わわわ!この野菜って、なんだ~?
正解は「セルリー」です。
ん? セルリー?
スーパーでは1本ごとにバラして売られていることが多いので、見慣れない姿に、そう思った方がいらっしゃるかもしれません。そして一般的には「セロリ」ですが、JA信州諏訪の農家やJA職員は「セルリー」と呼んでいます。
長野県はセルリーの全国生産量1位を誇り、なかでもJA信州諏訪は、年間を通して約7割の生産量を占め、夏場には約9割にもなります。
標高900m~1000m、茅野市・富士見町・原村の高原では、冷涼な空気と清らかな水のもとでセルリーが栽培されています。暑さが苦手なセルリーにとっては最適地で、県内でも有数のセルリー産地なのです。
今回は、原村のセルリー農家、中村健斗さんを訪ねました。
セルリー農家の中村さん(右)と、信州諏訪 営農企画課 五味係長さんにもご協力いただきました!
収穫開始は深夜1時!
セルリーの旬は5月から11月。ことに夏場は、気温30℃を超える日が連日のように続くなかで、人間と同じようにセルリーも暑さ対策が欠かせません。
手作業で塩化カルシウムをまき、熱さ対策をしているそうです。人も野菜も塩分を欲するのだなと思いました。
収穫作業がはじまるのは深夜1時。「なぜ、こんな早いの?」と聞いてみると「セルリーの適温は15℃から25℃なので、鮮度を保つために早朝から作業をはじめます」とのこと。
日が出て気温が上がってからセルリーを出荷してしまうと、水分が蒸散して鮮度の落ちが激しく、店頭に並ぶ頃にはシナシナになってしまうそうです。
収穫は、まず根元に包丁を入れます。外葉(がいよう)」という外側の小さい茎や芽を外し、根元をきれいに切り落とします。そして株元を洗ってから、重さを測って専用の出荷袋に入れます。1株2kg程度。出荷袋は鮮度を保つための特殊な加工がしてあります。
朝のうちに70箱以上のセルリーをトラックに乗せて集荷所に運びます。
深夜1時。真っ暗なうちに収穫をはじめます
1日の出荷量は、集荷場全体で6トン。10㎏箱のダンボール数でいうと、およそ6,000箱になります!
セルリーの芯まで急速に冷やせる「真空冷却装置」に入れ、輸送トラックへ積み込むまでの短い時間にも鮮度を保つ工夫をしています。
みずみずしくシャキッとした食感を味わってもらえるように、こうした手間ひまを重ねたセロリーは、冷蔵車で京浜ほか九州・沖縄などへ届けられます。
品質検査を行い真空冷却装置に収穫したセルリーを入れます
「諏訪3号」って、どんなセルリー?
JA信州諏訪管内で生産されているのは、幻の品種「諏訪3号」。JA信州諏訪オリジナル品種のセルリーです。
セルリーは、独特の香りや苦みが苦手な方もいらっしゃると思います。一般的な「コーネル種」から品種改良を重ねて、香りをおさえたのが「諏訪3号」です。さらに色味はよく、株にボリュームがあり、茎は肉厚ながらスジが少ない、食べやすいセルリーなのです。
出荷袋に入っているセルリー
実際に食べてみると…ほかの品種に比べて味や風味はやさしく、シャキシャキ感とみずみずしさは際立ちます。
筆者も子どものころはセルリーが苦手だったのですが、この取材をきっかけにセルリーが好きになりました。何といってもびっくりしたのが、セルリーの太さと厚さ!スジも気にならず、ペロリと食べていました。
JA信州諏訪で生産されているセルリー「諏訪3号」は太く厚くみずみずしい~!
セルリーは、やっぱり生で!
セルリーのおいしい食べ方を農家さんに聞いてみると「やっぱり生で食べるのが一番だよ!」とのこと。
セルリーの香りや歯ごたえを味わうには、生のセルリーに味噌マヨネーズ(お好みで砂糖を入れて)をつけるのが定番。このほかにも漬物や和え物、炒め物にしてもgoodです!
農家さんおすすめ① 切ったセルリーにマヨネーズをつける
農家さんおすすめ② 切ったセルリーに味噌につける
筆者オリジナル 「セルリーのホイコーロー炒め」もgoodでした!
もっとおいしい!アレンジレシピ
さらに、みなさまにおすすめしたいセルリーのアレンジレシピを紹介します。「セルリーとタコとジャガイモのデリ風サラダ」です!
セルリーとタコとジャガイモのデリ風サラダ
【作り方】
1 セルリーの茎は、スジを取って斜め薄切り。葉はみじん切り。タコはぶつ切りにする。
2 皮をむいて2㎝角に切ったじゃがいもと、水大さじ1を耐熱ボウルに入れ、ふんわりとラップをかけ、600Wのレンジで4~5分、加熱する。
3 じゃがいもの粗熱が取れたら、ボウルにすべての材料を入れ、よく混ぜ合わせる。
詳細はJA全農長野のホームページをご覧ください。そのほかにも「セルリーのナムル」などのアレンジレシピがありますので、参考になさってください。
・セルリーとタコとじゃがいものデリ風サラダ
・セルリーのナムル
・白菜とぶなしめじとセルリーの厚揚げサラダ
セルリーを食べて夏を乗り切ろう!
JA信州諏訪管内のセルリー栽培は、2022年に100周年をむかえました。セルリー栽培に関わるすべての人の思いが、セルリー産地を守り、100周年の歩みにつながっています。
「近年は高齢化が進んで、農家をやめる方も多くなっています。セルリーがあり続けられるように、これからも栽培に力を入れていきたい」と、中村さんは今後の抱負を語ってくれました。
みなさんもビタミン・ミネラルたっぷりのセルリーをおいしく食べて、元気に夏を乗り切りましょう。
セルリー農家の中村さんから、みなさまへ!