さてみなさん！ すでに長野県内では、販売解禁となった１１月１日から、赤く色づいたりんごが店頭に並んでいます。長野県のふじの栽培面積は４８６０ｈａで、収穫量は１１９,１００トンと、リンゴ全体の６割を占めるほど（平成１７年度産）。ふじは、国光とデリシャスの交配品種で、「Fuji apple」として世界でも名の通った日本を代表するリンゴであり、多くのみなさまに愛され、贈答用としても喜ばれているリンゴです。そこで今週から４回のシリーズで、とれたてのおいしいりんごを求め、長野県内の「ふじ」を栽培している農家の方を訪ねることにしました。
今年のリンゴは良いですよ
第１回目は上田市富士山の室賀俊彦さん（７２）の畑におじゃましました。
ちょうどこの日は朝の冷え込みが強く、空気が凛と澄み渡った青い空に赤く色づいたリンゴが朝露に濡れてきらきらと輝いています。収穫を目前にして、朝早くから玉回しと葉摘みに忙しい毎日。室賀さんがうれしそうに言いました。
「今年は豊作だね。色づきもいいし味もいいし、作柄良好だよ！」
室賀さんは本格的に農業を始めて３０年になります。現在はリンゴ５０ａ、巨峰２０ａ、米５０ａを栽培。１５年ほど会社勤めを経験したあと、４３歳で帰農して、家に入ったといいますが、最初のうちはなにがなんだかまったくわからなかったと言います。「１０年たってやっと農業がわかるようになったよ」と。
同時に、ブドウ部会の役員やＪＡの理事も務めました。
「農業ってすべての責任は自分にあるんだ。自分の努力次第。結果がよくても悪くても何も言えない、自分が出した結果だからね。」
りんごに味が凝縮されているわけ
室賀さんが特に力を入れているのは「土づくり」です。もともと上田市の土壌は粘土質が強く、栄養分が土になかなか吸収されないため、畜産農家とタイアップしながら、毎年大量の有機質肥料を投入しているのだそうです。そうすることによって栄養分が吸収されやすい土に変えていくのです。
不思議なもので、リンゴはその土地によってそれなりの特徴があります。昔からこの地区は雨が少なくて、水に困ることもしばしばあり、そのためにため池もたくさんあります。そのことを逆手にとって、上田市では果樹栽培が盛んになったのです。
雨が少ないぶん、玉伸びはよくないけれど旨みが凝縮されており、形も有名産地のリンゴと比べると丸く、酸味が少ない分甘味が強く感じられるリンゴが収穫できるのです。
「自信を持っておすすめできるリンゴだよ」と室賀さんは胸をはりました。収穫が始まるのは今週末の１０日過ぎから。収穫がはじまる１週間前のこの時期は蜜入りが一番気になるところだといいます。
試しに室賀さんにお願いして収穫前のリンゴを半分に切ってもらいました。ご覧ください、すでに蜜が入りはじめています！ このところ朝晩の冷え込みも強くなり、おいしい蜜入りリンゴが期待できそうです。
東山観光農園でりんご食べ放題
室賀さんはまた、ＪＡ信州うえだ塩田東山観光農園の委員長も務めています。地域活性化の目玉をあれこれ考え、最終的に自分たちの作ったものを自分たちで売ろうじゃないか、ということではじまった観光農園は、直売所も併設し、園地を提供する地元主力農家３０人（リンゴ１５人、ブドウ１５人）で構成されています。
もぎ取り入園者は年間で２万５千人を数え、その内８割が県外からだといいます。一年中お客さんに畑に入ってもらえるよう冬場はいちご園（６月ごろまで）、来年はサクランボ園も計画中です。
ＪＡ信州うえだ東山観光農園
上田市富士山２０１９ 上田リサーチパーク南側
電話０２６８−３９−０２１０
入園料４００円で、食べ放題。
アクセス方法や地図はＪＡ信州うえだ管内直売所案内サイトへ
おいしいリンゴを見分けるTIPS
お店で見分ける方法としては、まずお尻の凹んだ部分を見ること。緑味が抜けてハチミツ色をしていれば完熟の印。持ってみてずっしり重く感じる、お尻の部分が黄色い方が蜜が入っています。このリンゴ、縦にではなく、真横にスパッと切ると、切り口に星型を見ることができます。
リンゴ｢ふじ｣シリーズ第２回目は、安曇野市の生産者を訪ねます。お楽しみに。
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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
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