古くから薬用とされるほど薬効に富んでいる果物「イチジク」。漢字で「無花果」と書くことから花がないと思っている人も・・・。実際は、ちゃんと花がありますが、人の目に触れにくい実の中にかくれていて、実の中の空間で咲くらしいんです。実をつけるためには受粉しなくてはいけないのですが、それにかかわるのがイチジクコバチという小さなハチ。しかし、日本にはイチジクコバチはいないので、虫の世話にならなくても実がなる単為結果性の品種のイチジクが栽培されています。
今回のイチジクは、県北部に位置する長野市若穂のJAグリーン長野若穂果実流通センター「農産物直売所ふれあい市」に出荷されているもの。その出荷者である玉川八重子さん(65)を訪ねました。
玉川さんが、農産物直売所に出荷しているイチジクの木は1本だけ。健康のために知人から株でいただき植えたものです。年月が立ち、枝を伸ばし、葉が生い茂り、高さ、横幅とも約3メートル以上に成長しました。葉の数だけ実がつくというイチジクの収穫は、お盆の頃からはじまり、霜が降るまで続きます。
家の周辺には梅、びわ、ざくろ、ナツメなどたくさんの果物の木
収穫にはちょっと早いイチジクたち
玉川さんは、ブドウの専業農家ですが、農園には、杏、梅、ブルーベリー、桃、梨、プルーン、リンゴ、ナツメ、ざくろなど、いろいろな果物が植えられていました。「珍しい果樹があると植えてしまう」という、自称「果樹試験場」。「本業であるブドウの作業が忙しい今の時期は、イチジクの収穫もままならず、鳥に食べられてしまうことが多い」と話してくれました。
イチジクを収穫する玉川さん
収穫間近のイチジク
ブドウの収穫の合間に、イチジクを収穫。収穫したイチジクの切り口からは、白い液が出てきます。手につくとペトペト。玉川さんはこの白い液を「ちち」と呼んでいました。この液の正体は、フィシンという蛋白分解酵素で、消化を促進する効果があり、昔から腫瘍に効果があるといわれています。イチジクは、フィシンのほか、食物繊維のペクチン、カリウム、カルシウム、ポリフェノール、鉄分などを豊富に含み、腸の働きを活発にしてくれます。
イチジクを収穫するときに白い液「フィシン」が滴る
農家のお母さんたちが丹精込めて育てた野菜や果物が並ぶ「ふれあい市」
ふれあい市に並ぶ玉川さんのイチジク
収穫したイチジクは袋詰めし、JAグリーン長野若穂流通センター「農産物直売所ふれあい市」に持ち込みました。同ふれあい市の主な出荷者は、農家のお母さんたち。直売所がなかった時は、家で食べ切れない野菜や果物は、近所や親せき、知人におすそ分けしていましたが、今はちょっと「小ずく」を出して(手間をかけて)直売所に持ち込めば、小遣い稼ぎができます。「作って、食べてもらって、みんなから『おいしかったよ』と言われるのが喜び」と語ってくれた玉川さん。
ふれあい市でイチジク談議に花をさかせる玉川さん(左)と仲間たち
玉川さんのイチジクのおススメの食べ方は、イチジクを砂糖で煮た「イチジク煮」。作り方は、イチジクと砂糖(イチジクの量の2分の1)を鍋に入れて、焦げつかないように水を少量加え、火加減を調整しながら飴色になるまで煮るだけ。お好みで砂糖の量は調整してください。 生のものは、旬の時期しかいただけませんが、イチジク煮は冷凍保存すれば一年中楽しめます。古くから不老長寿の果物として食されたイチジクを、自分好みの食べ方で楽しんでみませんか。
こちらは 2016.09.27 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
さくら
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