夏の果物「プラム」。今年はもうお食べになりましたか? さわやかな酸味が特長です。口のなかいっぱいに広がる豊かな酸味と、甘みと、果汁が、たまりません。果肉の鮮やかさが、なんとも夏の訪れを実感させてくれます。
信州では、今、このプラムの出荷がピークを迎えました。全国のみなさんに、夏の味わいをお届けしています。
今週は、プラムの収穫と出荷が大忙しで行なわれるなか、JA北信州みゆきのすもも部会の南沢啓一部会長にお話しをうかがいました。
プラムはすももか?
プラムを作っているのに「すもも部会?」と思われる方に、まずは簡単なプラムのプロフィールを。プラムは植物学的に言いますと、バラ科サクラ属の落葉小高木をいいます。原産地は中国ですが、果実として日本やアメリカでとても人気が高い果物。もともとプラムは「すもも」の一種で、仲間が世界中に存在し、種類も豊富で、果実の色が紅や黄色、果肉は淡黄色や紅色など個性にあふれています。有名な仲間には、みなさんもご存知「プルーン」がいます。
プラムは、ビタミン類やリンゴ酸など多くの栄養素が含まれています。中でも、貧血に効果があるといわれる葉酸や便秘の解消に効果があるといわれるソルビトール、疲労回復に効果があると言われるアントシアニンなどが代表的な栄養素に挙げられます。
夏のプラムに秋のリンゴ
JA北信州みゆきすもも部会は、南沢部会長(写真右)はじめ総勢会員110人。信州の北に位置する中野市上今井地区を中心に、木島平村、飯山市でも栽培しています。同JAでも、産地としての力を入れていることもあり、主力品種の「大石早生」は県内屈指の主産地です。現在、さらに、きれいなハート型をしている「紅りょうぜん」や、果肉の紅色が強い甘味と重なって印象的な「ソルダム」などの品種にも、取り組む予定です。
南沢部会長はプラム栽培歴25年。プラム産地化に向け、人一倍汗を流してきた人物。「プラムは農家にとって秋のリンゴのふじだけでなく、夏場の貴重な現金収入源。価格はほぼ安定して推移、薬剤費などコストも比較的かからないんですよ」と農業の現状を教えてくれました。
冬場のせん定が鍵
しかし、同地域は多雪地帯。樹を強くする適切な「せん定」は当然必要な作業です。コストはかからないといっても雪が多く残るなかで行なう「せん定」には、高い技術的と労力が必要です。また、土づくりに気を使い「肥培管理を常に心がけています」とも話してくれました。
すもも部会では、7月1日に収穫に入り、今後は20日過ぎまでに1万5千ケース(1ケース=5キロ)を県内外に出荷します。出荷の方法もそれぞれ。大口の京阪神向けは輸送途上などで追熟させ、新潟や県内へは濃熟果実を届けるよう工夫されています。
南沢部会長に今後の課題をうかがうと「主力の大石早生に加え、中生・晩生種の多品種を組み合わせて、長い期間出荷できる生産体制づくりが一番の課題です」と将来を見据えた明確な答え。また、「視察に訪れた市場側からの"もっと送ってほしい"という声が生産者の励みになっています」と栽培する側の喜びも教えてくれました。
南沢部会長やすもも部会の皆さんの愛情のこもったプラム味わいは、そのシールに表現され「ふるさとの味わい 信濃の国JA北信州みゆき」です。是非、お近くに見かけましたら初夏の旬をお楽しみください。
プラムは完熟で食べる
そうそう、プラムを買ったけどまだ食べごろじゃなかったという方は、ビニールの袋に入れ冷蔵庫の野菜室などで2週間くらい寝かしてみてください。色がかわり、果肉や皮が柔らかく果汁たっぷりで、甘みが強くて少し酸っぱい濃厚な味の「完熟プラム」に変身します。
もちろん、「ガブッ」と、皮ごと丸かじりがなによりオススメですよ。
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