レシピ

新しい命の季節の到来を告げるふきのとう

りんご畑のふきのとう

春一番、雪解けを待たずに土の中から顔を出す、信州ならではの山菜「ふきのとう」。野山や土手、田んぼのあぜ道などいたるところに自生する生命力抜群の野草です。

独特の香りとほろ苦さが、新しい季節の喜びを実感させてくれます。ふきのとうは地域により特有の呼び名があり、長野県の北部では、その形から「ふきっ玉」、中南部では「ふきぼこ」とも言われるのですよ。

それは春の訪れを告げる
昔から春のシンボル、春の先駆けといわれているのは山野に自生している、いわゆる山ブキのふきのとうを指します。栽培ものはやわらかく苦味も少ないのですが、自生したものはかたくて苦いのです。ふきのとうは、ふきの花のつぼみで、まだ葉が出る前にふきのとうだけが独立して地上に出てきます。寒さに耐えるように、つぼみを何重にもホウが取り巻いており、食用には固く結んでいて開かないうちが美味しいといわれます。

ふきのとう

苦みが体を浄化する
県内の農産物直売所にも、この「ふきのとう」がお目見えしています。長野市にあるJAながの農産物直売所アグリながぬまへ農産物を出荷する田中英男(たなかひでお)さんのりんご畑には、あらゆるところにふきのとうが群生しています。

田中さんのお宅は、100年続くりんご農家。りんごの木の下にある灌水施設を傷めないようにと、ふきの苗を植えたのがきっかけで、しぜんに毎年増え続け、直売所に出荷するようになったそうです。「『春一番』ってつけて出したら好評で売れたんだよな〜」

寒い冬から真っ先に春が来たと実感できる名前です。例年だと年が明けてから出てくるので、雪の下に保存しておいて、節分の頃から直売所に出すのですが、(雪の下にあわせるとアクというか苦味が少なくなるのだそうです)今年は暖冬の影響で、雪も少なく、新年早々に直売所に並べられたようです。

天然のふきのとうは、栽培物と違って、ふきのとう本来のアクや苦味があるので、どうしても切り口などがすぐに黒くなってしまいます。新鮮なうちに大きめの鍋でゆでてざるから上げて水にさらしましょう。苦味が苦手な方は、料理する前に一晩〜二晩ぐらい水につけておき、何度も水をとりかえると苦味が和らぎます。同時にあの独特の香りもなくなってしまうのですが。

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食卓で春を感じる
冬眠から目覚めた熊は、真っ先に「ふきのとう」を食べるとか。冬の間になまった体を、ふきのとう特有の苦味で浄化しようとしているのでしょうか。まさに「デトックス』食材。香りが強いので、人によって好き嫌いがありますが、この香りを生かして食卓で春を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ふきみそさえあれば
われらが信州では、ふきのとうといえばやはり「ふきみそ(写真)」できまりです。お酒のつまみにもなりますし、ふきみそさえあれば、ご飯が何杯でもおかわりできちゃいますから。

■ふきみその作り方

材料:ふきのとう 4個
   みそ 大さじ 2
   みりん 大さじ 1
   酒 大さじ 1
   砂糖 小さじ 1

作り方:

  1. 大きめの鍋でふきのとうをさっとゆでる。
  2. ざるから上げて水にさらす。苦いのが苦手な人は水にさらす時間を長くすると和らぎます。
  3. 水気を切りみじん切りにする。
  4. 鍋に油を熱し、砂糖・みりん・みそで好みの味付けにする。
  5. 水分が飛ぶまでじっくりと炒めて好みの硬さになれば出来上がり。

☆ふきのとうの苦味を楽しみたいという方は、ゆでないで生のままみじん切りにして炒めてください。

他にも

■汁ものに

つぼみを細かく刻んで汁に散らすと香りが引き立ちます。

■天ぷらに

天ぷらはアク抜きをしなくても大丈夫。外側のかたい葉を除き、水洗いして水けをよくとり、生のまま薄めの衣をつけて、やや低温(170〜180℃)で揚げてください。このときまな板の上でつぶして少し平たくします。こうすると油のとおりがよくなります。

■酢のものに

さっとゆでて水にさらし、よく水気を切り、三杯酢にします。


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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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