹は孟宗竹よりだいぶ細身で、皮の色合いと産毛がないことが特徴のタケノコです。孟宗竹のように地面を掘る必要はなく、すぐに地面に出てきます。エグミ、アクが強くないので、地面から30cm~40cm位出ているものを採ります。採り方は、鎌を使って刈り取るのが簡単ですが、鎌を使わなくても地面近くを握り、強く折り曲げるようにして引っ張ると採れます。
穂先を切り落とし、包丁のかかとで切り込みを入れる
皮を手で剥く
採った淡竹は、まず皮を剥きます。皮の剥き方は、根元から先に向かって包丁のかかとの部分の刃先を皮の厚みを考えて刺します。力を入れて穂先に向かって一気に切ります。穂先は先に切り落としておいた方が切りやすいです。切り込みを入れたら、切れ目に指を差し込み、開くようにして皮を剥いていきます。
皮を剥いだ淡竹は大きめの鍋に入れて茹でます。淡竹はアクが強くないので、米ぬかがなくても水だけで茹でても大丈夫ですが、我が家では米のとぎ水で茹でます。20分~30分ほど茹でたら火を止めて、そのまま冷めるまでおきます。
茹であがったタケノコたち
茹で上がったタケノコは煮物やタケノコご飯、卵とじ、漬物など、お好みの調理方法でお楽しみください。我が家では、淡竹がどっさり採れたときは、茹でて冷凍したり、乾燥させたりして、1年中いろいろな料理に利用します。
干しタケノコ制作中
さまざまな料理に変身するタケノコですが、北信州で避けては通れないのがサバの水煮とタケノコのお味噌汁。根曲がり竹とサバの水煮の味噌汁ファンは多いようですが、淡竹とサバの水煮の味噌汁もイケます。北信州のスーパーでは、タケノコが出回る時期になると、サバ缶が山積みに売られています。長野市内のスーパーの店長に聞いたところ「今年はタケノコが5月中旬頃から出回り、それにともないサバ缶の売上もうなぎのぼり。タケノコがスーパーに並ぶのはほぼ1カ月間のみ。この1カ月間で年間売上の4割のサバ缶が売れる」と教えてくれました。長野県のサバ缶の消費量は、全国的にも多いことは聞いていましたが、タケノコの時季だけで年間売上の4割とはびっくり! 根曲がり竹や淡竹が手に入ったら、ぜひ、サバの水煮とタケノコの味噌汁を試してみてください。一度食べたら忘れられないおいしさです。(注:くれぐれもサバの味噌煮は使わないこと)
長野市南千歳に小料理「竹の子」があります。経営者であり、料理講師の杉山幸子(さきこ)さんは、「竹のように根をはり、節を作って伸びていきたいという意味でお店の名前を付けた」と話してくれました。
小料理「竹の子」の淡竹づくし料理を紹介します。 タケノコと帆立で炊いたご飯。汁は、サバの水煮とタケノコ(淡竹)、新玉ネギ、ジャガイモの入ったお味噌汁。細めの淡竹を使った「焼きタケノコ」。根本部分のタケノコを使い半生ニシン、高野とうふ、わらびと一緒に煮た煮物。穂先の柔らかい部分を使った胡麻和えと酢味噌和えの2種類の和え物。料理によってタケノコを使い分けているのはさすがプロ。すべていただきましたが、素材を生かした料理は、お酒にも合い美味しかったです。 タケノコと帆立ご飯はすぐに試したいと、作り方を杉山さんに聞いたところ「帆立の缶詰とタケノコは相性がよく、缶詰の汁は捨てずにご飯を炊くときに入れます。味付けはお好みでしょうゆを加えて」と教えてくれました。 杉山さんの料理を味わいたい方は、小料理「竹の子」へどうぞ。完全予約制ですので、事前に電話してください。
こちらは 2015.06.16 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
さくら
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