実りの秋、食欲の秋、そして収穫の秋。その収穫の秋の代表格といえば、お米。今年も信州に新米の季節がやってきました。聞けば、いつもより収穫が早いとのこと。ということは、例年より早く新米が食べられるということ。さっそく、長野県を代表する米どころのひとつ、安曇野で今年の新米の様子を聞きました。
北アルプスを背景にのどかな田園風景が広がる安曇野は、田植えの頃は水を張った田んぼが水鏡となる景色も、秋には一面が黄金色に染まり、日本のふるさとの情景へと変化します。 安曇野は国内有数の米どころのひとつです。 その安曇野の山麓にあるJAあづみでは、新米の出来を判定する米穀検査が始まり、生産者が丹精込めて育てた新米の玄米が連日運び込まれています。 米穀課の山田明男課長によると「安曇野では例年より1週間程度早く、9月1日から収穫しています。それに合わせて、検査への持ち込みも4日ころから始まりました」。 この検査は、等級検査とも言われるもので、検査員の目視によって一等米、二等米、三等米、規格外に判別します。 この検査を経て「長野米」として認められ、市場へと出荷されます。
続々と持ち込まれる新米
JAあづみ米穀課の山田さん
穀刺しで米袋からサンプルを取り出して検査
「私たちが検査するのは、米粒の形(整粒)や透明感。そこから成熟度を見ています」と山田さん。 検査方法は、生産者から運び込まれる、玄米が入った30kgの米袋に、穀刺しという道具を刺し入れ、米を抜き取ります。 この米のサンプルを見て、70%以上が整粒であれば1等米、60%以上が整粒なら2等米、3等米は45%以上と判別されています。 さらに1等米は、A・Bランクに分けられており、整粒が75%以上だと1等A、70%以上は1等Bとなります。整粒の割合が多いほどハイクラスということです。 その上、1等米になるためにはさらに厳しい基準があります。それは着色粒の混入が0.1%以下ということ。着色米とはカメムシなどの食害の跡が黒く残った米のこと。つまり1,000粒に2粒の虫食いの米があれば、等級は下がってしまうというわけです。 さらに水分含有量はいずれも14~15%。 なかなか厳しいですね。
「今年は8月に高温が続き、胴割れやカメムシの被害を心配していたのですが、今のところ心配はなさそうです」と山田さん。取材に伺った日に運び込まれた玄米にも次々と1等米の印が付けられ「長野米」の誇らしい袋が次々と倉庫へと運び入れられました。
長野県は、1等米の割合が全国トップクラス。過去12年にわたり毎年90%以上が1等米です。全国順位は平成24年産で2位となったものの、それ以外はずっと1位をキープしています。ちなみに27年産の1等米の全国平均は82.5%ですが、長野県は95.3%。もちろん全国1位です。
1等米には◎の印が押され、Aランクにはそれと分かるシールも貼られる
長野県で作っている米の品種は約7割がコシヒカリ。安曇野は9割がコシヒカリなのだそうです。北アルプスに端を発する清らかな水と、昼夜の寒暖差が育む米は、まさに粒ぞろい。 天候不順などにより昨年、一昨年の作況指数(平年を100とした場合)は95~98%の「やや不良」でしたが、「今年は高温が続き、生育が早かったものの、収穫の目安となる出穂から収穫までの積算温度900度にも達し、今年は『平年並み』です」と山田さん。このところの台風続きで、これからの収穫期に心配はあるものの「平年以上の期待をしています」。 JAあづみ管内の作付面積は約3000ha。標高540~700m地帯で約3,000軒の生産者が米作りをしており、今年は21万4,000俵(コシヒカリは19万4,000俵)出荷を見込んでいます。
低温倉庫で保管される
粒が揃っていて水分含有量を保っているということは、生産者が丹精込めて育てた証拠。おいしさの基準のひとつにもつながります。 1等米の割合が全国トップの長野県産米の新米。ぜひ食べてみてください。
◆JAタウン"お米のご注文はこちら"
こちらは 2016.09.20 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
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