こんにちは!ユーマです。早いもので今年もあっという間に12月になってしまいました。毎年のことですが、「今年も一年過ぎるのが早い」とつぶやいてしまいます 笑。 しかしながら、例年と違うのはやはり気候。12月とは思えないほど暖かい陽気に、少し戸惑っています。この時期は農作業をひと段落させ、先月から蔵人として地元の酒蔵に入っています。これからの時期は厳冬期に向けて徐々に仕込みのギアが上がっていくのですが、予想以上の気温のゆるみに醪(もろみ)の温度管理をどうするか、蔵人たちの腕の見せどころです。
酒造りにかかせない米麹のチカラ
先月の農事録にて、お米が美味しいお酒になるまでを少し書かせて頂きました。今回はその続きを少しお話ししたいと思います。
日本酒の主原料はもちろんお米なのですが、酒造りに使われるお米は米麹と掛米の二つに大別されます。米麹は蒸し米に麹黴(こうじカビ)を植えつけたもので、お米のでんぷんを糖に分解するための酵素の供給源となります。掛米はそのまま日本酒の醪に投入され、米麹のチカラであまーい糖分に分解されていきます。このあまーい糖分を酵母が食べることによって、飲めば酔うアルコールが生まれていきます。
ということなので、酒造りにおいて良い米麹をつくる、ということはとても重要な工程です。
米麹に手入れをしてほぐしている場面です。お米の塊も崩して、均等に麹黴の菌糸が行き渡るようにします
「一麹、二酛、三造り」とは
米麹をつくるには、まず適度に冷やされた蒸米に種麹と呼ばれる麹黴の胞子を振りかけます。
その後、麹室(こうじむろ)と呼ばれる、真冬でもとても暖かい麹づくり専用の部屋に移され、蔵人たちによって温度や湿度を厳密にコントロールされていきます。こうして麹黴にとって快適な環境の中でお米が米麹に育っていきます。その後、十分に育った米麹は麹室から外に出され、枯らし場と呼ばれる場所に運ばれ、醪の中に投入される時を静かに待ちます。
麹黴の菌糸が全体にまわったら、それを育てるために床(とこ)に移します。
ちゃんと米麹に育っているか、蔵人がしっかり確認します
日本酒造りは「一麹(こうじ)、二酛(もと)、三造り」と呼ばれています。これは各工程の重要性を順序づけした表現です。今回は米麹づくりについて書かせて頂きましたが、二の酛、三の造りはどういうことなのか、、酒蔵にやってきたお米が美味しい日本酒にどう変わっていくのか、それについてはまた次回。