桜が散る頃、信州では夏から秋においしい実をつける果物の花が咲き誇ります。
観賞用ではありませんが、素朴な花が畑いっぱいに咲く様子に心が躍ります。私たちが口にするおいしい果物はどんな花をつけているのか。その姿をご紹介します。
4月上旬 あんず
桜よりもやや早く、もしくは同時期ぐらいに咲くのがあんずの花。長野県内では、千曲市や長野市松代町が主な産地です。


ぽってりとした花がとてもかわらしいですね!
あんずの旬は、6月中旬から7月上旬。あんずの実は日持ちがしないため、出回る期間は短く、流通量は少ないので、生で食べられる機会は貴重です。ジャムで口にしている方が多いかもしれませんね。
4月中旬 すもも(プラム)
長野県が全国2位の生産量を誇る、すもも。白い花に、少しだけ桃色に色づいた部分のある、楚々とした佇まいです。


県内では「大石早生」という品種の収穫が7月上旬から始まり、長野県で開発されたオリジナル品種「シナノパール」という大玉スモモは10月頃に収穫されます。
4月中旬 桃
桃といえばその名のとおり、桃色の果実が一般的ですが、花もかわいい桃色です!
みつばちが受粉のお手伝い。愛おしい…

県内でもさまざまな品種が栽培されていますが、有名なのは「川中島白桃」ではないでしょうか。武田信玄と上杉謙信が争った「川中島の戦い」の地で生まれた桃です。長野県では7〜9月上旬に旬をむかえます。
4月下旬 梨
シャリっとした食感とジューシーな甘みの梨…の花。個人的には想像しづらかったのですが、真っ白できれいな花を咲かせていました。


長野県で開発された梨の品種「南水」は、シャリ甘で日持ちが良いのが特徴。おもに南信地方で生産が盛んです。9月下旬から10月上旬に旬をむかえます。
4月中〜下旬 ブルーベリー
ジャムでおなじみブルーベリーは、小さな実と同じように細かな花が咲きます。


県内では6月下旬から8月にかけて旬を迎えます。ブルーベリー狩りも楽しいですね♪
4月頃 さくらんぼ
名前のとおり、桜っぽいのかな?と予想しましたが、案外そうでもない(笑)。ひらひらとした花びらがスカートみたいでかわいい!


露地栽培の場合、6月中~下旬に旬をむかえます。さまざまな品種が味わえるさくらんぼ狩りも楽しいですね♪
5月初め りんご
さて、長野県の代表的なくだもの・りんごが花咲くのはゴールデンウイークの頃。生産が盛んなエリアでは、白い花がいっぱいに広がる景色が見られます!


長野県オリジナル品種「シナノリップ」など早生種のりんごは8月頃から収穫されはじめ、11月にりんごの王様・ふじが品種リレーのラストを飾ります。
りんごは同じ品種同士で受粉しないものが多く、たとえば、ふじの花粉をふじの花につけても実ができません。ですから実をつけさせたい木に、異なる品種の花粉を受粉させます(このことを知ったとき、ものすごい衝撃を受けました)。
よって花粉を取るための「受粉樹」が存在します。
受粉用りんごの木=受粉樹の花
受粉樹
花が咲いてから実をつけるまで3か月以上、品種によっては半年以上の時間がかかります。その間、不要な実を落として大きくする実を選ぶ摘果作業や、病気にならないよう成長段階に応じた防除を行うなど、大事に育てられます。
開花期には人工受粉の作業も
花咲く時期に恐れるのは、ずばり、霜。ゴールデンウィークの時期でも夜中の気温が0℃を下回り、霜にあたって花がだめになってしまう、いわゆる凍霜害(とうそうがい)の被害が出やすい時期なのです。収穫の時期以外でも農家さんは気が抜けません!
美しい花に心和ませつつ、実がつくまでの長い時間に思いを馳せると、信州の果物がより味わい深いものになるはずです♪