もうすっかり春です。日の出時間が早くなり、寒くてなかなか布団から起きられなかったのが嘘のように、朝日で目が覚めます。 県内ではハウスもののサクランボやアスパラガスなど、さまざまな農産物が出まわり始めています。 中でも、"春の楽しみ"と言っても過言ではないのが山菜ですよね! 皆さんご存知の通り、長野県は山に囲まれた県、それはもう、山菜の宝庫です。
やってきたのは、長野市小田切地区。標高800~900mに位置し、平地と比べると肌寒く感じ、谷を越えた向こうの山には薄っすら雪がかかっているほど。 小田切地区の農家さんで構成している「NPO法人小田切オアシス」では、3年前に遊休耕廃地約7aを活用して山ぶきを定植。今年初めての収穫を迎えるに当たって、「市民の方にも楽しんでもらおう!」と「ふきっ玉採りツアー」が開催されました。
代表の酒井昌之さんは、「ここら辺はシカ、イノシシ、タヌキ、ハクビシンといった野生動物が出るが、山ぶきは岡ふき(平地に生えるふき)に比べ苦味があるため、動物たちに食べられることもありません。幸いなことにこの地域はサルが出ないので、荒らされることもないんです」といいます。 青空のもと、市内から集まった参加者は約30名。参加者それぞれ収穫に向かいます。
一見、何もないように見える圃場ですが・・・。
かがんで地面をよく見ると、丸っとしたふきが! キャラブキ(茎状のふき)は知っていたのですが、ふきっ玉(つぼみの状態)を見るのは初めてで、ましてや収穫するのも初めてでした。ふきは地下茎で繋がっており、引っ張ってしまうと根が浮いて、次のふきが育たなくなってしまうので、引っ張らずに根元の茎をはさみで切ることを酒井さんに教わりました。
また参加者の方からも、「花が咲いてしまうと苦味が増すから、つぼみのほうがいいよ。なおかつ、身が詰まっているのがおいしいよ!」と教えてもらって、みなさんと交流しながら収穫体験ができました。
花が咲いたもの
つぼみのもの
このツアーでは、収穫したふきは100gあたり150円で、一人300gまで買って帰ることができます。ご覧ください、見事にみなさん下を向いて、ふき採りに夢中です。
しかも皆さん熟練ときています。ふき採り初心者の私は、どのふきを採ろうか吟味しているうちに、おいしそうなものを採られてしまいました。30分も経たないうちに採り終えて帰る参加者も・・・。ふき採りという名の戦争だな、短期決戦だと学びました。でも、安心してください、初心者でも大丈夫! 足りなくなった場合を考えて、前日に収穫したふきを酒井さんが用意してくれており、持って帰れるようになっていました。
酒井さんは、「若い人に知ってもらえて、参加してもらえて、本当に嬉しい」と満面の笑みで語ってくれました。また、来年も開催しますか? との質問に、「今年初めてだから、参加者の方が満足してくれたら来年もやろうかと考えてたけど・・・。みんな満足してもらえたようだから来年もやりたいね!」と力強く宣言していただきました。 今年のふきっ玉採りツアーは終了しましたが、5月にはアマワラビ採りも開催予定とのことです。NPO法人小田切オアシスでは市民菜園の貸し出しもしており、小田切地区の良さを知ってもらえるような活動を積極的に行なっています。 農業や自然に興味のある方はぜひ、参加してみてください。
P.S. 今回収穫した山ふきは、その日のうちにふき味噌と天ぷらに仕上げました。
調理中のふき味噌
ふきっ玉の天ぷら
こちらは 2018.04.03 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
ジャスミン
関連記事
山菜通がゆく!北アルプスの麓に伝わるウドの漬物づくり
新しい命の季節の到来を告げるふきのとう
山菜の「王様」と「女王様」に会いに行く
歓びの大きい山菜採りは簡単なことじゃない
新着記事
ラディッシュの漬物サラダ
安曇野の畑から生まれるりんごを追いかけて~流通現場編~
粒がハート型!? その名は「マイハート」
いちじくのデザート