うれしいアスパラガスのシーズン　特集

きゅっとしまった穂先と鮮やかな緑色が特徴の長野県産アスパラガス。生産量は全国一を誇ります。高原で栽培されるため、寒暖の差から糖度が高くおいしくなるのが特徴です。今年のアスパラの生産は、冬の低温によって例年より１週間?２週間ほど生育が遅れ気味。ハウス栽培の出荷が３月の末からはじまり、４月下旬には露地ものが加わります。出荷のピークはゴールデンウィーク明けの見込みでしょうか。この季節に長野県産のアスパラガスを食べないと、一年間、後悔して過ごさなくてはなりません。

栽培の歴史

アスパラガスはもともと地中海沿岸が原産。ユリ科の多年草で、若芽を食用としています。若芽には白と緑の２種類があり、直射日光を避けるための盛り土して栽培されるのがホワイトアスパラガスです。最近はムラサキアスパラガスなども栽培がはじまっています。２５００年ほど昔に栽培されていた古代ギリシャでは「アスパラゴス」と呼ばれていました。ヨーロッパなどではそのユニークな形体から精力増強に効果があると信じられていますが、残念なことに、科学的には実証されていません。とても古い歴史のある作物ですが、日本には江戸時代後期の１７８１年に観賞用としてオランダ船によって長崎に伝えられました。オランダなまりで「アスペルケー」などと呼ばれたようです。

本格的な栽培は明治時代になってからのことで、長野県では昭和初期に栽培がはじまりました。当初はホワイトアスパラガスが主でしたが、グリーンアスパラガスが日本人によって大いに食されるようになった６０年代後半に産地化が進んで、現在では生産量も日本一となり、飯山市、中野市、長野市、伊那市、飯田市、東部町、木島平村などで年間６７５０トン（２００４年）も栽培されています。

アスパラは３年かかって育てた株から、３年から４年の間収穫する作物です。しっかりした根と茎を育てるためには、菜種カスや鶏糞などを原料とする堆肥を使っての有機の土づくりが欠かせません。水はけの良い栄養のある土という理想的なコンデションで育てた場合、２４時間で３０センチ近くも伸びることもあるぐらい元気な作物です。

アスパラのパワー

アスパラガスにはカロチンが含まれ、病気に対する抵抗力、感染症の予防に効果的。名前の由来にもなっているアスパラギン酸は疲労回復や滋養強壮に優れています。穂先に含まれるルチンは高血圧や動脈硬化の予防に効果があると言われています。脂肪もコレステロールも０で、カロチン、ビタミンＣ、ビタミンＥをバランス良く摂ることができる理想的な野菜です。フレッシュなアスパラガスは「高貴な春野菜の王者」と西洋では呼ばれているように、この季節だけのものです。しっかりとしていて穂先がコンパクトにまとまっているものがおいしいですよ。穂先が開きかけていたり開ききっているものは古くなっていますし、味もいまいち。茎に黒ずんだところがなくて、指先で軽く弾いてみて空洞のような音がしないこと、根元の断面が木のように硬く乾いていないものを選ぶようにしたいものです。

ムラサキアスパラをご存知ですか?

長野県内でも有数のアスパラガスの産地である、中野市のＪＡ中野市では、甘くて栄養価の高いムラサキアスパラガスを去年初出荷しました。ムラサキアスパラは、グリーンアスパラに比べて糖質とビタミンＣが多く、老化や発がん予防に効果があると言われるポリフェノールのひとつであるアントアニンを１０倍も含むことから、２００２年にニュージーランドから種を取り寄せ生産をはじめました。まだ、生産量は少なく、出荷先も限定されていますが、健康野菜人気も手伝って、着実に生産量を増やしており、できるならホワイト、グリーン、ムラサキと３色のアスパラセットも販売したいとＪＡでは意気込んでいます。ちなみに、ムラサキアスパラガスは、茹でたり、炒めたりして火を通すと紫色が緑色に変化し、普通のグリーンアスパラと同じになります。

アスパラはシンプルに食べましょう！

アスパラガスはなるべく新鮮なものを生に近い状態で食べるのがよく、フライパンでほんのすこし炒めるだけでじゅうぶんに味を引き出せますし、鮮やかな緑色も楽しめます。蒸してオリーブ油とレモンで食べるだけでもグットでおしゃれです。茹でる場合は、熱湯で５分ほど、あまり茹ですぎないようにしてください。細いアスパラガスが比較的好まれていますが、西洋では「太ければ太いほど高品質」とされているように、実は生産者の間では太いアスパラガスのほうがボリュームがあって美味しいと人気です。肉質の柔らかさと新鮮さが決め手。冷蔵庫の野菜室に入れておくのも２日が限度です。どうぞ穫れたてのアスパラガスを召しあがれ。