長野県で開発された新品種の小麦が栽培されているという、上伊那地域にやってきました。 収穫期を迎えた麦は、金色(大麦)や琥珀色(小麦)に色づいています。 麦穂が風になびく風景は、今にも「ねこバス」が走り抜けていきそうで、初夏の訪れを感じさせてくれます。
脱穀された麦はトラックに集め、乾燥・選別されます
6月中旬から7月上旬にかけて、県南部に位置する上伊那地域の麦畑は収穫期を迎えています。この地域では「ハナマンテン」という品種の小麦が栽培されています。長野県農業試験場で開発された新しい品種で、上伊那地域では2009年頃から栽培が始まり、約330haの畑で栽培されています。ハナマンテンは、上伊那地域のほか、長野県北部と埼玉県の一部地域でしか生産されていない、まだ珍しい品種です。 農事組合法人田原(たはら)の麦畑では、ハナマンテンの刈り取りが行われていました。コンバインで麦を刈り取り脱穀します。穂は畑に戻され、麦粒はコンバインに集められます。その後、トラックで運ばれて乾燥・選別して出荷します。
農事組合法人田原 組合長 中村博さん
この畑では、秋まき用の種を作っています。収穫された麦は、10月中旬に畑にまかれ、1週間ほどで芽を出します。冬を越えて成長し、およそ8カ月で収穫できます。早生であるハナマンテンは、天候によって収穫量が左右されやすく、栽培の難しい品種です。農事組合法人田原(たはら)代表理事組合長の中村博さんは「ハナマンテンを1度味わっていただき、そのおいしさを知ってほしい」と言います。
手で揉むと簡単に皮がはがれます
小麦粉(ハナマンテン)
小麦に含まれるたんぱく質は水分と混ざると粘着性と弾性をもったグルテンを形成します。麦に籾はないため、麦粒を手で揉むと簡単に皮がはがれます。それを何粒か口に含んで噛んでいると、ガムのような食感が楽しめるんです。昔の農家の子供は、ガム代わりに小麦を噛んで遊んでいたとか。
ハナマンテンは超強力粉タイプの小麦で、中華麺やうどんなど麺類の加工に最適とされ、強いコシが出るのが特徴で、麺ものびにくくおいしいと評判です。また、ピザやクレープの生地に入れても、モチモチとした個性的な食感を楽しめます。
ハナマンテンを使用した様々な商品
伊那華(いなか)の冷し中華
地元農協のJA上伊那では、ハナマンテンを使用した様々な商品を開発しています。以前に、「華満点うどん」をご紹介しましたが、その他にも、暑い季節に嬉しい冷し中華、らーめん、肉餃子などが伊那華(いなか)シリーズとして、農産物直売所「ファーマーズあじ~な」やJA上伊那のA・コープ店などで販売されています。
JA上伊那本所の食事処「すずしろ」では、ハナマンテンを使用したうどんの新メニュー「キノコとトマトの夏冷(なつ)うどん」(税込500円)を2015年8月31日まで期間限定で販売しています。ハナマンテンのもちもちとした食感とコシのある麺が味わえるうえ、地元産のブナシメジとナメコを中心に、トマトやレタスなどの新鮮な野菜もふんだんに使われています。ピリ辛の味付けに粉チーズで風味を出して、ご飯にもよく合う味付けです。
希少な小麦のおいしさを、ぜひ味わってみてください!
こちらは 2015.07.14 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
ピーチちゃん
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