グスン、グスン・・・。皆さん、こんにちは。今のわたくしは涙が止まりません。なにゆえに? それは、われらがサムライ・ブルーたちのワールドカップが終戦を迎えてしまったからでもなければ、トーキョー・ジャイアンツがBクラスに落ちてしまったからでもありません。そう、実は今、わたくし、さきほどからタマネギを切っているのであります。タ・マ・ネ・ギであります。神話によれば、エジプトを脱出した古代イスラエルの民が、荒野を放浪中に天から食物として授かったとされるあのタマネギであります。と言うわけで、信州でも旬をむかえた新タマネギをば、今回はまな板にのせてみました。
タマネギはなぜあなたを泣かすか
タマネギを切っているときに目にしみてくる成分は、アリル化合物のひとつ硫化アリルです。この揮発性の硫化アリルが目にしみて、思わず涙がこぼれるのですが、「この硫化アリルの野郎!」とはけして思わないでください。タマネギを炒めると、だんだんとあめ色に変わってとっても甘くなりますよね。実はこれも、硫化アリルの力なのです。火を通すと甘味の成分に変わるのです。
硫化アリルの中に含まれるアリシンは血小板の凝固を抑えるので、血液をサラサラにして動脈硬化・脳血栓・脳梗塞予防にもなります。ひょっとしたら、タマネギを切っているときに出る涙は、「もっとわたしに感謝しなさい」とタマネギが出させている感激の涙かもしれないですね。ウウッ!
体を使う人はタマネギを食べよう
タマネギは中央アジアが原産と言われています。その歴史は古く、古代エジプトやメソポタミア文明の時代から食されてきたそうです。古代エジプトでは、ピラミッド建設に従事していた労働者たちの貴重なエネルギー源であったとか。大型建設機械などは影も形もなかった当時、労働者は大量のタマネギを食べてパワーに変えていたのです。
世界最大のタマネギはどれくらいか
日本には明治初年に導入されましたが、ほどなく文明開化の波を受け、食生活が洋風化されていくに従って栽培も盛んになり、現在の食生活に欠かせない重要な野菜の地位を築いてきました。ちなみに今も昔もタマネギの本場は地中海からヨーロッパで、世界で一番タマネギを食べる国は北アフリカのリビア。ギネスブックに登録されている世界最大のタマネギはイギリスはシルスデンの農家V.スロープさんで、ひとつが5キロ近かったといいます。
ひとつでふたつの顔を持つタマネギ
タマネギはユリ科の野菜でニラやニンニクの仲間になります。貯蔵性が良く、年間を通して食卓を彩る常備野菜の代表格とも言える野菜ですが、長く置いたものほど適度に水分が抜けていくので、じっくり炒めると甘い味がより引き出せます。きれいなアメ色が引き出せるのも、置いたものの方らしいです。とかく野菜は「採れたて・新鮮」というフレーズがもてはやされがちですが、タマネギになると真逆です。驚きましたか。
もっとも「採れたて」には水分が残っている分みずみずしさがあるので、生食には当然こちらが向いていますし、さっと火を通して食べる分にも「採れたて」が勝ります。そう考えると、採れたてとじっくり置いたもの、どちらも「旬のタマネギ」という気がしてきます。ひとつでふたつの顔を持つ野菜。ウーン、奥が深そうですね。
こんな食べ方ご存じか?
でも生で食べると息がタマネギくさくなるとして敬遠する人もいますが、そういうときにはパセリを少し食べてみてください。あっという間にタマネギの匂いが消えてしまいます。また一番外側の自然に落ちる皮だけをはがしたら、そのまままるごと400度に熱したオーブンで30分から40分ぐらい焼いたベイクド・オニオンはなかなかいけますよ。外側がかりかりに焼けていて中がしっとりとしているのがグッド。キャンプなどでも、まるのまま焚き火の近くの灰の中で焼いて食べてみてください。切ってバーベキューにするよりいけるかもしれません。
信州の今ごろの風物誌のひとつ
さてさて、長野県内も、まさに今がタマネギの収穫シーズン! 6月から7月にかけてがタマネギの旬で、なかでも千曲市はタマネギの中心的産地。昔は水田の裏作としてタマネギを植え、収穫後に稲の苗を植えていたのです。今では、ほとんど見られなくなりましたけれど。タマネギは涼しい気候を好みますので、今でしたら、信州のところどころで収穫したタマネギを吊るしてある風景が見れます。
タマネギで泣かないための原則
これからの暑〜い季節、タマネギに含まれるアリシンは疲労、食欲不振、不眠、夏バテに打ってつけの万能野菜ですから、泣かずに頑張ってタマネギを調理してみてください。ちなみに、タマネギで泣かない3つの法則は、
- タマネギをよ〜く冷蔵庫で冷やす。
- 包丁は良く研いでおく。
- 皮のまま電子レンジで約20秒ほど加熱してから切る。
この3つを覚えておくと、便利です。ぜひお試しを ♪(^_^)v