果物

りんご畑ではいまなにがおこなわれてるか?

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突然ですが、じつはわたし、りんごが嫌いだという人に会ったことがありません。つまり誰もが大好きなのがりんご♪ 先月は、りんごの花を紹介させてもらいました。月が巡り、その、かわいらしい花も、ちいさな果実になりました。このりんごのベビーがおいしいりんごに育つまでには・・・そう、今、まさに、りんご農家のみなさんが汗をかきながらが、もくもくとおこなっている「摘果(てっか)」という作業が、重要なのであります。

「摘果」の作業とは、読んで字のごとく、果実を摘(つ)むこと。ええー、摘むの? でも、どうなってる果実を? よいりんごになる果実には、小さいときから違いがあるの? もっと知りたーい!! 必ずやそこにはおいしいりんごの秘密が隠されているハズだから!

と、いうことで、長野県北部に位置する志賀高原山ノ内町平穏(ひらお)上條地区で、平穏りんご部会長を務める湯本浩さん(47)のりんごのベビーたちがまっているりんごの畑へさっそくいってみましょう!! りんご園からは北信五岳である、飯綱山、戸隠山、黒姫山、妙高山、斑尾山が一望できます。

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北信五岳をのぞむ春のりんご畑

まるひらりんご、知ってますか?
湯本さんの畑のある志賀高原は、標高500〜700メートルで、リンゴを栽培する一大産地。昼夜の温度差が大きくて、食味や着色、果型が良いのが特長で、と〜っても甘くて、なかに上品な酸味がつまったりんごができるところです。

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この地域を網羅するJA志賀高原は、昨年、大阪本場青果卸売協同組合と大阪市中央卸売市場から、リンゴの優良産地と認められ、全国でも選ばれた果実4団体の中のひとつの産地として認定をうけました。

昭和のはじめから品質の高さは市場で評価が高く、日本一と評価する方もいるぐらいなのです。そう、スキーの聖地は、長野県でも優れたりんごの産地なのです。平穏でとれたりんごは、「○の中に平」のマークで「まるひらりんご」。「まるひらりんご」と言えば、おそらくりんご好きな方はご存知かもしれません。

志賀高原のりんごがうまいわけ
この優良産地の平穏りんご部会長を務める湯本浩さんは、農業歴20年のベテランだ。だからおいしいりんごの作り方をよおく知っているのです! 湯本さんは、りんごの栽培面積約1.1ヘクタールに、つがる、ふじ、王林、シナノスイートなど様々な品種を栽培し、愛情を注いでいます。昨年は、裏年と呼ばれる年で、気持ち少なめのコンテナで約2000ケース出荷。今年は春から花のつき具合も上々で、今年はよさそうだと笑顔で答えてくれました。

生産者からみた、志賀高原の特長として、湯本さんは「1.自然や環境(標高、温度差)が整っていること」「2.りんごの木の特長として枝が細いのこと」のふたつを挙げます。

「枝が、細い」だって??

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太くしっかりした枝が
よいわけとはかぎらない

実は、おいしいりんごを育てるには窒素が必要で、木の枝が細い分、必要な窒素分が無駄なところにいかず、りんごのベビーたちに集まるそうです。「太くてしっかりしているだけがいい枝とは限らないんだよ」とその極意をさりげなく教えてくれます。

湯本さんは「木を知ること、木を一年中常に観察し、理解することがとても重要なんだよ。状態をいいままに管理する。これがたいへんでね。この摘果も重要な管理のひとつ。大変な分、秋においしそうなりんごが実ったとき、理想的なりんごになったときがほんとにうれしいよ」と笑顔で答えました。

今、畑では、摘果(本摘果)を、湯本さんは家族4人でとりくんでいます。作業はだいたい、りんごの木1本につき約4人がかりで、たっぷり30分はかかります。今日作業している畑も、全部の作業を終えるまでに5日はかかるでしょう。

どの果実を摘めばよいのか?
春からの、花摘む作業「荒摘花」で残した、中心花(中心の花)が、基本的によい果実になります。「この時期の出来で、収穫の出来まで大体決まってしまう。だから摘果は重要なんだよ」と教えてくれる湯本さんの顔は真剣そのもの。

よい果実の形は、例えるなら「ビアダル型がよい」とされています。湯本さんの摘果作業をみていると、形の悪いもの、小さいもの、傷があるもの、虫に食べられたものが次々と摘まれ、手際よくかわいらしいりんごたちが選ばれていきます。

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そこで、おいいしいりんごになる果実と悪い果実を、真横にスパッと切ってみました。左の写真をご覧下さい。わかりますか、写真左は切り口に星が出ています。均等み種が並び、形が整い蜜がのります。ところが、右は、星がいびつ形で、種がしっかり入っていません。このような、果実を摘んでいくのです。

それでも、どうみても、よい形をしている果実を次々に積んでいく湯本さんに「形はよいのにどうしてだめなんですか?」と疑問をぶつけてみると「これは、枝に近くてね。枝に近いと大きくなるとりんごの実と枝がぶつかってしまい、結果的によいものはつくれないんだよ」とのお答え。なるほど、なるほど〜、良いりんごたちというのは、このようにして選び抜かれたエリートたちなのですね。

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夏のはじめに翌春を見る
また、湯本さんは摘果をしながら来年に花をつける場所もチェックしていくといいます。摘果には、りんごの木に蓄えられている栄養を無駄に使わないという効果もあるからです。適切に実を選定することで、来年に木の元気を残し花が成長するための栄養を残しておくのです。右の写真の真ん中の分岐しているところから、来年、花がつくそうです。

「来年の花も上々の様子だよ」と湯本さんは笑顔でした。もう来年のことがわかるのです。これには経験が必要で、話を聞いただけではどこから切ればよいやらわかりませんでした。この摘果作業は、6月いっぱい行なわれます。

「これが終わると次は桃の袋かけさ」と湯本さん。果樹農家さんは、3月の剪定(せんてい)作業からほとんど休みなく、畑で汗をながし続けるのです。

収穫の秋が楽しみ
りんごの摘果作業の一場面はいかがでしたか? りんご農家は毎日汗をかいて、みなさんにお届けする日を楽しみに作業に励んでいます。志賀高原も10月頃から(品種により異なりますが)収穫が予定されています。収穫期には、もう一度、湯本さんの手によって選び抜かれたりんごたちを、当ブログにて紹介する約束を固くむすび、畑を後にしました! 収穫の秋にまた会いましょう。

indexarrow.gif 関連記事 長野県のおいしい食べ方アーカイブ:高原を渡る風にもリンゴの花の香りがします(2007年05月09日)

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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