みなさん、信州峯村牛を知っていますか?
全国には多くのブランド牛肉があり、長野県のブランド牛肉といえば「信州プレミアム牛肉」ですが、ランクA4以上の黒毛和牛または信州プレミアム牛肉から、さらに厳選したのが「信州峯村牛」です。
「信州峯村牛」を生産しているのは東御市の「牧舎みねむら」。ここで生まれる年間約75頭のうち、峯村牛となるのは数頭のみ。とても希少な牛肉です。
今回は代表の峯村誠太郎さんを訪ねました。

牧舎みねむら代表の峯村誠太郎さん(右)とスタッフのみなさん
JA信州うえだ畜産センターの舩田センター長(左)も一緒に
「牧舎みねむら」について
長野県東御市、標高900mの浅間連山の麓に牧舎はあります。育成・肥育舎が4棟、繁殖・保育舎が5棟。広々とした牧場に繁殖牛80頭、肥育牛260頭が放牧されています。1982年に両親が牛飼いをはじめて、峯村さんは2010年に牧舎を引き継ぎました。
信州峯村牛のロゴ

牧舎みねむらでは、黒毛和牛を人口授精から分娩、育成、肥育、出荷までを行う全頭一貫飼育をポリシーにしています。牛は一年に一度しか赤ちゃんを産まないため、大量生産ができないのです。
生産するうえで気をつけていることを峯村さんに聞くと「愛情いっぱいに育てています。そして、地元の稲わらを1年分与えきることを意識しています」とのこと。
牛の生産現場に密着しました!
峯村さんは毎日どんな仕事をしているのでしょうか。その1日をお聞きすると…
朝8時と夕方17時にエサやリ。エサは、大麦・トウモロコシ・ふすまを混ぜた特別配合飼料と稲わらです。そのほかの時間は、掃除・堆肥の運搬・稲わら詰めなど行なっています。
朝と夕方のエサやりの様子
生後0~3か月は母牛のミルク、生後4か月から牧草を、成長に応じて前述の配合飼料と地元産の稲わらを与えます。与える分量は決まっていますが、牛の大好物であるわらは少し量を増やしてもいいそうです。
稲わらは10~12月に1年分(東京ドーム11個分!)を調達しています。この3か月でしか調達が難しいため、牧舎みねむらにとっては勝負時です。
稲わらは裁断機で1束を3等分にして与えます。稲わらのおかげで胃が刺激されて食欲が増すため、たくさんエサを食べてくれるそうです。
体調管理もしっかりして、愛情いっぱいに飼育した牛は、生後28~30か月になると、毎月1回のペースで約5~6頭が出荷されます。
牛は峯村さんのことが大好きです
畜産農家から出た堆肥は、耕肥農家へ渡されます。そしてまた稲わらが畜産農家へ渡され、地域内循環型農業の実践にもなっています。
今年(令和6年)からメタンガス削減に向け、ゲップを減らすアマニ油などの飼料を与える取り組みを開始しました。安全・安心かつ環境にやさしい牛肉を、消費者へ届けているのです。
筆者オリジナル・信州峯村牛アレンジレシピ
取材の際、自家産黒毛和牛肉100%のオリジナル加工品を発見し「これは絶対食べたい!」と思い、購入しました。
私が購入したのは、信州峯村牛の焼き肉セット、ビーフジャーキー、牛丼、コーンビーフです。購入した4つを自分流に簡単アレンジしてみたので、ご紹介します。
まずは「塩コショウがアクセントの焼肉」。

焼いたお肉を味わうため、味つけは塩コショウのみ。もちろん焼き肉のたれをつけてもOK。
続いて「卵でまろやかな味わいのコーンビーフ」。

コーンビーフは塩漬けしているものが多いため、少し塩味が強いと感じるかもしれませんが、卵をからめることで、まろやかなやさしい味を楽しめます。
そして冷凍の「牛丼」は、湯煎して、ご飯と一緒に盛りつけました。お肉はやわらかく味はまろやかで、何度でも食べたくなる味でした。

最後は「袋を開けて3秒で楽しめるビーフジャーキー」。噛めば噛むほど牛肉の旨みが味わえて、クセになります。手軽に食べられて、お酒のおつまみにも最高です!

東御ワインとのマリアージュ
東御市内の飲食店「リストランテ フォルマッジオ」「フルール ドゥ ペシェ モモカ」「ヴィラデスト ガーデン ファーム&ワイナリー」では、信州峯村牛と東御ワインの組み合わせを楽しむことができます。
▼レストラン取り扱い店一覧

東御市はワインの産地。牧舎周辺にはいくつものワイナリーがあります。峯村さんはこのワインに合わせてもらうための牛肉や加工品の販売をはじめたそうです。
「信州の空気・水・気候が、牛のおいしさの秘訣です。東御市産の食材とともに、東御育ちのおいしい牛肉を食べていただきたいです」
気になる方は「牧舎みねむら」のオンラインショップをのぞいてみてください。
▼ECサイト

最後に。今回の取材を通じて信州峯村牛を知り、おいしい牛肉を多くの人に届けるために愛情込めて育てる生産現場を知ることができました。
農家のみなさんの努力と愛情により育てられたかわいい牛も、食卓に並ぶときには牛肉となります。おいしい牛肉を生産する農家さんと牛の命に感謝の気持ちを忘れずにいただきたいと思います。
おまけ
7月に出荷予定の牛がいました。峯村さんが近づくと「かまって~」と合図をして、峯村さんはやさしく触ってあげていました。峯村さんの牛への愛を感じる瞬間でした。
牛は角の生える部分がかゆくなるらしいのですが、自分で触ることができないので、峯村さんが牛1頭1頭の様子を見ながら日々丁寧に手入れをしています。
愛を育む牛の姿にきゅんと胸を撃たれました!