大樹の農事録
[大樹の農事録]

薫製づくりに、スノボに。長野の農家は2月に遊ぶ!

北アルプスをのぞむ安曇野市は、1等米比率日本トップクラスの長野県を支える米どころ。25歳でお米農家を継いだ安田大樹さんは、おいしいお米を作り続けることが「ふるさと安曇野の景観を守り、地域を楽しくしていくことにつながる」と考えました。

安田さん農事録

 

気が付けば3月。毎年思うのですが、2月が過ぎるのが早過ぎる!
3月は外仕事のスタート時期なので気持ちが落ち着きません。これから徐々に身体を農繁期モードに移行していかなければ。

コマの飲み水の氷の厚さも薄くなってきました。
春の足音が確実に大きくなってくるのを感じる安曇野。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。

安田さん農事録

大好きな氷を前に「待て」をくらうコマ

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「ヨシ!って言ったんだから早く手ぇ離せよー」

 

燻しの季節

2月まではゆっくりモードの我が家。この先1年の保存食(つまみ)作りの時間です。

安田さん農事録

 

第11回の農事録にも書きましたが、懲りずに今年も書きます。
作り方は、切って、浸けて、燻す! 教科書レシピはあるのですが、調味料の分量が「少々」「適量」といった曖昧な表現が多いので、毎年好みに合うように修正しています。
辛いのが大好きな私は、昨年の仕上がりよりもっと辛くしたかったので、タバスコを昨年の倍投入しました。
調味液を舐めてしまった母からは非難の嵐でしたが、仕上がりは上々♪ ピリ辛の大人の味になりました!

安田さん農事録

 

ジャーキーを噛み、繊維に沿って肉を割けば、燻煙した桜のチップの香り。
噛みしめる程に口に広がるのは、スパイスとワインが浸み込んで凝縮された肉の旨味と、煙のワイルドな風味。
干し肉のリアルな硬さ。何度も噛んで柔らかくしなければ呑み込めません。
最初に感じられるスパイスの風味は徐々に薄れ、残るのは赤身肉本来の甘味。
癖が強いと言ったら嘘になりますが、これに慣れると市販の化学調味料チックなジャーキーは食べられなくなります。

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そう! これはもう、ウイスキーにドンピシャ!
普段はあまり飲まないウイスキーですが、このジャーキーを食べるとなぜかウイスキーが飲みたくなります。
それも癖の強めのやつが。私が好んでジャーキーのお供にしているのが「LAPHROAIG(ラフロイグ)」という名前のウイスキー。
よく「まるで正露丸のような味」と例えられています。まさにその通り。つまみ無しでウイスキーを飲めと言われたら、まずラフロイグなんて選びません。それほど癖のある味なんです。でも何故か、このジャーキーには普通のウイスキーだと物足りないんですよね。煙とピートの香りの相性が良いのでしょうか。
その他に、渋めの樽っぽい赤ワインなんかにも合います!
売り物ではないので、共感してもらえないのが残念ですが、この自己満足以外の何物でもない至福の時間が、人生を豊かにしていくのではないでしょうか。

独り占めしたいけど、この感動をみんなに味わって欲しい。褒めてもらうと嬉しくて、結局殆んどあげて終わってしまう...、後になって後悔するのが毎年の繰り返し。。。

 

冬の柑橘でサングリア

夫婦共々お酒が大好きな我が家。今年はサングリアも作りました。
今までに赤ワインバージョンを作ったことはあったのですが、今回は白ワインバージョンをやってみました。

きっかけは知り合いの農家からレモンを沢山貰ったこと。そのままかじって食べられるくらい美味しいレモンを、贅沢に使わせていただきました。
入れたフルーツは「安曇野産レモン」「安曇野産リンゴ」「自家栽培キウイ」「グレープフルーツ」です。

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白ワインは安物ですが、柑橘系の香りがしっかりのってくれて、凄くさわやかなワインになりました。
柑橘の皮の渋みが一番強く出ましたが、目を閉じて「リンゴも入ってたよな」と思えばリンゴの味が前に出てくるし、「キウイは、、、」と思えばキウイの味が前に出てくる、といった具合で、味の変化が楽しいワインになりました。人間の舌って不思議ですね。思った方に味覚も引っ張られるのでしょうか。
普段の食事も、意外と「こういう味だろう」という先入観で味を感じてしまっているのかもしれません。

