提供:JA佐久浅間
農業王国長野県では、高原の冷涼な気候風土を生かして、バラエティに富んだ野菜が栽培されています。代表的なものでは、レタス、白菜、セルリー(セロリ)、アスパラガス、キャベツなどなど、いずれも生産量は全国でも上位を誇ります。 そんな有名どころの野菜がそろう中、生産量が少ない水耕栽培の野菜をご紹介します。 その野菜は「水菜」です。
水菜は、京都が原産で日本固有の野菜。土と水があれば育てられることから「水菜」と名づけられたそうです。カロテン、ビタミンC、カルシウム、鉄分を豊富に含む健康野菜。シャキシャキとした食感が楽しめ、サラダやお浸し、鍋物などに利用されます。 水菜を栽培しているのは、長野県東部に位置する佐久市で「Smile farm(スマイルファーム)」を経営している市川務さん。
市川務さん
市川さんは、エアーハウスの中で水菜を中心にリーフレタスやスイスチャードを水耕栽培しています。 早速、ハウスの中へ。 ハウス内は土足禁止なので、入口で靴を履き替えます。 えっっ?! 広い、明るい、きれい・・・。 外見からもわかるように、がっしりとした造りで明るく、床は白いシート、真っ直ぐに整然と並んでいる棚、そこに緑色の野菜が栽培されていて、まるで研究室か工場のようです。
「このハウス1棟で、12、3種類の葉菜類を栽培してます。主には、水菜、リーフレタス、スイスチャード、ハーブ類。苗作りもこの中でしています。」
スイスチャード
ルッコラ
水菜の栽培は、 (1) 培養液に浸した専用のスポンジに種を蒔き、発芽を待ちます。
(2) 発芽後、冬期なら1カ月(夏期は10日)ほどしたら、フレームの栽培穴に一株づつ植えます。あとは、収穫まで管理します。
水菜は、冬期なら1カ月、夏期は15日ほどで成長し、収穫できます。
「有機物をバランスよく配合した培養液を循環させています。専用のタンクで培養液を作り、苗が植えられているフレームの中にポンプで送り、循環したのちタンクに戻ります。その培養液を調整して循環させています。」 水耕栽培の棚は、立体型多段式で脚立を横に長くしたような形です。 「ハウスは、光を拡散させる特殊なシートで覆っていて、床は白いシートをひいています。これで、拡散した光の乱反射を利用して、どの棚にも光が当たるようにしています。」
市川さん、なぜ、水耕栽培を? 「作物の成長が良く、連作障害の心配がないし、病害虫の発生も抑えられます。佐久地域は、日照時間が長く、夏も冷涼なので水耕栽培に適しているんです。なにより作業がしやすい。ここではパートさんに来てもらっていますが、女性です。それに計画的に栽培できるので、栽培品目の切替えも容易にできます。(お客様の)要望にも応えられます。」 気をつけているのは、温度管理と害虫。 温度は、夏期は35度以上にならないよう、冬期は5度以下にならないよう管理しています。ハウスは、二重張りで断熱効果もあるので、夏期は暑さを、冬期は寒さを抑えるそうです。5度以下になる場合は、ボイラーで加温します。 ハウス内に虫が入らないよう、入口は外扉と中扉を設けて、中扉を開けると上から風を吹きつけています。
収穫したスイスチャード
市川さんは、Iターンで就農。 「就農前は、このエアーハウスを販売する会社で、生産システムや栽培方法を教えていたんですが、そのうち、実際に栽培したいと思い始めました。 県とJA佐久浅間の新規就農者支援で土地を紹介してもらい、2012年に耕作放棄地を整地し自分でハウスを建て、2014年に栽培を開始。 今は、このハウスの中で苗作りをしていますが、苗作り用ハウスも建てています。」 「『野菜嫌いの子どもが、ここの野菜を食べてから野菜を食べるようになった』と聞いて、うれしかった。励みになります」と話してくれました。 このハウスで栽培された野菜たちは、JA佐久浅間やJA直売所「みどりのひろば軽井沢」に出荷されます。 直売もしていますので、問い合わせは「Smile farm」(TEL・FAX 0267-67-8843)に。
出荷を待つ水菜
こちらは 2017.03.07 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
マロン
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