高原を渡る風にもリンゴの花の香りがします

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りんごの花を見たことがありますか? 今、信州では5月に入り、りんごが各地で可憐に花を咲かせています。りんごは大好きでも、花はあまりじっくり見たことがないという方も多いのではないでしょうか。

白い花に、ピンクのつぼみ、いかがです。とても,愛らしくて、素敵ではありませんか。桜にも負けず劣らずの美しさに、ファンが多いのもうなづけます。リンゴの花がいっせいに咲くと、空気にリンゴの香りが混ざって、なんともいえないうっとりとした気分になります。写真はこの月曜日、5月7日に北信州高山村荒井原のりんご園で朝の6時に撮影したものです。

花が咲くと農作業も本番
でも、果樹農家は花見気分でいるわけにはいきません。こうやって花が咲くと、いよいよこれから農作業の本番を迎えるからです。これからの5月は、この可憐な花を効率よく、おいしいりんごたちに育てるために、花摘み、受粉、摘果(てっか)という作業を行なうことになります。

信州は高地ですから5月でも霜が降ることがあります。農家にとって、霜が降りると、その温度差から、サビ(りんごの表面に点々)がつきやすいりんごになってしまうため、今ごろが心配な季節でもあります。

霜の心配がなくなった頃にようやく、乾燥防止や弱い肥料として、りんごの木の下へ藁(わら)をしきます。りんごは肥料の量が難しいと言われ、木にみあった肥料をあげないと、木そのものだけが成長しすぎてしまい、美味しいりんごが収穫できません。

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花摘みは、ひとつの芽から5つ、6つ咲いている花を、中心の花だけを残して周囲の花を摘んでしまうことです。せっかくけなげに咲いている花をもったいない、と感じる方もいるかと思いますが、花を摘むことで、樹の貯えた養分の消費を少なくし、りんごたちを今後すくすく成長させるためのものです。

また、花が少ないほうが受粉の確率が高くなります。受粉は、自然にまかせるだけでなく、農園ではミツバチをはなして、それで受粉をうながす方法などもとられています。花摘みは、もちろん手作業。2〜3人で一日かけても約20本できるかどうかで、とても手間がかかる仕事です。

せっかく実った実を摘む理由
花はしだいに、実をつけていきます。そこで、摘果(てっか)という作業が行なわれます。摘果とは、すばり「りんごの実を摘むこと」です。ええー、せっかく実がなったのに、なぜ?

そうなのです、たくさんなった実を、そのまま自由にならせたままにしておくと、木が蓄えた養分、おいしさが、各実に分散してしまうのです。また、りんごのような落葉果実は、春の訪れにあわせ成長をはじめるため、前年に蓄えられた樹の体内養分を利用することになります。つまり、今年の作業から来年の花がしっかりつくように、少しでも貯蔵養分を無駄にしないようにしておく、これが摘果の目的となります。

作業は、実がなったそのなかで、主に中心の実を残して摘みます。1カ所に1果とするのです。これわ「摘蕾(てきらい)」と呼ぶこともあります。もちろん、手作業で多くの時間をもちいて、木々と話を交わし、愛情を注ぎながら、6月半ばまで作業は続けられます。これが、一回目の摘果。それがすむと、今度は2回目となる本摘果(ほんてっか)と呼ばれる、おいしいりんごが収穫できる適正量にするため作業へと移ります。また、場合によっては、3回目の摘果を行なうこともあります。

選ばれた恋だから甘くておいしい
こうして、秋にみなさんのもとに届くりんごたちは、選びに選ばれた中のりんごたちなのです。だから、美味しさは保証つき。でもいましばらく、お待ち下さいね。今は、りんごの花を存分にご覧あれ。

そうそう、りんごの花言葉をご存知ですか?

「選ばれた恋」「選択」「名声」「誘惑」「最もやさしき女性に」などです。なんだか、切なくて、いっそう可憐な花に見えてきませんか?

今後もりんごたちの成長をレポートしてきますので、お楽しみに。

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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