県内各地で紅葉が見頃を迎えて、赤、橙、黄色・・・といろいろな色を見せてくれます。きれいな景色も素敵ですが、食いしん坊が気になるのは、やっぱりおいしいものですね。黄葉しているイチョウの木からとれるギンナンは、季節の商品としてスーパーや直売所で見かけることもあります。そういえば、茶碗蒸しに入っているな・・・くらいに考えたあなた! 意外と簡単な調理で食べられるので、この記事を読んだらギンナンを味わってみたくなるかも!?
山ノ内町から見る高社山(撮影9月2日)
県北部にある山ノ内町は、標高500〜700mで昼夜の寒暖の差が大きいことから、実の締まりがよく、果汁の多いおいしいリンゴが生産される地域です。また、湯田中渋温泉郷として県内外の方から親しまれ、冬にはスキーヤーでも賑わいます。
小渕正(おぶち・ただし)さんは、20aの畑で約50本のイチョウを栽培しています。取材に伺った10月下旬は、ちょうど収穫を終えて出荷に向けた作業を進めているところでした。ギンナンといえば、殻に包まれた小さな実を想像されるかと思いますが、その状態で木に実っているわけではないんです。どのような作業を行っているのか、生産者の小渕さんに教えていただきました。
1.まだ葉の青いイチョウの木についた実を、木をたたいて落として収穫します。 収穫期が短いため、近所の方にも手伝ってもらって一気に収穫します。
晩夏の銀杏(撮影8月23日)
収穫期(撮影10月6日)
2.収穫した実は、袋に水と一緒に入れて、1週間〜10日ほど置いて軟らかくします。 このころになると、あのギンナン特有のにおいがしますが、生産者の方は「金のにおい」と言うそうです。
水と一緒に袋に入れ、軟らかくする
機械にかけて、種子と果肉を分ける
3.機械で洗って、果肉と種(ギンナンになる部分)を分けます。 この作業で取り除かれた果肉は、肥料として畑にまきます。 4.扇風機で乾燥させたあと、日差しをあててさらに乾燥させます(晴れていれば3日程度)。
扇風機での乾燥
天日干しで乾燥
5.ふるいにかけて規格ごとに選別し、網袋に入れて出荷します。
選別作業をする小渕さん
地元の直売所などで販売
イチョウの栽培には手間がかからないそうですが、収穫してから「ギンナン」の状態になるまでには、このようにたくさんの手間がかけられているんですね。ギンナンを乾燥させるために設置されたサンルームには、日差しをうけて、白くきれいに輝くギンナンがズラりと並んでいました。今年は粒がそろっていて、出来がいいそうです。
この地域を管内とするJA志賀高原には、「銀杏(ぎんなん)研究会」があります。今でこそ会員は6名になりましたが、発足した平成7(1995)年当時は、20名ほどの会員で結成されていました。後継者不足等が背景にありましたが、栽培の手間がかからず、また、熊やイノシシにも食べられないなどの理由で、ギンナンの栽培がスタートしました。藤九郎・久寿・喜平・金兵衛という品種を生産しています。研究会という名のとおり、県外に視察に行くなどして栽培方法も研究しているそうです。 このようにして生産されたギンナンは、地元の直売所に並ぶほか、JAに出荷されて主に関西の市場へ届けられています。
青空と黄葉のコントランストが美しい秋(撮影11月6日)
生産者の小渕さん(右)とJA志賀高原職員の山田さん
でも、ギンナンってどうやって食べればいいの? と思いますよね。生産者の小渕さんに、ギンナンの食べ方をお聞きしました。 ギンナンの殻を剥いたら、軽く煮て、スプーンを使って鍋底に押し付けて薄皮を取り除きます。その後、フライパンで炒めて(お好みで、フライパンに油をひいてもよい)塩をふったら出来上がりです。小渕さんは、地域の寄り合いがある際には、お茶菓子やおつまみとして、よく作っているそうです。また、ご飯と一緒に炊いて、ギンナン飯にもするそうです。生産者ならではの贅沢な楽しみ方ですが、季節もののギンナンを思う存分味わうのなら、一度は試してみたいものです。
こちらは 2014.11.11 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
ピーチちゃん
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