米穀

富士見町は古代米復活にふさわしい土地

murasaki-1%28200%29.jpg「あなたは何からできていますか?」と質問をされたら、あなたはなんと答えますか? 「骨と肉」ですか。なるほど。「細胞じゃないか」って。なるほど、なるほど。「思い出から?」 んー、そういう考え方もあるでしょう。しかし、ズバリ言いますと、わたしたちは「わたしたちが食べたもの」で出来ているのです。この世に生を受けてから食べてきたさまざまなものが、今日のわたしたちの体を作りあげています。

お母さんのお腹の中にいたときは、お母さんが食べた物から栄養を受け取っていました。お母さんはそのお母さんの食べた物から栄養をもらい、そのお母さんはそのまたお母さんから栄養をもらい...とご先祖様から祖先までその流れは続いていくのです。人間はいつの時代も食べ物を食べずには生きていけません。これからもそれだけはかわることはないでしょう。

そこで、今回はわたしたちの御先祖さまたちも食べていたかもしれない古代米の品種のひとつ「古代紫米」を取りあげました。お話をうかがったのは、八ヶ岳連峰の裾で紫米の生産に積極的に取り組んでいる富士見町JA信州諏訪管内)役場新しいまちづくり係の伊藤一成(いとうかずなり)さんと、紫米を生産する「元気を出すぞ蔦木宿(つたきじゅく)の会」代表の名取栄一(なとりえいいち)さんです。

古代の遺跡での出会い
富士見町が紫米の特産化に乗り出したのは一昨年(2004年)のことで、町内の井戸尻遺跡で開かれた収穫祭がそのきっかけでした。特産品づくりを考えていた伊藤さんの目に留まったのが古代米100%のおにぎり。一口食べてその食感に「これだ!」と感じいったそうです。古代の遺跡にちなんだ土地で古代米を栽培し、特産品化してまちおこしに生かそうと、さっそく取り組みがはじまりました。

町内の農家に依頼して栽培をはじめ、販売を開始したのが昨年の秋。約200キロを売り出したところ、予想外の反響があり、ほどなく完売となりました。伊藤さんによれば「驚くほど売れた」そうです。

町では、この販売状況を見て、町の特産品としてやっていけると確信し、生産量の拡大を進めました。ここで名乗りをあげたのが地域の活性化を目標に活動を続けてきて名取さんが代表を務める「元気を出すぞ蔦木宿の会」でした。同会の会員30人が積極的に紫米の生産に取り組み、なかでも名取さんは紫米16アールを栽培するほか、別に4アールでそのほか6品種の古代米を作っています。

今年度町全体での紫米の栽培面積が30アールだったので、ざっとその3分の2を名取さんが栽培している計算です。そして紫米以外にも、品種は数百種もあると言われる古代米のなかから、いくつもの種類の古代米を栽培しているのかというと、自分たちの町がある八ケ岳西麓の高原の気候などに、より適応した品種を探しだすためです。今年(2006年)の段階で紫米は蔦木宿の会のほか、4軒の農家と町内の高校で作られており、町全体での収穫量は、籾で約1200キロ、精米で約850キロとなりました。

名取さんの紫米は、旧甲州街道沿いの坂平遺跡の圃場で栽培されています。農薬を使わず丹精込めて作られた紫米は、収穫の時期となると田んぼ一面が紫に色づき、豊かな景観づくりの役割も果たしています。

murasaki-2%28200%29.jpg

子供たちはみな大好き
紫米は、脱粒性(収穫期に籾が落ちてしまうこと)が強く、背が高くなることから倒伏しやすいことなどが影響し、普通のお米と比べるとその収量は半分程度。しかし一方、栄養面では必須アミノ酸をふくむタンパク質や、ビタミン・ミネラルがたくさんあって、紫色が示すとおり、抗酸化物質ポリフェノールの一種であるアントシアニンもふくまれているのです。白米に少量混ぜて炊くと、色素が溶け出して米全体が鮮やかな紫色となって炊きあがります。見た目にも美しい紫米はお子さんのいる家庭などでも喜ばれるのではないでしょうか。

名取さんら蔦木宿の会のメンバーが作った紫米8キロが、この11月15日に、七五三のお祝いとして町内5つの保育園に寄付されました。取材にお邪魔した保育園では、栗や小豆と一緒に炊いた紫米が給食に出されました。

園児たちは笑顔で紫米をほおばり、「おいしい?」の問いかけに「おいしい〜」の合唱で応えてくれました。同席した名取さんは子どもたちの食べっぷりを見て「たくさん食べて元気に成長してほしい。こちらも元気をもらいました」と満面の笑み。生産にますます張り合いが出たとも話してくれました。

murasaki-3%28200%29.jpg

古代米はここで買える
蔦木宿の会が育てた紫米、その名も「古代浪漫(ろまん)」は、富士見町にあるアグリモールふじみ内A・コープ富士見店で購入が可能です。紫米「古代浪漫」500グラム入りが1袋800円、同300グラム入りが1袋500円。連絡先は下記の通り。


 アグリモールふじみ内 長野県A・コープ 富士見店
 住所:〒399-0214 諏訪郡富士見町落合9984-1025
 TEL: 0266-62-2090  FAX: 0266-62-5872
 営業時間: 9:30〜20:30
 定休日: 冬季(11月・1月・2月)のみ 第3水曜日


murasaki-4%28200%29.jpg

町の特産品詰め合わせパックも
富士見町ではこのほか、紫米などを含めた特産品の詰め合わせパック「四季の味かさね」も販売しています。これは、そばの入った「里山自慢」、富士見の天然水やお茶菓子などが入った「お茶飲み自慢」、そして古代米や手作り味噌などが入った「よーめし(地元の方言で夕飯の意味)自慢」の3段重ねです。1段、2段、3段とそれぞれ別々にも注文可能で、「里山自慢」は1700円、「お茶飲み自慢」は2300円、「よーめし自慢」は2700円となっています。3段重ねで注文すると6300円とお得になります。12月になるとスノースポーツのメッカとなる富士見パノラマリゾート内の売店で取り扱っていますので、興味のある方はお電話を。

 

 富士見パノラマリゾート(売店)
 住所:〒399-0211 諏訪郡富士見町富士見6666-703
 TEL 0266-62-5666  FAX 0266-62-6600
 indexarrow.gif ウェブサイト

今後、八ヶ岳連峰の裾野にあって古代から人間の営みが続いている土地である富士見町では、古代米の生産者を増やすとともに、さらに気候に適した品種の絞り込みをおこなっていくそうです。近々、富士見町を訪れる機会のある方は是非A・コープ富士見店に立ち寄ってみてください。富士見町のウインターシーズンの幕開けはまもなく12月9日(土曜日)です。

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

1164121200000

関連記事

タマネギで泣かないための基礎知識
野菜

タマネギで泣かないための基礎知識

モチ学講座 もちとわたしたちと正月と
米穀

モチ学講座 もちとわたしたちと正月と

これから旬を迎えるイチゴが育っていました
果物

これから旬を迎えるイチゴが育っていました

まさしくそれは「畑のさしみ」でありました
野菜

まさしくそれは「畑のさしみ」でありました

新着記事