もうすぐ梅雨明け、夏本番が近づいてきました。いよいよ長野県の果物シーズンのはじまりです!
6月中旬から7月上旬に登場したあんずとのお別れのあと、シーズンがやってきたのはプラム!
プラムの出荷は「大石早生」からはじまり、品種リレーをしながら、長野県では9月下旬の長野県オリジナル品種「シナノパール」まで続きます。
「大石早生」プラム。熟度によって色が異なります
今回は当サイトの「農家さん日記」でもおなじみ、三井透さんに「大石早生」のおいしい食べ方を教えていただきました!
三井さんは、きのこ(生産量全国1位)と果物の生産が盛んな中野市で、プラムのほか、桃、りんご、ぶどうなど多品種を作る果樹農家です。
こちらの記事では超大玉の至高のプラム「シナノパール」の栽培の様子をハイテンションで教えてくれています。
プラムのトップバッター「大石早生」とは?
「大石早生」は名前のとおり、早生(わせ)品種のプラムで、スーパーや直売所で最初に並びます。
収穫は6月末ごろからはじまり、7月上旬くらいまで(あっという間…)。
収穫間際の大石早生
先端が赤く色づいてきた頃を目安に収穫
三井さんは朝3時半から収穫をはじめます。果実の温度が上がってしまう昼間は採れないため、この時間からはじめなければならないそう!
大石早生は熟すのがとても早く、朝に採り忘れると、夕方にはもう真っ赤になって、出荷できなくなってしまうのです。
出荷されてから店頭に並び、私たちの手に届くまでの時間を想定しながら、熟度を見極めて収穫しなければなりません。
「収穫が早すぎると追熟させても酸味が抜けず、逆に熟させすぎても味が抜けて薄くなっちゃう」(三井さん)
収穫した大石早生。出荷前の青い状態
樹上でギリギリまで熟させることによって、酸みと甘みのバランスが取れた、おいしく追熟させることができるプラムになるため、タイミングを見極めながら収穫します。
お好みの熟度を見つけて!
おいしい大石早生の選び方は「先っちょがほんのり赤くて、パックをひっくり返してみたとき、軸のまわりが少し黄色みがかってるもの。樹上で熟してるもので、追熟させてもおいしいよ!」とのこと。
これくらいのものが店頭に並んでたら買いです!(2023年7月12日の農家さん日記より)
大石早生は、店頭に並んでいるときは緑がかっていることが多く、追熟させると真っ赤に色づきます。常温で追熟させることができるので、好みの熟度を見つけてみるのも楽しいですよ。
三井さんからいただいた大石早生。熟度の違いが一目瞭然!
左から右にかけて、熟度が上がった個体
ちなみに三井さんの好きな熟度は「黄色っぽい地の色が見えている」段階のもの(写真の左と真ん中くらい)だそうで、「プラム本来の味がわかる」とのこと。
ちなみに筆者は、ぎりぎりまで追熟させて香りが強くなってきた頃合いが好きです。
筆者はこれくらいが好みです
食べ方いろいろ
塩を振る!
三井さんが教えてくれた、筆者もはじめて知った食べ方です。すいかに塩を振って食べるのと同じで、酸味のなかに甘みが際立ちます。真っ赤に熟していない個体がおすすめ。
これくらいの色合いのものに塩をオン!三井さんおすすめの食べ方です
凍らせる
「真っ赤に熟したものは凍らせてもおいしいよ」と教えていただいたので、早速やってみました!三井さんいわく「熟した個体はジュースみたいな感覚で味わえる」とのこと。キンキンに冷やした、熟したプラムにかじりつくのは確かに最高!
ひんやり感が伝わるでしょうか…(笑)シャリシャリの果肉が天然のアイスでした!
サングリア
これも熟した個体がおすすめだそう。「2時間くらい赤ワインに漬ける」だけでOK。
かなり熟度の進んだ個体。そのまま食べてもおいしい
熟したプラムと一緒に冷蔵庫にあった夏の果物も、ありったけ一緒にして作ってみました!
大石早生とともに、桃・ブルーベリー・レモン・あんずをビンに入れ、はちみつをかけ、赤ワイン(やや辛口。ふつうにスーパーに売ってる安いもの)を注いで冷蔵庫へ!分量は適当です(笑)
夏のフルーツてんこ盛り。無心に入れました
適当すぎてかなり不安でしたが、2時間後に飲んでみると……
「おいしいいいい!!!!」
赤ワインにフルーティーな香りと果実の甘みが広がって、とても飲みやすい!
取り出した大石早生や、ほかの果物にワインがしみしみで、これもまたおいしい!
「漬け込んで取り出した果物は、フライパンで水分を飛ばしてジャムにしてもおいしいよ」とのこと。
果実に赤ワインがしみ込んでおいしさマシマシです
大石早生は常温で追熟させることができ、冷蔵すると追熟が止まります。冷蔵庫に入れて早めに食べきるのが一番ですが、先述したとおり冷凍も可能です。
食べる温度は、常温の方が甘みを強く感じることができます(筆者は冷やした方が好みですが…)。
大石早生は酸みと甘みのバランスが良いので、ついたくさん食べてしまいますが、糖度はしっかり高いので「食べすぎには注意」だそう。
表面の白い粉はブルームという無害な天然物質。果実を乾燥から守り、新鮮さの目安にもなります
「大石早生は酸っぱいだけのプラム、というイメージを持っている方も多いかもしれないけど、樹上で熟したものをしっかり選べば、味の濃くて、プラムらしい甘みと酸みが味わえるよ」と三井さん。
私は去年、はじめて大石早生を直売所で買って食べたのですが、真っ赤に追熟して、良い香りがしてくる過程も楽しく、食べやすい大きさで皮ごと食べられるので、大好きな果物になりました。
今年はサングリアが自分的に大ヒットしたので、また来年も絶対作ります(笑)
店頭で大石早生を見かけたら、ぜひ記事を思い出して、お好みの熟度を見つけながら楽しんでみてください!
三井さんってどんな人?
2020年から当サイトに「農家さん日記」(旧・農事録)を連載していただいている農家さん。記事をご覧いただいている方はおなじみかもしれませんが、とにかくおもしろくてテンションが高い!
記事の雰囲気から「ふざけすぎ?」と思ってしまいますが、中野市の地域と農業を盛り上げるため真剣に取り組む、本当は真面目な方です。本当に(笑)!
そして作る果物が超おいしい!
今年の「農家さん日記」では、シナノパールの様子を教えてくれています。過去記事もたくさんの品目について書いてくださっているので、ぜひご覧いただき、生産者の素顔と生産現場の貴重な様子を見てみてください!