長野県と新潟県の境に位置し、小林一茶の故郷でもある風光明媚な高原の町・信濃町。「道の駅しなの」併設の農産物直売所には、午前8時30分の開店を待ちわびる人たちで行列ができます。お目当ては、信濃町自慢の夏野菜たち。その中でも美味しいと評判のトマトを作っている人を探しに行きました。
直売所に並ぶ佐藤さんのトマト
「道の駅しなの」農産物直売所は、上信越自動車道、信濃町インターを降りてすぐ。7月から8月は、とうもろこしとトマトを中心に地元自慢の夏野菜が所狭しと並びます。信濃町は、昼夜の寒暖の差がはっきりし、霧がかかることが多いため、ここでとれる野菜はどれも甘みが強く、みずみずしく、皮も柔らかいと評価が高いのです。 自然に恵まれた場所で、トマトを40年以上作っている佐藤益美さん(79)に出会い、生食トマトが栽培されている畑に連れて行ってもらいました。
野尻湖を一望できる場所にあるトマト畑
佐藤さんの生食トマト畑は、湖底からナウマンゾウの化石が出土した野尻湖の東側に位置する信濃町菅川地区にあり、近くには、樹齢1000年を超えるとされる信濃町指定の天然記念物「菅川神社の大杉群」があります。畑からは野尻湖が一望でき、雨よけビニールに守られた1000本の生食トマトが青々と葉を茂らせ、赤く色づいた実は収穫の時をじっと待っていました。
佐藤さんのトマトは、「信州の環境にやさしい農産物」として認証されています。 ※ 信州の環境にやさしい農産物認証制度」とは、地域の一般的な栽培方法と比較して、化学肥料及び化学合成農薬を50%以上(一部30%以上)削減した方法で生産された農産物を認証する制度。(長野県HPより)
化学肥料と化学合成農薬の使用を極力抑え、環境にやさしいトマト作りに励む佐藤さんは、「石が多くて作業は大変だが、水はけのよい土だから、おいしいトマトができる」と笑いながら話してくれました。畑の隅には、落ち葉や藁などが積みかさなったたい肥が置かれており、「トマト作りに適した土作り」へのこだわりもうかがえます。「菅川は、春先の遅霜、秋の早霜が少ない野菜作りに適したいいところ」と、佐藤さん。気象条件にも恵まれた場所で、生食トマト以外にも、ジュース用トマトや米、とうもろこし、カボチャなどいろいろな野菜を栽培し、道の駅しなの農産物直売所やJAに出荷。佐藤さんのトマトは、直売所でも人気です。
トマト栽培歴40年以上の佐藤益美さん
「トマトサラダ」
「自家製トマトとフレッシュバジルのPizza」
信濃町で、佐藤さんのトマトを味わえる場所を見つけました。それは、野尻湖畔にあるお食事とカフェの店「Friendly(フレンドリー)」。実は佐藤さんが建てたお店で、娘さんの佐藤恵さんが約30年経営しています。 2015年7月25日からは、完熟トマト収穫期限定メニュー「自家製トマトとフレッシュバジルのPizza」と「トマトサラダ」「冷製トマトのパスタセット」が始まりました。「自家製トマトとフレッシュバジルのPizza」は、恵さん手作り生地の上に、完熟トマトとバジルだけをのせたシンプルなピザ。「トマトサラダ」は、完熟トマトとレタス、レッドオニオンに特製ドレッシングをかけたもの。トマトは甘くて皮が柔らかく、止まらない美味しさです。「収穫が始まったばかりで、9月のトマトが一番美味しいんです」と恵さんは教えてくれましたが、いただいたトマトはすごく美味しかったです。
佐藤(益美)さんの娘さん、佐藤恵さん
お店で使う野菜は、佐藤(益美)さんと母の委(とも)さん(78)が丹精込めて作ったもの。「父と母が作る野菜が美味しいから料理も美味しくできます。トマト嫌いなお客さんも『ここのトマトだったら食べられる』と言ってくれます」と、恵さんは笑顔で話してくれました。 「冷製トマトのパスタセット」は、ご予約をお願いします。Friendlyでは、貸ボートも行っています。
こちらは 2015.07.28 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
さくら
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