"にらせんべい"ってご存知ですか? 北信地方を中心に伝わる人気の郷土料理です。せんべいと言っても、あのお米でできた固いおやつとは違います。分かりやすく言えば、薄いお好み焼き、韓国料理のチヂミに似たものです。畑仕事の合間の"おこびる"(小昼=おやつ)として食べられてきた料理ですが、現在でもおやつににらせんべいが出てくる家庭は少なくありません。
郷土料理ですから家庭によって作り方は様々。今回は長野市篠ノ井に店を構える「お母さんの味処 たんぽぽ」におじゃまして、大人気商品のにらせんべいについて伺ってきました。
犀川(さいがわ)に沿って山あいを長野市から松本市へ向かう国道19号沿いに、「お母さんの味処 たんぽぽ」はあります。地元、信里(のぶさと)と呼ばれる地域で採れた農産物や、それらを使ったお惣菜・加工品を直売所で売ったり、仕出し弁当を作ったりと地産地消にこだわっています。メンバー全員が信里や周辺地域の農家のお母さんたちなので、信里のふるさとの味が味わえると人気のお店なのです。
おやきの次は、にらせんべい!
信州の郷土料理といえば、"おやき"を思い浮かべる人が多いかもしれませんね。たんぽぽでもおやきは人気メニューなのですが、今回の主役はにらせんべいです!
にらせんべいはどちらかというと北信地方の郷土食なので、中南信出身の編集部員とにらせんべいとの出会いはつい最近のこと。たんぽぽの出張販売で初めて目にした時は「せんべいじゃねーじゃん!」と、心ないツッコミを入れてしまいましたが、食べてみたところそのおいしさに感激してしまったのです。
にらせんべいと一口に言っても、家庭によって作り方は様々。代表的なのが、小麦粉に水、ニラ、味噌などを加えて混ぜたものをお好み焼きやチヂミの様にフライパンで焼き、砂糖醤油で食べる方法でしょうか。砂糖や卵を加えたり、砂糖醤油の代わりに甘い味噌で食べたり、中にはニラをプレーンの生地で挟み込む調理方法などもあるのだとか。
地場産米が入ってモチモチ
お焦げの食感も大人気
さてさて、たんぽぽのにらせんべいの大きな特徴は2つあります。
ひとつめは、生地にご飯が混ぜ込んであること。仕出し弁当で余ったご飯を無駄にせず、お米の消費にも貢献できる方法として生地にお米(もちろん信里産)を入れたのだと言います。そのおかげで、お焦げの食感と生地のモチモチ感が同時に楽しめると大人気になりました♪ ちなみに小麦粉は信州産の「ユメセイキ」を使用しています。
小麦粉、ご飯、ニラ、卵などを混ぜた生地をホットプレートでこんがり焼く
2つ目の特徴は味付けにあります。生地には味噌を入れず、2枚の生地の間に甘い味噌を挟んでいるのです。お店で売ったものを食べてもらうには砂糖醤油を後づけするのは難しいので、こうすることで、買ってもらってすぐに食べることができます。まあその前に、甘い味噌とニラがマッチしてものすごく美味しいのですがo(*^▽^*)o
味噌を塗って挟む
こんな唯一無二のたんぽぽのにらせんべいは、店頭だけでなくイベントの出張販売でも大人気。1度のイベントにだいたい150枚を目安に持っていくそうなのですが、必ず早くに完売してしまうのだとか。お求めの際はお早めに!
たんぽぽは、長野市のJA長野県ビルで毎週金曜日の11時から開催されている「ふれあい広場」(2013年は4月19日から12月始めまで開催)のほか、長野県庁や長野市のToigo前広場、篠ノ井駅前の長野軽トラ市でも定期的に出張販売を行っています。
お米と小麦粉が生み出す不思議な食感と、ニラと味噌のコラボレーションがたまらないたんぽぽのにらせんべい。長野にお越しの際はぜひご賞味ください。
※たんぽぽのにらせんべいは味噌を挟んでいるため、冷凍・解凍により味や食感が変わってしまいます。そのため、地方発送はお勧めしていません(「どうしても食べたい!」という方にはしているとのことですが)。ぜひ長野県に来て味わっていただきたい一品です。
その代わりと言ってはおやきに失礼ですが、不動の人気を誇るおやきは地方発送を行っています。たんぽぽのおやきは、焼いてから蒸すタイプ。レンジで温めればすぐに食べられる"蒸したおやき"はもちろん、自宅で蒸したてを食べられる"焼いただけのおやき"を冷凍して発送しています。
◇農産物直売所 有限会社 おかあさんの味処「たんぽぽ」
〒388−8017
長野市篠ノ井山布施8831−19
TEL&FAX: 026−229−2948
営業時間: 午前9時〜午後4時
定休日: 月曜日
大きな地図で見る
◇あわせて読みたい
・「農産物直売所『たんぽぽ』は愛されて6年目」
・「人びとを街に呼び戻す軽トラ市の魅力を探る」(長野軽トラ市)