子どもの頃から、ナスが苦手でした。独特の柔らかさ、噛んだ時のじゅわっと感、味のなさ。これまで避けてきた野菜です。
でも、ある日立ち寄った長野県の直売所で「とろなす」という不思議な名前のナスに出会ったのがきっかけで、すべてが変わったのです。
この白いナスが「とろなす」です
出会いは白ナスの取材
その日、訪れたのはJA長野八ヶ岳の白ナス畑。初めて見る白いナスに驚きました。生産者の方いわく「焼くだけでトロットロになる不思議なナスですよ」。
そして取材終了後、とある小さな農産物直売所へ行きました。目に入ったのは、ころんと丸くて、白っぽいナス。「とろなす」と書かれています。先ほど聞いた話も相まって、名前にひかれて買ってみました。
▼ブログ記事(とろとろ食感がたまらない!見た目も魅力的な白ナス)
焼いてみたら…まさかのスプーンで食べるナス⁉
家に帰って、オリーブオイルでじっくりグリルしてみると——外は香ばしく、中はクリームのようにとろけるナスに。
ひと口食べた瞬間、「これがナス!?」とびっくり。スプーンですくって食べられるほど、なめらかでやさしい味わい。苦手意識が一気に吹き飛びました。
白ナスを焼いてネギや醤油などで味つけすると、さらにおいしい!
なぜこんなにおいしい? とろなすのヒミツ
調べてみると、とろなすは長野県の高原地帯で栽培されている丸ナスの一種とのこと。昼夜の寒暖差が、やわらかくて水分たっぷりの果肉を育ててくれるのです。
特に、飯田市や安曇野市では「加熱してこそおいしくなる品種」として知られ、地元では焼きナスや揚げ浸しにして親しまれているとのこと。
筆者が最近食べる「なすのお浸し」
食べ方いろいろ。農家さんおすすめレシピ
とろなすの魅力は、加熱すると「とろける」ところ。「加熱すればするほどおいしくなる」という言葉どおり、火を入れると本領発揮です。
農家の方に聞いたおすすめの食べ方をご紹介します。
• グリル焼き:半割にしてオリーブオイルをかけ、じっくり焼くだけ
• 田楽:焼いたとろなすに味噌ダレをのせるだけ
• 揚げ浸し:素揚げして、めんつゆに浸すだけ。冷やしても絶品!
筆者がよく食べる「おろしポン酢」。さっぱりして夏におすすめ!
ナスが苦手な人こそ食べてほしい!!
あの日の直売所での出会いが、私の「ナス観」を変えてくれました。
今やとろなすは、私にとって夏のごちそうのような存在。見た目は地味だけど、食べると忘れられないおいしさがあります。
ナスは水分が約94%。体の熱を逃す作用がある「カリウム」も豊富です。ナスの旬は、初夏から初秋。まさにこれから一番おいしくなります。
今年の夏、どこかでとろなすを見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。もしかしたらあなたも「ナスに恋する夏」を迎えるかもしれません。