みなさま、葉野菜はお好きですか? サラダでは主役に、肉料理ではさっぱり脇役に、季節を問わず食卓には欠かせない存在ですよね。
葉野菜と聞いて「エンダイブ」が挙げられる方は、相当なマニアかもしれません。
長野県が全国有数生産量を誇るエンダイブ。どんな野菜なのか、県内主力の生産地・JA信州諏訪管内の生産者さんに見せていただきました!
エンダイブってどんな野菜?
エンダイブはキク科の野菜で、見た目はグリーンリーフレタスやサニーレタスに似ています。独特の苦みが特徴で、サラダにアクセントをつけるため、少量入っていたりします。
エンダイブ
グリーンリーフレタス
サニーレタス
エンダイブの生産現場
今回、生産現場を見せてくれたのは、諏訪郡原村の生産者、守屋武一(たけいち)さんと妻の長子(ながこ)さんです。武一さんは御年87歳、長子さんは3歳下。おふたりとも元気いっぱいです。
エンダイブの収穫までの期間は、種をまいてからおよそ70~90日。夏場には60日に短縮されます。
守屋さんは年間5回栽培し、出荷するそうです。最初は1月中旬に種をまき、4月頃に収穫。最後は8月に種をまき、11月中旬の収穫となる予定です。
・エンダイブの赤ちゃん
守屋さんは自宅のビニールハウス内で発芽を管理していました。担当は長子さん。地面に植えるまで、ポットの中で育てます。
エンダイブの種。米粒くらいの大きさです
種をまいてから6日目
種をまいてから10日でトレーに移します
トレーに仮植してから1週間後
さらに1週間後
シーズンを通して苗を切らさないよう、1週間ごと種をまきます。
・ビニールハウスで行われる、おいしさの秘密
トレーで育ったエンダイブは、約25日でビニールハウスに植え替えます。
エンダイブの栽培の特徴に「軟白(なんぱく)処理」があります。
エンダイブの内側。外側の葉に守られて日光に当たらないため、白く柔らかな葉になる
内側の葉に日が当たらないように外側の葉っぱをゴムでしばるので「縛葉(ばくよう)」ともいいます。こうすることで、内側の葉が白く柔らかくなるのです。
守屋さんの手と比べると、こんな感じ。放射上に広がった葉をゴムで縛ります
縛葉のようす。外側の葉にゴムをかけて内側の葉っぱを包み込みます
ゴムで縛ったあと。処理した時期ごとにゴムの色を変え、収穫時期を管理します
栽培過程においては「水の管理が大事」と武一さん。「乾かさないようにしなければならないけど、葉に水がかかると腐ってしまう」。露地栽培も可能ですが、水にあたると葉が腐るため、ビニールハウスでの栽培が適しているとのことです。
地面に植えてから約40日で収穫となります。
どうやって食べる?ほろ苦エンダイブ
「エンダイブは捨てるところがないんだよ、全部食べられる」と守屋さん夫妻。気になるのは、その味。なんと守屋さんが自宅で採れたてエンダイブを振る舞ってくださいました!
・エンダイブのサラダ
エンダイブの白い部分を水に3時間ほどさらすと、苦みが抜けて食べやすくなります。食べやすい大きさに切ってから水にさらすのがポイント。シャキシャキになったエンダイブに、ごまドレッシングをかけていただきます!
守屋さんにいただいた、採れたてエンダイブ
シャキシャキした茎の部分の歯ごたえと、パリっとした葉の歯ざわり、そしてほんのりとした苦みがくせになります。なんだか身体にいいものを食べている気持ちになる味。
ちなみにドレッシングは、武一さんいわく「何種類も試したけど、これが一番」とキューピーのごまドレッシングに太鼓判でした。確かに相性抜群で、いくらでも食べられる!
水にさらす前のエンダイブも食べてみました。
水にさらす前のエンダイブ。見た目は特に変わりありません
正直申し上げると、あまりの苦さに、サラダである程度の量を食べるのはキビシイ…
「水にさらすと、ちょっとしなびてても、すぐにシャキッとするんだよ」と長子さん。しっかり水にさらし、ほどよい苦みで召し上がることを強くお勧めします。
・エンダイブの炒め物
油で炒めても苦みが軽減されるため、こちらも守屋さんのおすすめ。生食には白い部分が向きますが、炒め物は外側の葉でもOK。
守屋さんからお土産にいただいた新鮮なエンダイブを持ち帰り、油で炒めてツナ缶と醬油少々で和えていただきました!
……炒めてもしっかり苦みが残っています(笑)
ツナ缶との相性も良く、かさが減って食べやすくなりますが、個人的にエンダイブそのものを味わうには、水にさらした生のサラダがおすすめです!
天ぷらでもいただけるそうです。
これからもふたりで元気に!!
守屋さん夫妻は就農してから約25年。エンダイブの栽培を始めたきっかけは、長子さんのいとこ、守屋孝一さんの勧めがあったから。なんとこの方、2008年の記事にご登場いただいた方でした!(ひょんなことから当サイトの歴史を感じます…)
おふたりとも本当に元気いっぱいで、取材したこちらも元気を分けていただきました。長子さんの出産時以外、ふたりとも入院したことがないそうです。
武一さんの健康の秘訣は「よく寝て、歯をしっかり磨いて……細胞のすみずみまでアルコール消毒をすること」だそうです。
お土産のエンダイブを自宅でサラダと炒め物にしていただきました
ごまドレッシングもおすすめに従います
このエンダイブ。県内に流通することは少なく、ほとんどが東京へ旅立ち、ホテルのサラダバイキングなどで提供されるようです。
サラダにほんのりアクセントを加えるエンダイブの苦み。産地に思いを馳せながら、ぜひ探してみてください。