赤のサングリアがベリーやブドウ等の甘味の強い果物との相性が良いのに対し、白のサングリアは柑橘系やキウイ等の酸味のある果物と相性がいいです。
酸味のある果物って冬が美味しいじゃないですか。この時代、年中色んな果物が手に入りますが、本来果物にも旬があります。季節の果物でサングリアを作ろうとしたら、白のサングリアは冬が狙い目なんじゃないでしょうか。
こんなに贅沢に果物を使えるのも幸せな事ですね。

 

○○が日本一の長野県

さて、コロナの影響で地元の魅力を見直す県内旅行などに注目が集まりましたね。皆さん、「長野県」と聞いてイメージするものってなんでしょう。
長野県には本当に沢山の日本一があります。移住したい都道府県ランキング15年連続1位はだてじゃありません。

その中でも特にウィンタースポーツ! 長野県は「スキー場の数も全国1位」であります。
冬山好きのメッカ。
ウィンタースポーツをしたいから長野県に引っ越してきた、という知り合いも沢山います。それだけ魅力的な山や施設が多いのでしょう。
わが子2人は今年初めてのスキーデビュー。末っ子はママとキッズエリアで雪遊び。

安田さん農事録

 

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例年ウィンターシーズンは観光客で外国のようになるスノーリゾートも、今年はご覧の通りの空き具合。
団体のはずのスキースクールもマンツーマンで教えてもらうことができ、1日で滑れるようになりました。
最初はおっかなびっくりでしたが、3回目には自由行動もできるようになり、かなりのスピードで滑れるようになりました。本当に子どもの成長はすごい!
午前中予定があっても午後一から滑れる近さにスキー場があるのは、改めて気づくありがたさでした。

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かくいう私もスノーボードをやるのは十数年ぶり。
最初リフトを降りるのに緊張しましたが、何とか滑ることができました。自転車と一緒で一度覚えると身体が忘れないようです。
リフト待ち無しで滑り放題だったので最高に贅沢でした。

長野県民というだけで「スキーとスノーボードが上手い」というレッテルを張られるので、スキーができるようになったら、スノーボードもやらせてみたいと思います。
ミスを怖がらない子供だからこそ覚えが早いのでしょう。大人は転ぶのが恥ずかしかったりして中々挑戦できないですからね。

スキーシーズンになるとラジオからは毎日主要ゲレンデの積雪情報が流れます。子供は車の中で聞き耳を立てては行ったことのあるゲレンデの積雪量を気にしていました。

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板などは薪ストーブの近くに置いておけば一晩で乾燥完了。
薪ストーブ最高です。流石に高校時代の板は古いので新しいのが欲しいな。

 

上から下まで遊び放題

春が近づいてくると風が強くなってきます。この時期は、空気も澄んでいて適度に風もあるので、凧揚げにはぴったりの季節。

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天高く舞い上がるカイト。
落ちないようにするためにはそこそこ技術も必要です。
最初は落ちそうになると走り回っていますが、コツと風さえつかめばあまり動かなくてもカイトはどんどん上がります。
下を向きがちな昨今、空を見上げるっていいですね。

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コマはタコよりネズミに夢中。
田んぼの畔に潜むネズミやモグラの匂いを嗅ぎつけては掘り返して捕まえようとしています。
顔の大半を地面に突っ込みフゴフゴ。顔を上げれば自慢の白い鼻先は真っ黒。

この楽しみ方の高低差(笑)
空から地中までダイナミックに遊べる安曇野だからこそですね。

さて、こんな感じで殆ど仕事をしていない2月はあっという間に過ぎ去り、既に外仕事も始まっております。

フキノトウ食べて身体を春モードにして、今年も頑張りたいと思います。

それではまた次回お会いしましょう。

この記事を書いた人

安田大樹さん

北アルプスをのぞむ安曇野市は、1等米比率日本トップクラスの長野県を支える米どころ。25歳でお米農家を継いだ安田大樹さんは、おいしいお米を作り続けることが「ふるさと安曇野の景観を守り、地域を楽しくしていくことにつながる」と考えました。

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