加工品

春の山菜を漬物で食す

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山菜といえば天ぷら、おひたしなどにして採りたてを味わうのが普通ですが、長野県の最西北、新潟との県境にあたる北安曇郡小谷(おたり)村では豊富に採れる山菜を使って漬物が作られています。春の山菜を象徴する苦みや香りを残した漬物は信州のお土産としても人気です。

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信州 × 山菜 × 漬物
ご存知のとおり長野県は南北に長く、北端から南端まで約212kmもありますので、北部ではまだまだ春の味覚が楽しめます。積雪の多かった今シーズンは春の訪れが少し遅く、JA大北北部営農センター山菜加工場の主任・太田正純さんによると「山菜のシーズンもわずかに遅れています」とのこと。
村の90%を森林が占める小谷村は昔から山菜の宝庫。独特の香りと苦みのある山ウドや柔らかいこごみ、タラの芽など多彩な山の幸が春の味覚を楽しませてくれます。
豊富に採れる山菜を長く楽しむため、地元では漬物が作られています。家庭で作る人もいるようですが、1973年にはJA大北の山菜加工場が開設され、地元で採れる多彩な山菜の個性的な風味を生かしながら長期にわたって食べられる特産品の開発がされてきました。


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山菜の漬物は、地元の山菜採り名人たちが山に入って採ったものを、その日のうちに加工を始めます。持ち込まれた山菜は、全体が真っ白になるくらい強めの塩を使って、まずは塩蔵します。これが長期保存のための先人の知恵です。こうして早いものだと1カ月後から、通常は塩蔵から1年後に取り出し、今度は1昼夜かけて流水で塩抜きをします。ここまでが漬物の下準備。その後は山菜ごとに適した大きさに切り、山菜の個性的な風味を残すよう開発したレシピで醤油漬けにします。


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苦さや風味がしっかり残って県知事賞受賞
塩蔵して塩抜きをしたら、せっかくの山菜の風味がなくなってしまうのでは‐と思いつつ、実は半信半疑で山ウドの漬物を食べてみました。すると、山ウド特有の喉の奥の方に来る苦さや風味があり、意外なほどに山の幸を味わうことができました。


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「地元の人たちが親しんできた味わいを大切にして、山菜の味を変えないように工夫しています」と太田さんは胸を張ります。
それもそのはず。山ウドの漬物「山うど木の葉漬」(記事トップ写真)は、平成23年度の長野県園芸特産振興展示漬物品評会の本漬物の部で県知事賞を受賞した、信州を代表する特産品の漬物なのです。漬物商品が多い信州土産ですが、山菜の漬物もリピーターが多く人気です。


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山菜の漬物では山ウドの他に、「こごみ」「沢あざみ」「きゃらぶき」があります。また地元の大根や人参、きゅうり、なすなどを漬けた「小谷漬」も地域で古くから親しまれてきた故郷の味わいです。
小谷村の山菜加工場や道の駅、農産物直売所などで販売しています。またJAタウンでも購入することができます。

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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