寒さと暖かさを繰り返しながら、徐々に春へと向かっている今。そんな季節の変化は食べ物でも感じるものですね。県内でも豪雪地帯として知られ、ひと際春の訪れが遅い県北部・飯山市の直売所には、すでに、ふきのとう、うるい、行者ニンニク、そして山菜の王様といわれる"タラの芽"までもがズラリと並び、ひと足早い春の雰囲気に包まれていました。
自然豊かな"木島平村"で
タラの芽に出会う
降り積もったフカフカな新雪の中に、獣の足跡が眩しく映る。ここは、美味しい米がとれる場所として、全国的にも名高い木島平村。といっても、この時期は一面の銀世界です。
とある建物の中を覗いた先にあったのは、小さなビニールハウス。そして中にはたくさんの木の切り株が。木片の脇から生える軟らかい黄緑色の芽。そしてたくさんのトゲを持つこれはまさに、タラの芽です!
希少なタラの芽が密集!
自生であれば、これほど密集して見ることのないたくさんの芽。なんでもこの時期に収穫されるタラの芽は、"ふかし栽培"という方法で栽培されていて、切株に芽出促進剤をかけることで、通常より早く芽を出し、この季節から春の恵みを味わえるというわけです。
「自生のものであれば芽を出すのは天辺だけ。でも栽培用では各節々から芽を出すんです」と話すのは、タラの芽を栽培している島崎権太郎さん。栽培用に木を畑で育てておよそ1年。身長程に大きさになったものを10センチほどにカットし、その木片を水に浸したら、15度ほどに温度設定した室内でおよそ20日。春を呼ぶ、目にも優しい芽がニョキニョキと生えてくるのだそうです。
豪雪地帯ならではの貴重な収入源ですが、芽を出すのは1度きり。復活して再び芽を出すことはないとのことです、あしからず。
山菜の天ぷらで食卓に春を♪
冬の寒さを耐え忍び、ようやく芽を出す天然ものの時季はまだ先ですが、雪深い山間地で、浄化した水と空気に育まれた山菜は、寒さが抜けきらない季節に、ひと足早く春を感じさせてくれていいものですね。
ちなみに、最もポピュラーに山菜を味わう"天ぷら"は、ピーナッツ油で揚げるとより香りがいいそうです。早春の一献にいかがですか。
◇タラの芽のお求め先
道の駅「花の駅・千曲川」内「農産物直売所 千曲川」
〒389-2414 飯山市大字常盤7425
TEL:0269−62−1815