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太くて瑞々しい!グリーンアスパラガスは今が旬

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栽培技術や輸送網が発達した現代では、ともすると一年中同じ野菜が陳列され、果たしてこの野菜の旬はいつだったかしら?などと首をひねる事もしばしばです。長野県において春に収穫される野菜としてまず挙げられるアスパラガスの場合はどうでしょうか。
寒さ和らぐ3月から4月にかけて出荷されているアスパラはまだハウス栽培が中心で、何といっても味が濃くて甘みが実感できる露地もののアスパラの旬は5月です。つまり、栄養豊富でお求め易く、何より美味しいアスパラを手に入れるのならば今の季節を逃せません。気候の変化をもろにうける露地栽培のアスパラですが、今年は春先の天候の影響で例年より生育が遅れたものの、県内各地で今最盛期を迎えています。
というわけで、生産量が北海道に次いで全国2位を誇る長野県の、その中でも一大産地である県北部は飯山市へと向かいました。

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おいしさの秘密は地面の下にありました
周りを高い山々に囲まれた飯山市は、昼夜の寒暖の差が大きく、国内有数の豪雪地帯でもあります。豊富な雪解け水は、素晴らしい自然と数多くの美味しい農産物を育み、なかでも"グリーンアスパラガス"はこの飯山自慢の逸品です。
例年だとゴールデンウィーク前後に見頃を迎える飯山名物の菜の花が、春の遅かった今年はまだ千曲川に沿って黄色の絨毯のように広がる光景を楽しみながら、アスパラガスの畑を目指しました。たどり着いた先は、標高500メートルほどの山あいに広がる畑です。時折爽やかな風が吹き抜けるなか、山々の緑に囲まれたその場所で、顔を上げれば青い空、そして目の前には広がる大地から無数のアスパラガスが気持ち良さそうにニョキニョキと、天へと向かい生えていました。

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「ここのアスパラは甘いよ〜」と、何とも食欲をそそるせりふとともに現れたのは、JA北信州みゆき(本所:飯山市)でアスパラガス部会の部会長を務める三ッ野英二さん。すかさず「だけど採りたてを生を食べるのはお薦めしないよ。よく、採りたての新鮮な美味しさを味わいたいって、そのまま生でかじりたがる人がいるんだけど、やっぱりアスパラは加熱したほうが絶対おいしいと思うよ」とのアドバイス。どうやらアスパラは、採りたてを生で食すのが断然おいしいレタスやキャベツなどとは別のようです。

ちょっとお預けをくらった気持ちにもなり、軟らかな緑色にかぶりつきたい衝動を抑えながら畑をよく観察すると、長いアスパラのすぐ隣に短いものがちょこんと出ているなど、長さもまちまちに好き勝手な様子でアスパラが顔を出しています。これらは地中においては一株で、そこから何本ものアスパラが成長した姿なんです。そもそもアスパラの語源はギリシャ語で「(茎根部が)たくさん分かれる」とか「新芽」という意味らしく、一株にたくさん芽を出すところからきているようです。
これらのアスパラを、三ッ野さんは適当な長さのものだけを見極めて、その周りの短い丈のアスパラを傷つけることなく手早く収穫し、腰につけたカゴがいっぱいになるのもあっという間です。そして鎌で刈ったその切り口からは、瞬く間にキラキラとした水の粒が次から次へと溢れ出しては大きくなり、もったいない程の瑞々しさ。98%が水分というこれらのアスパラですが、露地栽培においては意外にも「水やりは一切しないんだよ」と三ッ野さん。このアスパラが水を浴びるのは唯一、空から降り注ぐ雨だけで、あとは地下深くに伸びる1メートルほどにもなる長い根が前年からの養分を蓄え、それが翌年の春のアスパラの生長に使われて、瑞々しくて味の濃い美味しさを作り出しているのだそうです。ですから美味しいアスパラをたくさん育てるためには、土作りはもちろんのこと、前年の栽培管理から手を抜く事ができないのです。

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収穫後も成長を続けるアスパラの保管方法は
ちなみに、アスパラガスを根元ギリギリに長めに収穫したとしても、そのままで食べられるのはアスパラで指をしならせ、自然にポキンと折れる部分までで、それより下は筋張っているために皮を剥いて調理することになります、また、この地域では根元の部分はジュース用として加工に回されることも多いのだそうです。

すうっと伸びた1本のアスパラガス。この1本のなかでも部位によって味や食感は微妙に異なるので、その好みは人それぞれかと思います。ちなみに、美味しいといわれる箇所は穂先の下のあたりで、一番甘味があるために美味しく感じられるのだそうですがどうでしょうか。
アスパラを美味しく食べる方法について教えてくださったのが、いつも旦那さんと畑の作業を共にされている三ッ野さんの奥様。「この時期のアスパラは甘味が多いから、茹でてマヨネーズを掛けただけとか、シンプルな味わい方が一番」と言い、その茹で方は「ちょっと長めに茹でるのがコツ」とのことです。触ってみてちょっと弾力を感じるくらいの硬さが、アスパラの甘味を味わえる茹で方で、アスパラの美味しさを味わうためにも、アスパラは太めのものを選んだ方がいいそうです。ただし茹でたてのアスパラはとても熱いため、火傷をしないようにくれぐれもご注意を。

 
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疲労回復やスタミナ強化、さらに肌も美しく保つという成分のアスパラギン酸は、このアスパラガスが名前の由来と言われています。さらに穂先の部分に含まれるルチンには血管をしなやかにし、高血圧の予防に効果的です。ただしルチンは水に溶け易い成分のため、茹でずに炒める、揚げる等の調理法がお薦めのようです。

しかしいずれにしろアスパラの美味しさは鮮度が鍵。アスパラは収穫後も蓄えられた養分によって生長しようとする性質があり、美味しさの養分を成長のために使ってしまわないためにも、手に入れたならば一刻も早く調理して食べて欲しいところです。保管する場合は、先ず買ってきたアスパラを束ねてあるテープや輪ゴムを外して弛め、切り口には水を含ませて冷蔵庫に立てておきましょう。

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紀元前から注目されてきたアスパラガスの栄養価
アスパラガスが日本で本格的に栽培されるようになったのは大正時代。当時はホワイトアスパラが中心で、グリーンアスパラが家庭の食卓に登場してくるのは1970年頃と、ほんの40年程前のことです。それは当時の健康ブーム、緑黄色野菜のブームも後押ししました。ホワイトもグリーンも元はといえば同じ品種で栽培方法だけが異なるアスパラですが、手間が掛からず太陽の光りを浴びることでホワイトよりも栄養価の高いグリーンアスパラが支持されるようになったそうです。
アスパラがいかに身体にいいかという点については、既に紀元前のヨーロッパで食用以外に薬としても用いられてきた歴史からもうかがい知れます。どうぞ皆様この時期を逃さずたくさんアスパラガスを食べて毎日を快調にお過ごしください。飯山市のアスパラは、6月いっぱいまで収穫される予定です。

〔参考〕飯山産グリーンアスパラガスの販売先
A・コープみゆき店
住所:〒389-2414 飯山市大字常盤字久保通り7419
電話: 0269-81-2222  

○道の駅 「花の駅 千曲川」内  農産物直売所「千曲川」
住所:〒389-2414 飯山市大字常盤7425
電話:0269-62-1815

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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