八ヶ岳山麓の東側に広がる野辺山高原。「ああ、こんなところで育った農産物はさぞかしおいしいだろうな......」と思わずにいられない景色が広がります。もちろんレタスやキャベツといった高原野菜は有名なのですが、忘れてはいけないのが牛乳です! 野辺山高原で育った牛さんたちの牛乳だって、とーってもおいしいんですよ!!
というわけで、今回は県外でも人気の「八ヶ岳野辺山高原牛乳」を作っている株式会社ヤツレンと、酪農を営む新海(しんかい)牧場へと足を運びました。
寒さが厳しい野辺山高原
牛さんたちは大丈夫?
野辺山高原は、八ヶ岳山麓の東側、東信地方の南部に位置します。標高は1,300mほど。JR小海線の野辺山駅は、最も標高が高いJR駅(標高1,345m)としても知られています。夏は涼しく避暑地として人気。冬は極寒の豪雪地帯かと思いきや、意外と雪は少ないのです。
雪は少ないのですが、、、とにかく寒い!! おじゃましたのはあと5日で2013年という日の天気の良い昼下がりでしたが、温度計を見ると氷点下6℃。「......朝?!」( ̄□ ̄;)と一瞬勘違いしてしまうほどの寒さです。真冬の早朝は氷点下30℃近くまで冷え込むそうですが、牛さんたちは大丈夫なのでしょうか?
まずは牛乳を提供してくれる牛さんたちに会いに行きましょう。野辺山高原に50戸ほどある酪農家のひとつ、新海牧場におじゃましました。ここでは約350頭ものホルスタインを飼育しています。まずは、ずらーっと並んだ牛さんたちに圧倒されました。牛舎の中は風もなく、外よりは温かくて一安心(と言っても寒いのですが)。
「牛は寒さには強い動物だから、ある程度の寒さなら大丈夫だよ。逆に夏の暑さ対策の方が気を使うかな」と教えてくれたのは、新海義人さん。ただ、あまりに寒いと牛もストレスになるようで、牛舎内を暖めたりすることもあるそうです。
牛も人間も育つ環境が大事
この"牛のストレス"をいかに少なくするかが、おいしい牛乳を作るポイントだと義人さんは言います。牛はストレスを感じていると食べる量が減り、乳の量も質も悪くなります。そのために牛舎内の気温管理だけでなく、牛が気持ちよく暮らせる工夫が必要。「この牛舎は3年くらい前に建てたんだけど、今までのものより天井を高くしてあって舎内が明るいんだ。牛も周りがよく見えることで安心しているのか、餌をよく食べるようになったよ」と義人さん。
朝と夕方の決まった時間に餌を与えるのも、ストレスを与えないために大切なこと。(個人差はありますが)私たちもご飯の時間が遅くなるとお腹が減ってイライラしてしまいますよね? それと同じなんですね。
他にも、鉄製のブラシを使ったブラッシングも時々行っています。牛さんたちも大好きなようで、かゆいところをブラッシングされて気持ちよさそう。尻尾を振ったり、かゆいところを押しつけてきたりするんだそうです。ブラッシングにはストレス軽減の他にも皮膚病を防ぐという大事な役割があります。
こうして大切に育てられた牛さんたちからの"恵み"である牛乳。朝と夕方に搾乳するのですが、平均すると1頭から1日にとれる牛乳はなんと30リットル!!w(゚o゚)w なるほど、搾乳直前の牛さんたちのおっぱいははち切れんばかり。新海牧場では、1日に8トンほどの生乳を搾っています。
生乳が新鮮なうちに工場へ
さて、この新鮮な牛乳を全国に届けているのが株式会社ヤツレンです。
主力商品である「八ヶ岳野辺山高原3.6牛乳」のパッケージには、かわいらしい機関車のイラストが。地元では「ポッポ牛乳」の愛称で親しまれてきました。
ポッポ牛乳をはじめヤツレンの商品で「八ヶ岳」や「野辺山高原」の文字が入っていれば、それは野辺山高原産の牛乳を100%使っているという証。生乳が新鮮なうちに工場へ運ばれてパック詰めされるため、鮮度が高くおいしい牛乳ができるのです。
ヤツレンでは、ジャージー種の牛乳を使った「八ヶ岳野辺山高原ジャージー牛乳」や低温殺菌牛乳、それらを加工したヨーグルトなども作っています。どれも新鮮な牛乳を使った濃厚な味わいが人気の商品!野辺山工場に併設された直売所でも手に入れることができます。工場横に設けられた廊下からは、パック詰め等の様子を無料で見学することもできます。
ヤツレンの牛乳は、地元の他にも県内や関東地方を中心に出荷しています。機関車のイラストを知らないという方でも、飲んだり、見たりしたことがあるかもしれません。実は出荷する地域によってパッケージが違うのです。次回スーパーへ行くときは、ぜひ野辺山高原の牛乳を探してみてください。
野辺山高原の気候が育てた牛さんたちの恵みを新鮮なままパックした牛乳。八ヶ岳の風景を思い浮かべながら飲んでみてくださいね。
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