米穀

長野県のおいしいお米の声を聞く旅●北信編

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秋も深まりました。新米のおいしい季節です。長野県といえばリンゴなどの果物や高原野菜、そばなどが全国的にも有名で、お米の知名度はちょっと低いかもしれませんが、このところ長野県で収穫されるお米は着実に注目度をあげています。信州が知る人ぞ知るおいしいお米の産地だということは先月のブログマガジンの記事「長野県のお米が特別なのには理由があります」(10月31日号)でもお伝えしたとおりです。

そこで今回からシリーズで、県内各地の米どころから生産者の方のインタビューをお届けします。第1回目となる今回は、県内でも有数の米どころ、北信地方の飯山市に出かけました。

飯山市は市の中央を千曲川が流れ、北部に鍋倉山を中心としたブナの森が広がる自然豊かな土地で、豪雪地帯としても知られます。今回お話をうかがったのは飯山市の農事組合法人戸狩サンファームで代表理事組合長を務める宮沢 宝(みやざわ たから)さん(56)。

戸狩サンファームは農業法人として65ヘクタールの水田で米を生産するほか、50ヘクタールほどの水田の作業を受託しています。そして、この宮沢さんたちが作るお米(コシヒカリ)は、昨年開かれた第8回「全国米・食味分析鑑定コンクール」(協賛:福井県経済農業協同組合連合会)で金賞を受賞するなど全国的にも非常に評価の高いお米なのです。

1782種類のなかから選ばれた12のお米
お米のコンクールは、米・食味鑑定士協会が主催するもので、第1回目に372だった検体数は、昨年には1782という過去最高の参加数を記録しています。宮沢さんの戸狩サンファームのお米は、その1782ものお米の中からわずか12だけが選ばれる金賞の栄誉に輝いたのです。

このコンクールについて宮沢さんは次のように話しました。

start_quote.gifコンクールでは、送られたお米を2種類の機械にかけて、上位40のお米が選抜されノミネートされます。ノミネートされたお米は、今度は実際に審査員の方が食べてみて投票し、金賞と特別優秀賞が決まるという仕組みになっているんです。私は一昨年に初めて挑戦しましたが、その年はノミネートにわずかに点数が足りませんでした。2度目の挑戦となった昨年は、ノミネートの40のお米に選ばれ、それだけでも嬉しかったのですが、最終審査の会場で金賞受賞を聞いたときは、本当に喜び半分、驚き半分という感じでしたね。 end_quote.gif

最終審査の得票数もトップの9票に次ぐ8票を獲得したということで、金賞の中でも上位のお米として審査員の皆さんの評価を得たそうです。

宮沢さんは、こうした評価の高いお米が作れる背景に立地条件を挙げます。

start_quote.gif新潟県の魚沼がお米の産地としては有名ですが、あそこは盆地の多いところで、この辺りも同じような盆地が広がっています。盆地のため昼夜の温度差を強く受けていることもおいしいお米につながるひとつの要因だと思います。品質的にも魚沼産に見劣りしないという自信がありますしね。それからこの辺りには、ブナの原生林が広がっていますので、そこから流れるミネラルを含んだ水も良いのかな、と感じています。 end_quote.gif

生産者としての努力や工夫にはどのようなものがあるのでしょうか?

start_quote.gif3〜4年前から、土壌診断を行っています。収穫が終わってから1つの圃場につき5カ所から土を取り、それをブレンドして機械にかけます。結果を見る際は、ミネラル分などの微量要素を重点的に確認します。それぞれ一定の基準値があり、低い分については基準値に近づけるようにしています。幸いこの辺りの土地は鉄分こそ少し基準値を上回りますが、その他のミネラル分は基準値より低目のものが多いため、圃場ごとに様子を見ながら調整することができます。基準値より高いものは、土から成分を差し引くわけにはいかないですからね。それから、農薬も圃場ごとに様子を見ながら最低限のみ使うようにしています。使う必要がないところでは使いません。この辺りは豪雪地帯ですから、4月頃まで残雪があります。雪が残っていると、雑草は芽を出しませんので、雑草が生え始める時期が一定になるため除草剤の使用量も抑えることができます。この点は豪雪地帯ということがプラスに働いている面ですね。 end_quote.gif

さまざまな工夫や努力を積み重ねていますが、それでは一年間の作業の中で一番大変なことはどのようなことですか?

start_quote.gif一番大変なのは、何と言っても草刈りです。盆地が多いとはいえ、長野県には中山間地も多くあります。5〜6メートルほどもある傾斜のきつい土手部分の草刈りは人の手を使ってやるしかないためとても大変な作業になります。でも、そうした苦労の末に、自分が思ったとおりのお米が収穫できたときは、本当に嬉しいものです。 end_quote.gif

最後にお米作りへの想いと消費者の方へのメッセージを。

start_quote.gifわたしたちは、健康な稲を作ることに努力しています。お米は主食として体の中に入るもの。健康な稲から取れたお米は生命力のあるお米です。多くの方に、この生命力のあるお米を食べてもらいたいですね。 end_quote.gif

田んぼは冬には雪に埋まる
戸狩サンファームで作ったお米はそのほとんどが地元のJA北信州みゆきを通じて出荷されます。ただ、若干在庫があるとのことですので、「どうしても直接購入したい」という方は、戸狩サンファーム(電話:0269−65−4787)までご連絡のうえ、数量・金額等をご確認ください。なお、売り切れの際はご容赦のほどを!

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現在、宮沢さんたち戸狩サンファームのみなさんは、収穫を終え、来年に向けて秋起こしの作業を行っています。お話にもあるとおり、この辺りは豪雪地帯のため、11月いっぱい作業をして3月までは戸狩サンファームのみなさんも冬場のお仕事をされます。

宮沢さんもかつては地元のスキー場のスキー学校で校長をされていました。ご自宅で民宿を営まれているため、冬場はそちらの作業にいそしむのだとか。もちろん、こちらの民宿で出されているお米は宮沢さんが自ら作られたお米です。民宿の名前は「いづみや」。今年の冬のスキーツアーでは、合わせておいしいお米も楽しんでみてはいかがでしょうか?

arrow2.gif 農業法人 戸狩サンファームのウェブサイト

arrow2.gif 第8回全国食味分析鑑定コンクール結果発表ページ

arrow2.gif おいしいお米が食べられる北信州の宿・戸狩温泉 いづみや


当記事にある飯山市などJA北信州みゆきの管内で収穫されたお米(新米)は、JAタウンでも販売中です。北信州産のお米に心惹かれる方は下記のページもご覧ください。

indexarrow.gif JAタウン「JA北信州ふぁーむのお店」
indexarrow.gif JAタウン「僕らはおいしい応援団」

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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