果物

下伊那郡下條村の夫婦りんごは格別の味

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標高およそ750メートル。背後に雄大な南アルプスを望む高台に位置するこのリンゴ畑では、いましも「ふじ」の収穫が着々と進んでいる。太陽に近いこの場所で、光を存分に浴びて色づいた「ふじ」を生産しているのは、JAみなみ信州みなみ果樹部会の副部会長でもある古田勝美(ふるたかつみ)さんと、奥さんのかの子さんのふたりだ。夫婦力を合わせて「ふじ」50アールを栽培しており、今年度は約17トンの生産量を見込む。これまで4週連続してお届けした信州各地からの「ふじ」の特集記事、その最後をしめくくるのは、下伊那郡下條村のりんご農家古田さんに聞いた話である。

試行錯誤の25年間
古田さんのリンゴ畑が拓かれたのは、昭和24年頃と言うから、太平洋戦争が終わった直後のことである。古田さんの父親が山林だったところを開墾して畑を築いた。これまでに国光、スターキングなど、今となってはあまり聞きなれなくなった品種を経て、現在は「ふじ」を中心に栽培する。

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古田さんが農業をはじめたのは今から25年ぐらい前。父親のあとを継いでサラリーマンから転身した。奥さんと二人三脚で、試行錯誤しながら、今日を迎えている。

今年の出来をうかがってみた。収量は昨年と比較すると2割ほど減少しているそうだが、これは昨年の収量が多かったためで、今年は例年と比較すると「やや少ない」くらいだという。

「ほぼ例年並みの大きさを確保できたが、若干小玉が目立つのが不満。来年の課題かな」と古田さんは口にした。あきらかにそのまなざしは次年度を見据えているように見えた。

栽培にあたっては、害虫の雌の匂いを染み込ませたコンフューザーというフェロモン剤を設置して、雄が雌の居場所がわからないように錯乱(コンフューズ)させて交尾を阻害し幼虫を減らす方法を導入するなどし、農薬を極力使わないよう配慮するほか、毎年1回の土壌検査は欠かさずに行い、その土に最も適した肥料を与えるなど工夫を凝らしている。

喜びも忙しいのも11月
作業はすべて奥さんと2人だけで行うため、やはり11月の収穫期が1年で最も忙しいという。

「収穫は一年間の作業の成果が実るとき。一番うれしいのはやっぱり収穫の時だけど、一番作業が大変なのも収穫のとき。喜びも苦労も収穫期に一番表れますね」

古田さんは笑いながら続けた。「ここはリンゴの栽培に適した土地だという自負があります。酸味と甘みの調和のとれたおいしいリンゴを是非みなさんに味わってもらいたいですね」

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ふじの収穫作業は、てんてこ舞いの忙しさのなか12月の上旬まで行われる。そして収穫を終えると、そのあとは土に肥料を与えたり、剪定という不必要な枝をはらう作業を年内いっぱい行う。

来年の生産に向けての本格的な作業は、年明け早々に開始される。リンゴ栽培の今後について、古田さんは「現在の面積を維持しながら、『ふじ』の優良品種の選定・導入を進めていきたい」と語る。

口伝えで広がる美味しさ
昨年訪れたお客さんの中に、古田さんから購入したリンゴで作ったアップルパイがあまりにおいしかったので、再度、わざわざ愛知県から下條村を訪れて、購入していった方もいたという。

「『贈答用にいただいたのがおいしかったから』って、購入希望の電話がかかってくることもあるんですよ」とかの子さん。

年を追うごとに古田さんの作るリンゴのおいしさは、口コミで広がり続けているようだ。最後に、当ブログ読者の方で、この古田さんのリンゴに興味のある方は、電話でご注文もいただけます。数量・金額は相談のうえということですので、電話をした際、相談してください。

arrow2.gif 古田勝美さん宅 電話:0260−27−3397

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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