古田さんの農事録
[古田さんの農事録]

農業が好き!地域が好き!古田さんちの安曇野LIFE:7

古田さん農事録

 

まず触れておきたいのが、9月18日未明の台風18号のことでございます。
近畿辺りで日本を横断して日本海に抜けてくる、あのコースですからね。
ええ、そりゃあ心配でしたとも。
結論から申しますと、影響は全くと言っていいほど無かったのでございます。
りんごが落ちることも、生っているりんごが傷つくことも、ほぼございませんでした。

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台風後

2年連続の直撃「台風18号」

古田さん農事録

2016年10月6日

思い出すのは、昨年10月5日夜の台風18号(同じ番号!)でございます。
この台風は朝鮮半島をかすめて日本海に入り、新潟沖で熱帯低気圧に変わりまして。
ずっと「アルプスに守られてるから大丈夫」と言われていた長野県でも、いつもと違って北を台風が通る際に暴風に襲われたのでございます。
その時分はまだ研修中でございましたけれど、朝畑に行ってみますと、収穫間際のシナノゴールドが地面いっぱいに転がっておりました。
それはそれはショッキングな風景でございましたとも。
木の様子を見てみましても、落ちずに耐えたりんごも傷だらけでして、お金になるかわからない。
その後数日間は、落ちたりんごを拾うというとても悲しい作業でした。忘れることができません。

そんな新しい記憶がございますから、今回も予想進路をみたとき、血の気が引く思いがいたしました。
まあそれは果樹農家みんな同じなんでしょうけれども。
しかも、今年の18号は時期が早く、つがるしか収穫できておりませんから、ここで落とされたら昨年以上の損害になってしまいます。
恐ろしいことでございます。

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そこで、獲れるものだけ獲ってしまおうと、2日前からトキとシナノドルチェを急いで収穫したのでございます。
急いで収穫とは申しましても、もちろん未熟なものは獲っても売ることができませんので、熟期が来たものだけ。
いつもでしたら、収穫したりんごは畑で選果しながらコンテナの中に並べていくのでございますが、今回はそんな暇はございません。
とにかく木の上から避難させてあげようと、獲った端からどんどんコンテナに入れていきました。

で、台風対策をしている様子を取材したかったのでしょう。
そんな古田の様子が、信濃毎日新聞に載りました。
どうせなら、もっといい内容で載りたいものでございますね。がんばります。

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眠れない夜と台風一過

夜。
一旦寝たものの、夜中の3時頃でしたでしょうか、風の音で目が覚めまして、なかなか強く吹いているのを感じながら、布団の中で祈っておりました。
畑に行ってもできることはありませんし、りんごがどんどん落ちる光景なんて、見たくもありませんからね。

朝、飛び起きてまず畑に向かいましたとも。
いやあ、安心しました。思わず「ああよかった」と声が漏れてしまいました。
地面にりんごが落ちた様子は無く、ぶら下がっているりんごを確認しましても、新しくできた傷や打痕もみあたりません。
そんなわけで、安曇野はそんなに強い風が吹くことなく、台風18号をやり過ごすことができました。
ただ、県内の仲間の生産者の様子をみますと、特に南信ではりんごが落ちる被害があったようで、なんとも切ない気分になりますね。

自然のことなので仕方ないのでございますけれど、この調子で毎年来られますと、長野県でりんごを生産すること自体がどうなのか、という問題にまで発展することでしょう。
近年は他の異常気象も多いですし、そもそも温暖化が進めば作物の栽培適地が変わってまいります。
りんごをつくり続けられる安曇野であってほしいと願います。

ちょっと暗くて真面目な話題が長くなってしまいましたね。悪い癖でございます。失礼いたしました。

それぞれの品種にそれぞれのおいしさ

先月号は早生のつがるを収穫し始めたときでしたが、その後、なんとかつがるの収穫を終えることができました。
5tは獲りたいな。。。と思っておりましたが、ふたを開けてみましたら、収穫量は全部で6tくらい。
6t。6,000kg。17〜8kg入るコンテナで、350箱くらい。
いやあ、ひとりではかなり厳しかったと思いますよ。本当に。
何度か両親と妻が畑に手伝いに来てくれたおかげで、なんとか間に合わせることができたのでございます。
ありがたいことでございます。

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つがるが終わって、少しだけほっとできました。
サンふじの見直し摘果や、シナノスイートの葉摘み作業を進めながら、先にお話ししましたとおり、早めの中性種をちょうど収穫しております。
トキと、シナノドルチェでございます。

トキは黄色のりんごでございまして、黄緑っぽいうえにどべーんとした扁平で、形が悪い。
あまり食欲が湧かない見た目でございますけれど、こいつは甘くて風味があり、おいしいりんごでございます。
見た目以外の難点は、皮が渋いこと。
残念なことに、どうしてもまるかじりはおススメできません。

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トキ

シナノドルチェは、鮮明な赤がきれいなりんご。
こちらは若干縦長でスマートな形をしております。
しっかり酸味もあって、香りがよく、ジューシーながら濃厚な味わいが特徴でしょうか。
古田家では人気のりんごでございます。
皮が薄いので、小玉なら丸かじりもおススメできます。

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シナノドルチェ

弐七スタイルは、こんな感じでございます

収穫したりんごは、畑で軽トラックの荷台で選果して、農協に出荷したり、家に持ち帰って直売所で売るように袋詰めをしたり。
コンテナをそのまま出荷すれば、あとはお金になるのを待てば良いので、農協に出荷するのが最も楽でございます。

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ですが直売所で売るのは、結構楽しいのでございます。
どんな商品が人気なのかを知ることができますし、自分で選果・荷造をする手間(これが結構な手間!)や在庫を抱えるリスク(倉庫ほしい!)を負うことになりますから、当然、単価も高くなります。
まあ、農協では取り扱えない傷もののりんごなど、手をかけられる量を直売所などの直接販売用に分けて、あとは農協にお願いする。というスタイルで、しばらくはやっていこうと考えております。
あ、りんごの木オーナーのようなイベントごともやっておりますね。(あれこそ手間が尋常じゃないので、ほとんど趣味みたいなもんでございますが。。。)

いろいろな販売ルートを作っておいて、それぞれの使い方を考えながら、無理なく続けられたらと思っております。

さて、来月はシナノスイートのピークが過ぎた頃でしょうか。
シナノスイートは弐七農園で一番面積が多い品種でございます。
なんとか、今回もなんとか、収穫を間に合わせたいと気合いを入れなおして、がんばります。

そうそう。ふじの見直し摘果中のこと。。。

日々の畑・りんごの様子やもろもろは、ブログ「りんご屋さん 弐七農園」もご覧ください。

ではまた来月、お会いいたしましょう。

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この記事を書いた人

古田然さん

北アルプスのふもと安曇野市三郷小倉で3年間の研修を経て、2017年にりんご農家として独立した古田然さん。
農業が好き! 人が好き! 地域が好き! な古田さんが、安曇野の暮らしをつづります。

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