「おらほ」とは、「私たち」もしくは「私たちの地域」という意味の言葉です。信州各地の郷土食を探るシリーズ・"伝える おらほの味"。第13回目になる今回は、受け継がれる信州の食「塩丸イカ」を使ったキュウリの酢の物です。塩丸イカは、スルメイカの内臓を取って皮をむき、ゆでて塩漬けにしたものです。海がなく新鮮な魚が手に入りにくかった長野県ならではの、長期保存が可能な伝統的な食材です。※文末には冊子プレゼントのお知らせがあります!
今回お邪魔した、千曲市森地区は、あんずの畑が広がり、あんずの里としても知られます。この地にあんずがもたらされたのは元禄時代。一説によれば、伊予宇和島藩のお姫さまが、松代藩の真田の若さまにお輿入れの折、故郷の風情を偲ぶよすがにと、あんずの種子を持参したのがはじまりとか。種子の中にある「杏仁」が医薬品として珍重され、松代藩が栽培を奨励したそうです。塩漬けによって独特のうまみを醸し出す信州ならではの塩丸イカを使ったキュウリの酢の物を作っていただいた和田房子さん(JAちくま女性部長)の、お宅の前にも、あんず畑が広がっていました。
塩丸イカと旬のキュウリで簡単酢の物 作り方
4人分の材料
・キュウリ2本 ・塩丸イカ1ハイ ・三杯酢(しょうゆ小さじ1、酢大さじ3、塩小さじ1/3、砂糖大さじ1/2) ・生わかめ少々。
三杯酢の分量はお好みで、調整してください。
●まず、塩丸イカを食べやすい大きさに切り、1時間水に浸し塩抜きをします。
「イカによって塩辛さがちがうから塩抜きの時間は調整して」と和田さん。
イカの塩抜きをしている間に、三杯酢を作り、キュウリを輪切りにして軽く塩もみしておきます。和田家では、昔からキュウリは輪切りとのこと。塩抜きしたイカと刻んだキュウリの水気を軽く搾ってボールに入れ、三杯酢であわせて出来あがり。
このおいしさはくせになる
出来あがりをいただきましたが、キュウリと塩丸イカが絶妙な塩加減。また酢の物以外にも、粕もみやお醤油をかけただけのシンプルなものもいただきましたが、どれもみな蒸し暑い時期にピッタリのあっさりとして美味しいものでした。
「イカの塩抜きに少し時間はかかるけれど、作るのは簡単だから、塩丸イカとキュウリの和え物は頻繁に作るんだよ」と言う和田家では、地物のキュウリができる時期(7月〜9月上旬)には、必ず冷蔵庫の中に、"塩丸イカ"が入っているそうです。
そんな家庭が、長野県には多いことが証拠される事実をJAのスーパーマーケットであるA・コープで見つけました。生魚コーナーの一角ではこの"塩丸イカ"が圧倒的に幅を利かせているのです! 多くの家庭で作り継がれている"塩丸イカ"を使ったさっぱり料理、蒸し暑い日にあなたも挑戦してみませんか。
今回紹介した"塩丸イカ"を使った料理は「暮らしを楽しむエコガイド」に掲載してあります。
■読者プレゼントとして、「伝える おらほの味」が掲載されている冊子「暮らしを楽しむエコガイド」を、抽選で毎月10名さまにプレゼントしています! 全32ページ・カラー刷りの冊子で、長野県の農家のお母さんたちが各地域で実践している活動や、伝えたい地域の味を「暮らし 私スタイル」「伝える おらほの味」「いいね 地元を食べる」という3つのカテゴリーに分け、一冊にまとめたもの。タイトルはJA女性部のエコライフ運動として、安全・安心なものを食べることや食べ物を無駄にしないこと、地域の人に喜ばれる活動を継続して実践しようという想いをこめて名づけられました。当「伝える おらほの味」のレシピはもちろん、「暮らし 私スタイル」では新聞紙でつくるエコバッグや手作りせっけんの作り方なども紹介しています。ぜひ、楽しい暮らしづくりにお役立てください。ご希望の方は、1、住所 2、氏名 3、年齢 4、電話番号をご記入の上、「暮らしを楽しむエコガイド希望」と明記の上、下記あて先までEメールでご応募ください。
JA長野中央会 総務企画部 企画広報課
「長野県のおいしい食べ方」編集部:
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次回も「伝える おらほの味」をおたのしみに!(内容は未定)