大樹の農事録
[大樹の農事録]

地域を楽しく美しく。農業で暮らしを豊かに

みなさま、こんにちは。

今年の冬は本当に寒いですね。こちらは2月の平均気温も1月に続きマイナスでした。安曇野の積雪量は、多い時でコマのお腹ぐらいまで。ありがたいかぎりです。

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「ご主人、新雪走っちゃいますか?」の顔。写真ではわかりませんが、しっぽを全力で振っています♪

さてさて、いつもと変わらずはじまりましたが、今回で私の農事録は最終回になります。

自分から情報発信しないタイプなのですが、農事録を書くことでいろいろと物事を考えながら生活ができるのではないかと思い、引き受けたのがはじまりでした。

結果、この3年間は非常に得るものが多かったです。人に伝える行為は、自分の頭の整理になることがすごく良くわかりました。

それでは最後の農事録、おつきあいくださいませ。

燻製機を新たにDIY、趣味がさらに充実

2月は仕事が空く時期なので、趣味の時間を満喫しております♪

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燻製機を新たにDIY。今まで使っていたドラム缶の燻製機は上段と下段の温度ムラが激しかったので、簡単に網の入れ替えができるようにしました。

サイズは100均の網がぴったり入るサイズに。サーモスタットを入れることで、温度を自動調節できるようにしました。

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想像以上にうまく燻煙ができて大満足! この燻製機でさらに趣味の幅が広がりそうです。

農家の醍醐味とは

こんな具合に、仕事の合間に趣味を挟める働き方って、個人事業の醍醐味だとつくづく思います。

土木の現場監督時代には考えられなかった働き方です。 

親の体調不良を機に「農家の長男は家を継ぐもの」という謎の思い込みから就農した私。深く考えずに就農しましたが、毎年、農業という仕事の面白さと難しさを痛感しています。

働き方から作り方、売り方に至るまで、すべて自分で決めなければなりません。

しかし、自分で決めた結果がすべて自分に返ってくるというのは、私としてはすごく楽だし、やりがいがあります。

ミスは自分が責任を取ればいいし、頑張って良い結果を出せば収入も増えます。

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就農して一番変わったことが、朝起きた時の気持ちでしょうか。

現場監督の仕事は好きだったのですが、やっぱり朝は睡眠不足と不安で、毎日憂鬱な気分でした。

性格上、自分のミスで誰かに迷惑をかけることが、すごくストレスだったのでしょう。

就農してからは「さて、今日もやりますか!」って感じで、毎日気持ち良く起きることができます。

朝、気持ち良く起きられるって、すごく幸せで健康なことだと思います。

心を癒す景観作りも農家の役目

そりゃ仕事してれば悩みもたくさんありますし、忙しくて焦るときもあります。でも、ふとした時の安曇野の風景は、とがった心を丸くしてくれます。

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春は草花が一斉に弾け、生き物が動きだします。

夏は緑と水が強い太陽に照らされ、コントラストを強くします。

秋は高い空に紅葉した屋敷林と山々が映えます。

冬はモノトーンの景色に包まれ、澄んだ空気と静けさが広がります。

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自然の移ろいを肌で感じながら仕事ができるのも農業の醍醐味。安曇野の十二期は、1年というサイクルを美しく伝えてくれます。

そして、農業は農作物だけではなく、風景も作っているということをつくづく思うわけです。

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水鏡が残雪の北アルプスを映す時期には、多くの人が足を止めてその景色に目を奪われます。

通学途中の子どもたちは日常として、この風景を目にしながら成長していきます。

大人になり、遠くに越して行く人もいるでしょう。そしてまた、故郷に帰って来たときに変わらぬ田園風景と山々を見て、ほっと安心感を覚えるのです。

かく言う私がそうでした。日々見ていた何気ない風景に価値を感じた瞬間でした。

そして、その風景を作っているのは農業の営みであり、私が何気なく就農した仕事の役割であることに気づいたのです。

「おいしい」が心を満たす

農家で良かったことといえば、何といっても新鮮な野菜を贅沢に食べることができるところでしょう。

旬のものを樹上完熟の一番おいしい時に収穫することができる。

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農家民泊の取材に来た子どもたちや記者さんは、家庭菜園のトマトを食べて感動して、何個も爆食いしていました。

夏野菜は特に量がたくさん取れるので、食べきれない野菜を近所へおすそ分けするのも田舎の大事なコミュニケーションのひとつ。

旬の野菜には、その時、身体に必要な栄養や効能があります。本当に自然とは不思議で満ち溢れています。

そして、1日しっかり働いて家に帰って飲む1杯のうまさときたらもう! 最高なわけですよ!

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夏はキンキンに冷えたビールが最高だし!

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寒い冬には熱燗が五臓六腑に沁みわたります。

仕事が終わり、家族と一緒に食事をとる時間が取れるのも幸せなことです。しかも、つまみもご飯もおいしい!

おいしいは「幸せ」です。

これからも心を込めて安曇野の幸を作っていこうと思います。

地域を楽しく美しく、農業で日々の暮らしを豊かにする

自然の力は偉大で、放置すればすぐに一面荒れ野原になってします。

農業を続けることで管理された自然を維持し、自然のライフサイクルを回していくことができます。

地域の景観を担うという責任ある仕事だけに、やりがいも生まれます。

農業は日々の暮らしを豊かにしてくれます。

私は、ここに住む人たちが「ここで暮らせて良かった」と心から思える環境づくりを、農業という仕事をとおして実現していこうと思います。

 

最後に営業です(笑)。

安曇野市の産直センターさんに声を掛けていただき、安曇野市のふるさと納税の返礼品を担当することになりました。

返礼品は当然、お米! 今年の収穫分からなので、まだサイトにも載っていませんが、もしよろしければチェックしてみてください!(^^)!

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安曇野市オリジナルの「風さやか」パッケージの下の部分。山のシルエットと背景がそっくりでしょう。

パッケージでそんな安曇野の風景を感じてもらえたらうれしいです。

 

古田然くんからバトンを渡されてから3年。私の農事録はここまで。次は行動力と発信力が私の十倍くらいある農業女子が登場する予定です。尊敬できる仲間だし、面白い活動をたくさんしている人なので、私も楽しみです!

それではみなさま、長い間おつきあいいただき、本当にありがとうございました。

またどこかでお会いしましょう。

この記事を書いた人

安田大樹さん

北アルプスをのぞむ安曇野市は、1等米比率日本トップクラスの長野県を支える米どころ。25歳でお米農家を継いだ安田大樹さんは、おいしいお米を作り続けることが「ふるさと安曇野の景観を守り、地域を楽しくしていくことにつながる」と考えました。

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