エンダイブ[Endive]という洋野菜があるのをご存知ですか? 一見するとサニーレタスやグリンリーフレタスにも似ていますが、レタスの仲間ではありません。地中海沿岸が原産とされるキク科の植物で、ほろ苦い味から「ニガチシャ(苦萵苣)」などと呼ばれたりもします。シャキシャキとした食感でサラダに好んで使われるようになりました。
そして、実はこのエンダイブ、長野県が主力の生産地なのです。八ヶ岳の西麓に位置するJA信州諏訪では、この4月17日からエンダイブの出荷がはじまっています。今回は、このエンダイブの特徴とJA信州諏訪の出荷の様子をお伝えしましょう。
エンダイブは長野県に適する
エンダイブの品種には、葉が細長く切れ込みが多くある縮葉種と切れ込みがなく幅広の広葉種の2種類があります。日本国内で栽培・流通されているのは縮葉種です。栽培期間が短い野菜で、種をまいてからおよそ2カ月ほどで収穫となります。寒さに強く、冷涼な気候を好むために、まさに長野県は栽培に適した地といえるでしょう。
さて、エンダイブは、苦味が強くなり過ぎないよう栽培時に工夫を凝らす必要があります。軟白栽培という方法で、外側の葉を持ち上げテープなどでしばり、きんちゃく状にしてやるのです。こうやって光を遮断することで、内側の葉は軟らかくなり苦味も強くなりません。エンダイブの栄養はビタミンB1、B2、C、Kやカロテン、またナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、リンなどのミネラルのほか、食物繊維も含んでおり、美容と健康にも嬉しい食材です。
エンダイブとチコリの奇妙な関係
エンダイブと同じキク科の野菜に「チコリ」があります。白菜のあかちゃんといったような形で、エンダイブと同じほろ苦さを持ちます。このチコリのことをフランス語では「アンディーブ」と呼び、逆にここでとりあげげたエンダイブのことを「シコレ」と呼びます。英語とフランス語で呼び方が逆になっているのです。なんともややこしくて不思議な感じがしますね。
今年の出荷がはじまりました
さて、このエンダイブの産地、JA信州諏訪の管内では17日から今年の出荷がはじまりました。1月に種をまいたハウスもので、気温の低い日が続いたことから、例年より1週間遅い出荷となりましたたが、品質は上々だということです。
当日21ケースを出荷した茅野市宮川の池上和男さんは「みずみずしくシャキシャキした歯ごたえを損なわないように、年間を通して良品質な物を出荷したい。 梅雨時になると、中心に近い軟白な部分の葉間に腐りが発生しやすいので、水分調節に特に気を遣う」と話していました。
ちょっとおしゃれなサラダをどうぞ
夏場のピークに向けて4月末から毎日1000ケース(1ケース2キロ以上)を超す出荷が予定されていて、5月末には露地物のエンダイブの出荷も加わります。定期的に栽培農家がそれぞれの育苗ハウスを巡回してまわり、お互いのノウハウを提供しあう「情報の共有化」もおこなわれているそうです。これも安全・安心でおいしいものをお届けしたいという産地の想いなのでしょう。JA信州諏訪管内の生産者は約50人。今年度は全部で10万5200ケースの出荷を計画しており、11月末まで出荷が続くとか。信州の自然で育ったちょっとほろ苦のエンダイブ。スーパーなどでお見かけの折は、是非一度、サラダで、あるいは炒め物でお試しください!
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エンダイブに出会ったらほろ苦さをよろしく(2008年4月23日掲載)