野菜

エンダイブに出会ったらほろ苦さをよろしく

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エンダイブ。この名前を耳にすると、ご存知の方なら「あぁ、あのほろ苦いやつね」と思うはず。そう、青春や初恋が忘れられないほろ苦さであるように、エンダイブもまた、一度食べると忘れられない歯ざわりの良さとほろ苦さを持つ大人のサラダに適したハーブ野菜です。雄大な八ヶ岳の西麓に位置するJA信州諏訪では、この4月上旬からそのエンダイブの出荷がはじまっていました。

冷涼な気候を好むエンダイブにとって、長野県は栽培の好適地です。ともすると苦いというイメージがつきまとうエンダイブですが、簡単な方法でその苦さはほぼなくすこともできます。今回お話を伺ったのは茅野市で長いことエンダイブを生産している守屋孝一さん(67)。20年ほど前に会社勤めをしながらエンダイブを作りはじめたという守屋さんに、栽培方法ほかエンダイブのあれやこれやをうかがいました。

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エンダイブと共に暮らす
守屋さんのお宅で今年の出荷がはじまったのは例年より10日ほど早く、4月6日のことでした。そのときに出荷したのは2月20日に定植したハウスのエンダイブで、取材にお邪魔した先週15日には、そのハウスの出荷がそろそろ終了するという頃。守屋さん宅では大小合わせて12棟のハウスでエンダイブを栽培していて、この先、露地も合わせて11月まで出荷が続きます。

エンダイブは時期により成長速度が異なります。まず種まきから定植までの期間ですが、春先はだいたい40日ほどで、夏場にはこの期間が20日ほどに縮まるのです。また、定植から収穫までの期間は春の時期でおよそ45日。これが夏場には30日ぐらいに縮まり、冬が近づく11月にかけては60日ちかくもかかるのです。

内側の柔らかい葉は人が作る
エンダイブ栽培の特徴に軟白処理というものがあります。収穫が近づいたエンダイブの外側の葉を縛り、内側の若葉に光を当てないようにすることです。この外葉を縛ることを「縛葉(ばくよう)」といいます。そうすることで、光の当たる外側の葉は緑色が濃くなり、また歯ごたえも少し硬くなりますが、この軟白処理によって、内側に軟らかくて白っぽい葉を作り出すわけです。縛葉(ばくよう)をしてから、今の時期ではおよそ5日ほどで収穫となります。

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守屋さん宅では5色のゴムテープを用意し、収穫の近づいたエンダイブを縛っています。同じ色のテープでは、いつ縛ったものか分からなくなるため、色を5つ用意して、収穫日を管理するのです。どのエンダイブを縛るか(つまり、どのエンダイブの収穫が近いか)は、目で見て経験的に判断します。

「縛った後は中が蒸れやすくなり、たった一度の手抜きでも駄目になってしまうので、収穫まで常に目を光らせる状態が続きます」と守屋さんは話します。特に夏場は縛葉から収穫までの期間が2日と短くなり、また、雨が降ったりすると傷みも出やすいため、特に注意と技術が必要になるそうです。

穫りたてのまま店頭に並べる
収穫後は梱包作業に入ります。守屋さん宅では昨年から専用のフィルムで包装して出荷する方法を試験的に採用しました。市場からの要望を受けてJAが昨年から導入したもので、守屋さんほか3戸の農家で1日当たり合計50ケースを目標に出荷しています。

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「そのまま店頭に並ぶので神経を使って包装しています」と守屋さん。現在、守屋さんは朝の6時頃から作業をはじめ、10時までにJAに収穫したエンダイブを持ち込み、JA担当者とともに品質を確認して、その日の出荷を終えています。そうやって一連の手順が終わると、つぎは翌日の出荷のための作業です。世界の人たちが盛大に野菜サラダを食べる夏場には、朝と夕方の2回出荷が行われるようになるため、さらに朝の作業時間を早めるなどして対応します。

ほのかな苦さが魅力なのですけど
さて、エンダイブの特徴がそのほろ苦さにあるのは冒頭でも述べたところで、エンダイブにハマッた人はむしろこのほのかな苦さこそを求めているといいます。THendive.jpgとはいえ、苦いのが苦手な方もたくさんいらっしゃるはず。そこで守屋さんが話してくれたエンダイブの苦味をとる方法をお伝えしましょう。

まずひとつめは熱や油をを加える方法。天ぷらにすると苦味は全くといっていいほど感じられなくなりますので、苦味のないエンダイブ料理としてお勧めです。ただ、時間がたつとしんなりしてしまい、エンダイブの持つシャキシャキ感がなくなってしまうので、出来あがったら熱々のうちに召しあがることをお勧めします。また、油で炒めるのも苦味をとる良い方法で、シャキシャキ感を失わない程度にサッと炒めるのがポイント。

サラダにすると身体によく効きます
しかし、エンダイブが使われる最も多い料理は、当然ながら新鮮なサラダでしょう。THendive.jpg各種のビタミンを含み、特にビタミンAとK、ミネラルでは葉酸が、そして繊維分が豊富で、独特の軽い苦みが大人の食欲をそそります。サラダに使う場合の苦味をおさえる方法は、水に浸けることだそうです。

あらかじめ小さく刻んで、3時間ほど水に浸けると苦味がかなりなくなります。水に浸けずに食べた場合と比べると格段の違いが分かるはずです。もちろん、苦みがあった方がよろしいという方はさっと水で洗ってたっぷりサラダで。ちなみにややしんなりとしてしまった葉も水に浸けるとシャキシャキ感を取り戻します。

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水に浸けた後は水気をきって皿に盛り、お好きな味付けで召しあがってください。市販のドレッシングやマヨネーズ、醤油のほかポン酢、バルサミコもお勧めです。唐辛子をかけてみたり、お好みのものを色々と試してみてください。

水に浸ける時間で苦味がどれくらい残るか変わるようなので、お好みのほろ苦さを探してみるのも良いでしょう。ただし、小さく刻まずに水に浸けても苦味はとれませんのでご注意を。

エンダイブと会ったらよろしくと
JA信州諏訪管内のエンダイブ生産者は約35人で、今年はJA全体で年間6万5千ケースの出荷を目標にしています。首都圏や中京・関西方面を中心に出荷が行われているので、信州の冷涼な気候のもとに育ったエンダイブを見かけたら、手にとって、サラダで、あるいは天ぷらで召しあがって、身体が元気になる感じを味わってみてください。

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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