この清々しいまでに青々としたタケノコをご存知ですか? その名前はネマガリタケ。最近は少しずつその名前も有名になってきています。
「ネマガリタケ」は、和名を「チシマザサ」というイネ科の笹の一種の別名で、長野県では標高の高い降雪山地に生じるタケノコの一種。
成長すると、茎が根元から曲がっている様子から「根曲がり」と名づけられたと言われています。「1枚皮をはぐごとに1つ歳が若返るのではないか?」と錯覚するほどの瑞々しさ、若々しさを持つ貴重なタケノコなのであります。
隠れたファンが多い山菜
このネマガリタケ、収穫できるのはその年の気候にもよりますが、ほぼ6月の1カ月間のみ。期間限定で今の時期にしか味わえません。まさに旬の味なのです。おそらくこのネマガリタケが取れる時期を「今か今か」と待ちわびている人たちは相当な数にのぼると思われます。試しにグーグルで「ネマガリタケ」を検索すると、14900件もヒットするほどで、いかに山菜としてのネマガリタケにファンが多いかがわかります。
その調理法はと言えば、実に様々。ホイルで焼いて歯応えと瑞々しさを存分に味わうもよし、煮付けにしてその滋味を味わうもよし、天ぷらにしてもよいし、シンプルに茹でてマヨネーズや味噌をつけるだけでも十分すぎるほどうまい。採れたての新鮮なものなら灰汁(アク)を抜く必要もないので、皮をむいたら即、調理開始できるのです。
サバ缶とネマガリタケの味噌汁をご存じか?
こうした様々な調理法に合うネマガリタケですが、北信州でネマガリタケと言ったら避けて通れないのがサバ缶とネマガリタケの味噌汁。一体全体誰が最初にこれをはじめたのかわかりませんが、このサバ缶とネマガリタケは相性抜群なんです! もし手に入ったときにはだまされたと思って試してみてください。食べるたびに最初に考えた人に感謝したい気持ちでいっぱいになります。
作り方もいたって簡単。いつものように味噌汁を作りはじめたら、皮をむいて適当な大きさに切ったネマガリタケを入れます。そして、ネマガリタケが丁度よい軟らかさになったらサバの水煮缶を投入します。あとは温めて味噌を入れたら、ハイ完成。本当においしいのです。冬場にふとこの味を思い出すと、食べたくて食べたくて苦しくなるくらいです。
この時期、県内の旅館や料理店などで、ネマガリタケの料理を提供するところが増えています。また、運がよければ直売所でも見かけることができるはずです。6月に長野県を訪れる機会のある方は、ぜひこのネマガリタケとの出会いを求めてみてください。