岩垂さんの農事録
[岩垂さんの農事録]

オレさまの安曇野 風雲 農事録 連載第2回

連載※長野県安曇野市三郷(みさと)地区で、農家家業をついでリンゴを作りはじめて5年目になる岩垂和明さん(40歳)が、今月から月々の農事を綴ります。

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ども! 岩垂です。

早いもので、もう3月も半ばを過ぎてしまいました。

ウチの仕事はと言えば、冬から春にかけての一番の仕事である「せん定作業」がほぼ終了。忙しい時期に入る前に済ませておくべき仕事を着々とこなしつつあります。

で、今回は、趣味で行ってきたアジアのひとり旅の話などを交えつつ、最近の仕事の話をひとつふたつ・・・

遊べるときには真剣に遊ばねば
りんご農家には1年中仕事がありますが、忙しい時期と比較的閑な時期が、はっきりと分かれます。5月〜7月頭までの摘果のシーズンと8月末〜12月頭までの収穫のシーズンが忙しい時期で、残りは比較的閑な時期。忙しい時期には、ほとんど休みはありません。

だからですね、、、
比較的自由に休めるこの冬の時期に、真剣に遊んでおかないといけないわけですよ。(^^;

ということで、真剣に遊んできました。
1月末〜2月にかけて行ってきた、9日間のタイ−ラオスの旅。往復の航空券だけ予約しただけの気ままな旅です。

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旅はいいです。
旅の毎日で経験する非日常から、パワーがもらえるから。

以上、充電完了!
今年も仕事、がんばれます。


世界のどこにでもリンゴはありました
ところで、
タイの市場にもりんごが売っていました。
でもね、かなりまずそうだったので買いませんでした。(^^;

ま、タイでフルーツを食うんだったら、りんごよりパイナップルとかマンゴーとかドラゴンフルーツとかマンゴスチンとか、そんな南国フルーツを食った方が断然うまいしね。

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以前行ったベトナムの市場にもりんごが売っていました。
おそらくどちらのりんごも、中国からの輸入品なのでしょう。

世界で一番りんごを生産している国ってどこだと思いますか?
そう、二位のアメリカに大差をつけてぶっちぎっている国、それが中国なんですよ。実に世界のりんごの1/3以上が中国で生産されているんです。(2006年の世界の生産量より)

それに比べると日本のりんごの生産量なんぞは微々たるもの。

ま、品質では負けませんけどね。

さてさて、少しは仕事の話をしましょう。^^;


リンゴの木をリストラさせるとき
この時期の仕事としては「せん定」や「枝の誘引」などがあります。また、苗木を植える場合は「苗木の植えつけ」、新しく苗木を作る場合や品種を更新したい場合は「つぎ木」などもこの時期に行います。(「つぎ木」の話は次回にでも。)

先日、昨年末にりんごの木を伐採した畑に、新しく苗を植えつけました。

まず穴を掘って、

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別の畑で養成しておいた苗を持ってきて、

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植えます。

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ウチでは「わい化栽培」という、りんごの木をあまり大きくさせない栽培方法をとっています。この方法だと、20年もすればりんごの木は大きくなりすぎて「わい化」の意味がなくなってきます。また、りんごの木もへたってくると言うか、だんだん品質のよいりんごが採れなくなってくるのです。

そこで、そろそろリストラ、植え替えの時期となります。

今までがんばってきてくれたのに申し訳ないが、昨年末にその一部を伐採。

ごめんよ。りんごくん。<(_ _)>


新入社員が戦力になるには時間がかかる
ところで、新しく植えた新入社員のりんごの木たちは、数年以上経たないと戦力にはなりません。数年後に強力な戦力になってくれることを期待しつつ、長い目で育てていく必要があります。その辺、ふつーの会社と同じように、経営を中-長期計画で考えていかなくてはなりません。

農業経営、なかなか奥が深いです。^^;

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これは一昨年植えた3年目の若木になります。

若木の「枝の誘引作業」も、この時期の重要な仕事になります。

通常、特に若くて元気の良いりんごの木は、木自身を大きくしようとすることにパワーを注ぎ、あまり真剣に(?)実を生らせようとしません。

そこで、通常上へ上へと伸びようとする枝を、下方向に引っ張ってあげることで枝の力を弱め、りんごを生りやすくさせます。(青い紐で枝を下に引っ張っているの、わかりますか?)

まぁ、りんごの木にとってみればいい迷惑なんだろうけど。。。

でも、りんご農家にとってみればりんごが生ってくれないことには商売にならないですからね。(^^ゞ

申し訳ないながら引っ張らせてもらっている次第です。

すまんねぇ。りんごくん。<(_ _)>

オレらがリンゴを作っているのではないのさ
最近思うのは、りんご農家はりんごを作る仕事ではないということです。

ホントにりんごを作っているのは「りんごの木」たちだから。

オレらはそんな「りんごの木」たちがより良いりんごを生らせてくれるよう、機嫌をとりつつ手伝ってあげているだけなのですよ。

今年も良いりんごが採れるよう、がんばってくれよな!りんごくん。

ということで、今月はここまで。

Good bye! See you.

この記事を書いた人

長野県安曇野市三郷(みさと)地区で、農家家業をついでリンゴを作りはじめて8年目となる岩垂和明さん(44歳)が、幾多の押し寄せる誘惑や困難を乗り越えて時として風雲急を告げる月々の農事を綴ります。

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